最近よく聞く腐植酸という言葉。ホームセンターに行くと腐植酸入り肥料など、さまざまな商品が販売されています。フミン酸とも呼ばれる腐植酸、とは一体どんなものなのでしょうか?
この記事では、腐植酸とは何か、また腐植酸を土壌に投入した場合の効果や気をつけるポイント、そしておすすめの腐植酸入りの肥料を紹介します。
腐植酸とは
まず前提として、土壌にある土壌有機物の中で生きている微生物やそれに近しい遺体を除いたものを「腐植」と言います。この動植物の死骸や、排泄物の有機物に代表される「腐植」が長い年月の中で、微生物や菌によって分解されて変化した暗色の高分子化合物の集まりを「腐植物質」と言います。
「腐植物質」には、「腐植酸」「フルボ酸」「ヒューミン」の3種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
名称 | アルカリへの溶けやすさ | 酸への溶けやすさ | 色、特徴 |
---|---|---|---|
腐植酸 | 溶けやすい | 溶けにくい | 表層の褐色や黒色などの暗色を示す。フミン酸とも呼ばれる。 |
フルボ酸 | 溶けやすい | 溶けやすい | 赤褐色、オレンジ、黄色。 |
ヒューミン | 溶けにくい | 溶けにくい | 褐色や黒色などの暗色。 |
腐植酸と一言で言っても、腐植化が進んだものと、あまり進んでいないものと様々で、色も腐植の進み具合で薄かったり、進んで黒くなっていたりします。腐植酸はさまざまな化合物の集まりなのです。
腐植酸の効果
陽イオン交換容量(CEC)を高め、カルシウムや鉄、マグネシウムの流出を防ぐ
土壌中の腐植酸は水に溶けにくく安定して存在し、表面がマイナスの電気を持つため、陽イオンを持つカルシウムやカリウムイオンをくっつけることができます。このため、このような養分が土壌外に流出するのを防ぎ、保肥力を高めてくれます。
土壌の団粒構造を促進させる
腐植酸は粘土粒子の表面にくっつくため、粒子同士をくっつけて団粒構造化します。団粒構造化すると通気性が良くなり、微生物が増加・活発化して、ふかふかの土壌を形成します。黒ボク土と呼ばれる火山灰土壌などが団粒構造化した土壌の代表です。
発芽や発根を促進させる
腐熟が進んだ堆肥などに含まれる溶存腐植酸(溶存フミン酸)は植物の発芽や発根を促進させ、根毛を形成させる働きを持ちます。特に低温時で生育が遅れている時など、顕著に発根促進効果が見られています。また低い濃度でも根の伸長促進効果が観察されています。
センチュウ害を減らす
作付け前に腐植酸資材を土壌に入れることで、連作障害で有名なネコブセンチュウの病害が軽減したと話す農家の方もいます。
このほか、腐植酸には、微生物のエサになって窒素(チッソ)などの養分となり、土壌に養分を送る機能や、腐植酸のキレート作用によってリン酸の固定化を防ぐ効果、また地面の温度(地温)を上げる効果などさまざまな効果があります。
おすすめの腐植酸肥料
粒状腐植酸AGフミン
粒状になった腐植酸資材です。腐食酸は上記の特徴を持つので、トマトといった果菜類、水稲はもちろんのこと、芝生(芝)にも使うことで、根張りを強くすることもできます。土壌に元肥(基肥)として混ぜることや育苗に使う培養土に混ぜ、育苗箱に使うのも効果的な施用方法です。
アヅミン
アヅミンはデンカが販売する、亜炭を硝酸で酸化分解して腐植酸をよみがえらせ、苦土で中和して製造された、なんと腐植酸、約50%、く溶性苦土3% 水溶性苦土1%も含有された腐植酸苦土肥料です。
施肥することで塩類の集積による濃度障害や、土壌pHの急激な変化を抑えることができ、地力の活性、土壌の保肥力、根の活力を高めます。
腐植ミネラル強化糖蜜
腐植ミネラル強化糖蜜は、食品由来の糖蜜発酵液と腐植液の混合液体(液肥)です。散布する事で腐植酸の効果だけでなく糖蜜の効果もプラスして植物に活力を与え、イチゴやトマトの色付きを良くします。糖蜜肥料については下記を参考ください。
ふっカル(天然腐植酸+カルシウム)2kg
ふっカル(天然腐植酸+カルシウム)は腐植酸と腐植酸と組み合わさることで流出しにくくなるカルシウムが合わさった家庭園芸用肥料です。2kgと使いやすいサイズになっています。ふっカルは、土壌pHを上げる(アルカリ性にする)ことなくカルシウムを補給しますので、ジャガイモの「そうか病」対策やアルカリ性土壌を嫌うブルーベリーなどに使いやすい商品です。
まとめ
腐植酸はもともと、低位泥炭を原料とした長い年月かけて土壌に生成された成分で、バイオスティミュラントの1つとして土壌の欠かせない成分であると考えられています。(そして腐植物質は地中に堆積していくと亜炭や石炭へ変化すると言われています)
それを用土に補うことで、本来あった土壌の機能、地力を取り戻すことができるため、さまざまな効果がもたらされるのでしょう。積極的に使っていきたい資材と言えます。
(バイオスティミュラントとは、植物や土壌により良い生理状態をもたらす様々な物質や微生物である。これらの資材は植物やその周辺環境が本来持つ自然な力を活用することにより、植物の健全さ、ストレスへの耐性、収量と品質、収穫後の状態及び貯蔵などについて、植物に良好な影響を与えるものと定義されています。(日本バイオスティミュラント協議会HPより))
フルボ酸について詳しく知りたい、おすすめフルボ酸資材を購入したい方は下記も参考にしてみてください。