ミニトマトは肥料過多になるとつるボケをおこしたり、異常果ができやすくなります。ここではミニトマト栽培で肥料が過多になると、どのような症状がでるのか、肥料過多の時はどのように対処するべきかわかりやすく説明します。
ミニトマトの肥料過多の症状
ミニトマトは、野性に近いので普通のトマト栽培に比べて、丈夫で草勢が強く育ちます。普通のトマト栽培より元肥を控えるとよいでしょう。
しかし植え付けの時に施す元肥を、多く施肥しすぎると、茎葉ばかりが成長する木ぼけ(つるボケ・草ボケ)がおきやすくなります。肥料が過多になったら葉や茎、花にどんなサインがでるのか詳しく説明します。
花が落ちる
植えつけ時に肥料が多いと、1番花が落下してしまうことがあります。花が落下して実がつかないと、茎葉がばかりが生長してしまう、木ぼけ(草ぼけ・つるぼけ)がおきてしまい今後の収穫にも影響を及ぼします。
草勢が強い
生育のステージに合わせて、追肥をしていくミニトマト栽培では追肥のころに、茎葉の勢いで追肥の時期や量を決めていく必要があります。
通常苗から育てる場合、最初の追肥は、第一果房(一番目に付いた果実)がビー玉くらいの大きさになったころ。この時の茎や葉の様子を確認してみましょう。ミニトマトは、大玉トマトの栽培よりは草勢を少し強めに育てます。先端部がかるくカールして内側丸まっているぐらいがちょうどよい草勢です。葉全体が丸まってしまっているようなら、草勢が強すぎです。
このような症状が出た場合は、植え付け時に施す肥料(元肥)が多かった可能性があります。このまま追肥をして育てたミニトマトの苗には、おいしくない空洞果が増えます。
異常茎(メガネ)の発生
ミニトマトを栽培していて、ミニトマトの茎が避けてメガネのような穴が開いてしまうことがあります。これは異常茎(めがね茎)と呼ばれる現象です。これは過剰な養分が消費できない状況でおきます。このような状況になってしまったら、しばらくは何も手をいれず、先端部のわき芽が伸ばして状況のよいもの1~2枚残し他は切断します。
異常茎の兆候(葉色が濃紺になり茂る・内側が全体にカールする・草勢が強い)を観察していれば、異常茎を防げる可能性もあります。
芯どまり
芯止まりとは、ミニトマトは主枝の先端にある生長点から、葉や花房が分化して生長していきますが、この生長点の部分から新たな葉や花房がでてこなくなってしまうこと。元々芯止まり品種と呼ばれる、一定の大きさになると芯止まりして、横に生長していく品種でなければ、これも肥料過多のサインでもあります。日照不足や水不足でも起こります。
異常茎と同様に主枝からの生長はあきらめて、しばらくは何も手をいれず、先端部のわき芽を伸ばして収穫していきます。
花房(果房)からの若返り
ミニトマトは通常、主枝から葉ー葉ー葉ー花房と、葉が3枚でたら花房がでて、花房に果実をつけながら上には葉が伸びて生長していきます。しかしこの枝分かれした花房や果実から若い茎枝(新梢)がでて、葉が大きくなってしまうことがあります。
これを、花房(果房)の若返りといいます。花芽や果実から新梢(若い茎葉)が分化して、葉が大きく成長してきます。果実を育てる生殖成長から葉や茎を育てる栄養成長に戻ってしまったためです。これも主に肥料(チッソ)の過剰が原因といわれています。
肥料過多の対処法
肥料過多の症状がみられたら、どのような対処方法があるのか順に説明します。
追肥・水やりを控える
肥料過多の場合は、追肥を控えるのはもちろんのこと、水やりも控え土を乾燥させる必要があります。水やりをすると土壌の肥料分を、ミニトマトの苗が吸収してしまうためです。
わき芽かき
草勢の強い苗は、早期のわき芽かきをすることで生育を抑制することができます。第1花房が開花するころから、花房から下から出ているわき芽を摘み取りましょう。わき芽が小さいときに一度に一気に摘み取りましょう。このわき芽が大きくなると生育がますます旺盛となって、葉っぱや茎だけが大きく成長してしまいます。
ホルモン処理
草勢が強く、茎葉が生長していると開花が遅れたり1番花だけが早く咲いたりします。このようなときは、こまめにすべての花にホルモン処理をしましょう。確実に、第1花房に着果させることで果実の生育肥大による負担を大きくして、草勢を落ち着かせます。
ホルモン処理のやり方
植物成長調整剤(品名:トマトトーンなど)を使用して着果処理をする方法です。花房のつぼみが3〜5花くらい開花したときに植物成長調整剤を花房全体にさっと一回〜二回吹きかけます。このとき、幼葉(若い葉)や生長点など他の部分にかからないように手で遮ってから、噴霧してください。かかると萎れてしまうことがあります。
ホルモン処理の方法については、ミニトマトの栽培の記事でも説明しています。
その他のミニトマトのトラブル
病害虫
多肥により生育が旺盛になると、病害虫のリスクが高まります。
病気
ミニトマトは、モザイク病、黄化葉巻病、萎凋病、疫病、葉カビ病などにかかることがあります。モザイク病はアブラムシが黄化葉巻病は、タバココナジラミがウイルスを媒介するため、害虫対策をしましょう。その他もカビ菌が病気の原因となりますので、排水を良くし、水はけのよい環境で育てましょう。
病気にかかったら、なるべく早くその苗を排除します。早めに対応しないと、最終的には枯れてしまうため、殺菌剤などを併用して対処しましょう。
害虫
ミニトマトの葉が食害を受けたり、色が変色している場合は害虫の可能性もあります。アブラムシ、コナジラミ、オオタバゴカ、ネコブセンチュウ、ハダニ類などの害虫が発生しやすくなります。
これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。
裂果
ミニトマトは生育の後半に株が弱くなると、果皮が裂けやすく「裂果」が多くなります。裂果は成熟した果実に雨が当たったり、乾燥が続いたあとに急に大雨などが降り、果実が水を吸収しきれなくて皮が裂けてしまうこともあります。
防止策としては、ポリマルチで土の乾燥を防いだり、雨よけ対策で簡易的なビニールハウスを作ることです。裂果に強い品種もありますので、そちらを使うのもよいでしょう。
裂果は食感が悪くなりますが食べることはできます。湯むきしたり、加熱して使うとよいでしょう。
肥料不足
ミニトマトは、肥料が不足してもおいしい果実を収穫することはできません。草勢が弱かったり、病害虫の影響ではなく葉が黄化するなどがあれば、肥料不足の可能性があります。肥料不足の症状や、対処法の詳しい記事もありますので、そちらも参考にしてください
【補足】ミニトマトの肥料の時期と与え方
ミニトマトの肥料の与え方のポイントは、元肥は控えめにしてコンスタントに追肥をすること。吸肥力が強いトマトは、元肥で窒素分を多く与えすぎると、茎葉が大きく育ちすぎるつるボケ(木ぼけ)がおきたり、病害虫の原因ともなります。
元肥
植物の苗や苗木を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
異なる呼び方として「基肥(きひ)」「原肥(げんぴ)」などと呼ばれる場合もあります。
苦土石灰を苗を植え付ける3週間前くらいに散布し、一度耕うんします。1〜2週間前には、堆肥や化成肥料、リン酸肥料などを混ぜ込んでおきましょう。そのあとに畝を立てます。
畝に溝を掘り、そこに元肥を入れ込んでおくのもおすすめです(待ち肥)。
追肥
第一果房がビー玉くらいの大きさになってきたら、追肥を始めます。追肥は半月〜1ヶ月くらいに1回くらいの頻度で良いでしょう。化成肥料の肥効の持続性によっても変わるので、使用する肥料の使い方を確認しましょう。
液体肥料(液肥)のみの追肥の場合は、1週間〜10日に1回程度の施肥が必要です。