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カルシウム肥料・石灰肥料

石灰窒素、石灰窒素入り化成肥料の肥料効果を説明

カルシウム肥料・石灰肥料

石灰窒素は単肥としてよく使われる肥料の一つです。石灰窒素は石灰石を原料とするカーバイドに高温で窒素を吸収化合させたものです。窒素成分の他に、カルシウムや炭素成分が含まれています。

また石灰窒素は、土壌中で水分と反応して有効成分のシアナミドを分離し、このシアナミドが病害虫と接触して効果をあげる殺虫、殺菌効果を持ちます。さらに石灰窒素は、シアナミドにより除草、防草効果があります。ここでは、石灰窒素の特徴と、どんな肥効があるのか、また石灰窒素入り化成肥料について解説していきます。

石灰窒素とは?

石灰窒素の肥料としての特徴

石灰窒素は単肥としてよく使われる肥料の一つで、窒素肥料の一つです。石灰窒素は生石灰に無煙炭またはコークスを加え高温融解して出来たカーバイド(炭化カルシウム)に高温で窒素を吸収化合させたもので、窒素成分の他に、カルシウムや炭素成分が含まれています。石灰窒素の特長としては、以下の3点が挙げられます。

  1. 土壌から流亡しにくく、緩効性があり、施肥量・回数を削減することができる。
  2. 土壌の酸度(pH)矯正ができる。
  3. 有機物の腐熟を促進し、ふかふかの土を作ることができる。

石灰窒素は、土作りの際、土壌の酸度(pH)を高めつつ窒素を施用したい場合や有機態窒素の無機化を促進させたい場合に使用します。基本的には追肥というより、土作りのときに元肥として施用することがほとんどです。元肥として施用する場合には、植え付け、作付(定植)の2週間前には土壌に混ぜ込んでおくことが必要となります。粉状、粒状などの形態があるので使いやすいものを選択しましょう。

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石灰窒素の他の特徴

農薬としての特徴

また、石灰窒素は農薬成分であるカルシウムシアナミドが含まれていて、土壌中で水分と反応して有効成分のシアナミドを分離し、このシアナミドが病害虫と接触して効果をあげる殺虫、殺菌効果を持ちます。さらにシアナミドは除草、防草効果もあります。

畑作では、特に土中のセンチュウの殺虫効果が認められています。暖かくなってきた春先、作付け前に石灰窒素を全面散布し、用土と根和することで効果が出ます。(10aに50〜100kgが目安です)

水稲では、特にスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)、ザリガニ、ユリミミズに効果があります。代かき、灌水時に全面散布してください。灌水状態を保ち、1週間は落水、掛け流しを行わないのがポイントです。(10aに20〜30kgが目安です)

どちらの場合も、「石灰窒素10kg」は「窒素2kg」程の施肥になるため、基肥窒素量は、石灰窒素の散布量を考慮して減肥するようにしてください。

除草剤としての特徴

更に石灰窒素最大の特徴として、土壌中で肥料成分として分解されるのは勿論、農薬効果があるシアナミドは、土壌中で肥料成分に分解され残留性がなく、非常に環境保全に合致した農薬であると言えます。

また、シアナミドは、植物の根と葉から吸収されることで、植物の生育を阻害する作用を有します。特に一年生雑草の防除に効果があり、水稲の場合も、畑作の場合も、田植え、作付け前に10aあたり50〜70kgを目安として散布することで、明らかに一年生雑草の繁殖が少なくなったという効果が判明されています。代表的な一年生雑草は、コナギイヌビエスズメノカタビラ、スズメノテッポウ、オヒシバメヒシバスベリヒユ、ブタクサ、ツユクサなどです。

発生前に繁茂を抑えるために散布する使用方法は、土壌処理剤の使用方法と同じといえます。

石灰窒素はこのような効果も有するため元肥として有効ではありますが、使用の際の施肥量など充分留意して作物の生育、生長に支障がないように注意することが重要です。

石灰窒素入り普通化成肥料

また、石灰窒素に加里、アンモニア、硫安尿素、過燐酸石灰,燐安,カリ塩、マンガン、鉄等の微量要素を混ぜて改良した化成肥料もあります。硫安系や尿素系の肥料と比べて,持続的な肥効があるので,元肥に適しています。堆肥といっしょに施すと肥効がいっそう高まります。石灰を含むので土壌の酸性化には注意しましょう。

他の石灰肥料

石灰肥料は石灰窒素だけでなく、さまざまなタイプがあります。石灰窒素のような化成肥料もあれば、貝殻、牡蠣(カキ)殻といった有機肥料もあります。下の表を参考にしてみてください。

名称土壌酸度(pH)アルカリ側への矯正の強さカルシウムの肥効特徴
生石灰
(酸化カルシウム)
速効性加水により発熱し消石灰に変化する。速効性がある、アルカリ性が強い。施肥後、定植・播種まで2週間以上おく。反応が強すぎるので取り扱いづらい。
消石灰
(水酸化カルシウム)
速効性空気中の二酸化炭素を吸収して炭酸カルシウムとなる。速効性があり、アルカリ性が強い。施肥後、定植・播種まで20日以上おく。反応が強すぎるので取り扱いづらい。
石灰窒素速効性加水されるとシアナミドと水酸化カルシウムが生成され、やがてシアナミドも変化し窒素として吸収される。消石灰とほぼ同等の水酸化カルシウムが含まれている。
炭酸カルシウム緩効性水に溶けにくく、カルシウムの効き方は緩効性である。反応が穏やかで効き目が持続する。
硝酸カルシウム-(弱酸性)速効性水に溶けやすく、カルシウムの効きは早い。硝酸態窒素も含み、水耕栽培によく使用される。
苦土石灰緩効性水に溶けにくく、カルシウムの効きは遅い。マグネシウムも含まれており、補給ができる。散布後すぐに定植・播種することができる。
カキ殻石灰緩効性カキ殻を粉砕したもの。海のミネラル分も含む。炭酸カルシウムほどではないが、土壌pHを高める。
貝化石緩効性古代の貝やヒトデの化石。海のミネラル分も含む。
草木灰緩効性焼かれた草木(草や木)に由来する灰のことで、カリウムが豊富に含まれる。
塩化カルシウム-(中性・弱酸性)速効性水に溶けやすく、作物に利用されやすい。土壌酸度(pH)の矯正には使えない。葉面散布にもよく使われた。
硫酸カルシウム-(中性・弱酸性)速効性土壌溶液に溶けやすく、作物に利用されやすい。弱酸性または中性であり土壌酸度(pH)の調整には使えない。「畑のカルシウム」が有名。葉面散布にもよく使われた。
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