玉ねぎ栽培では、栽培期間が長いため、肥料切れをおこすと、とう立ちしたり、実が大きく育たたないなど生育に影響を及ぼします。玉ねぎにはいつどんな種類の肥料をあたえればよいのでしょうか。この記事では玉ねぎに与える肥料の種類について、説明します。
玉ねぎ栽培に使える肥料の種類
有機肥料(有機質肥料)
有機肥料には、油粕や米ぬかなど植物性の有機物、鶏糞や魚粉、骨粉などの動物性の有機物が原料のものがあります。
庭植えや畑の元肥に有機肥料はよく使われます。使い方としては、土づくりには土壌改良効果の高い有機質の堆肥(牛ふん・馬ふん・バーク堆肥など)をいれてよく耕します。そこにさらに鶏糞や米ぬかなどの肥料分の高い有機肥料を使って肥料分を補います。リン酸を補いたい場合は、骨粉が有機肥料としては元肥として使えます。
最近では、家庭で有機栽培する人には、油かすや米ぬかなど複数の有機質資材を配合させたものに籾殻や土を加えて発酵させた「ぼかし肥料」なども使われます。
元肥だけでなく、ぼかし肥料や鶏糞などは速効性もあるため追肥としても使うことができます。
化成肥料
化成肥料は多くの種類があり、玉ねぎにどれを使ってよいか迷うという方も多いと思います。
元肥に使う化成肥料は、肥料の三要素がバランスよく含まれている肥料がよいでしょう。肥料の三要素とは、窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)のことで、肥料のパッケージなどでみる「N・P・K=8・8・8」という表示は肥料100g中に何gそれぞれの肥料が含まれているか示しています。
花の肥料や野菜の肥料でリン酸が少し多めのものを使うとよいでしょう。家庭菜園でよく使われる、化成肥料8・8・8など肥料分が等量にはいっているものを使う場合は、過リン酸や熔りん(ようりん)などのリン酸肥料を一緒に元肥として施します。追肥にもリン酸が入っているものを与えるとよいでしょう。リン酸がはいっていれば追加でリン酸肥料を与える必要はありません。
また化成肥料には、各肥料メーカーから玉ねぎ専用肥料や、追肥のいらない一発肥料と呼ばれるものも、販売されています。玉ねぎに必要な成分が配合されており、施肥量なども迷わずに使うことができます。
【補足】有機肥料と化成肥料について
肥料には有機肥料と化学肥料と呼ばれるものがあります。
有機肥料とは動植物由来の原料を使って作られている肥料を指します。畑や庭などの地植えに使うと土壌改良効果も期待でき、味をよくするともいわれますが、虫がわいたり臭いがつよいものもあります。
化学肥料は、化学的に合成、あるいは天然産の原料を化学的に加工して作った肥料です。化成肥料は化学肥料に化学的操作を加えて製造された複合肥料を「化成肥料」といいます。三大要素がバランス良く含まれており初心者の人でも使いやすい肥料です。ただし畑なのでは、土づくりも重要です。堆肥などを使って栄養分を補充しましょう。
有機肥料、化成肥料両方にメリット・デメリットがあります。どちらがよくてどちらが悪いということではありません。最近では有機肥料を配合した化成肥料などもあり両方のメリットをうまく配合している肥料も多く販売されています。
玉ねぎの肥料の時期
玉ねぎの肥料は基本的に3回。植えつけ時に元肥を、追肥を植え付け25日後に1回目の追肥を、暖かくなってきた3月上旬に、2回目の追肥をします。
元肥
植物の苗や苗木を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
異なる呼び方として「基肥(きひ)」「原肥(げんぴ)」などと呼ばれる場合もあります。
畑や庭植えなどでは、堆肥を1㎡あたり2kg入れ、さらに有機肥料や化成肥料を施します。鉢植えやコンテナでは、野菜用の培養土を使い、緩効性肥料を施します。玉ねぎなどのネギ類はリン酸を施すと、根の張りがよくなり収穫量も増えるので、リン酸を多めに施肥します。
土づくりと肥料
美味しい玉ねぎを収穫するためには土作りが重要です。土作りは、4週間くらい前、遅くとも植え付けの2週間前には行いましょう。また、土壌酸度があまりにも酸性側に傾いてしまうと、適正土壌酸度から外れてしまうため、石灰質肥料(苦土石灰など)による土壌酸度のアルカリ性側への矯正も必要となってきます。
- 植え付けの20日前までに、苦土石灰などの石灰質肥料をまいて、耕しましょう。
- 植え付けの1〜2週間前堆肥、元肥の散布します。植え付け予定の1週間前には完熟堆肥(牛ふん堆肥など)と元肥(化成肥料、リン酸肥料、有機質肥料など)をまいて再度よく耕します。
追肥1回目
1回目の追肥は、植え付け後25日後に行います。休眠時期に入る前に肥料を与えるのは、春に花茎が伸びてネギ坊主がついてしまう「とう立ち」を防ぐためです。株間に有機肥料や化成肥料をまいて、土寄せしておきます。
追肥2回目
2回目の追肥は、暖かくなり生育が旺盛となる3月上旬に行います。有機肥料を使う場合は効き目が遅いので2月下旬頃に与えるとよいでしょう。1回目の追肥と同様に株間に有機肥料や化成肥料をまいて、土寄せしておきます。4月以降は肥料は与えません。この時期に肥料を与えると病害虫や、球がぶよぶよとして育ち、腐敗を増加させる恐れがあります。
まとめ
ここまでタマネギの肥料の種類について説明してきました。肥料は、土壌の環境や気象状況、また品種によっても与える量や時期が変わってきます。
栽培期間の長いタマネギですが、栽培も簡単で病害虫のもかかりにく作りやすい野菜です。いろいろな料理にも使え、保存も長いのでぜひたくさんの玉ねぎを育ててみてください。