大根の栽培には生育初期からの肥料が大切です。この記事では、ダイコン(大根)栽培におすすめの肥料を紹介するとともに、与え方のポイントなどをわかりやすく説明します。
大根栽培におすすめの肥料とは
根菜の大根に必要な肥料分は、根肥といわれるカリウム(K)が一番多く、次に葉肥といわれる窒素(N)、その次にカルシウム、リン酸、マグネシウムと続きます。
畑などの地植えの元肥には、有機肥料がおすすめですが、未熟な堆肥や有機肥料を使うと、根の先端が枝分かれしたり、尻つぼみになってしまう岐根(またね)などの障害が起きやすいため完熟肥料を使いましょう。溝施肥も有効です。
プランターなどでは有機肥料は臭いが気になるという人には、有機入りの化成肥料を使いましょう。追肥には速効性の化成肥料がおすすめです。
大根はホウ素が不足すると、艶がなくなり、根の部分が生育不良になり芯部が褐色になったりスが入ったりします。米ぬかや油粕などの有機肥料には微量要素が含まれているため、不足の心配はあまりありませんが、化成肥料のみを使う場合は、ホウ素が配合されているものがおすすめです。
大根栽培におすすめの有機肥料
有機肥料は未成熟のものを使う時は、大根の生育に影響がある場合があるので注意して使いましょう。また臭いや虫がつく場合もあるので、プランターなどでベランダで育てる場合は、化成肥料や有機配合肥料などがおすすめです。
鶏ふん
鶏糞は、ニワトリの糞を乾燥させた有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)、リン酸、カリの各成分が豊富に含まれています。堆肥としても使われますが、土壌改良効果はあまりないので肥料として使うのが一般的です。乾燥鶏糞は未発酵なので、元肥として使う場合にはタネまきの1か月前に土と混ぜておきましょう。発酵鶏糞でも腐熟が不十分な場合もあるので、2週間前までには施しましょう。
油かす(油粕)
油かす(油粕)肥料は、ナタネやダイズから油を搾る工程の残りかすを原料として使用する、植物に由来する有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)を主な成分として含有しており、リン酸やカリウムも多少含んでいます。元肥として使う場合には、化成肥料と併用するか、有機にこだわるのであれば骨粉、草木灰でリン酸とカリウムを補充します。
ぼかし肥料
ぼかし肥料とは、米ぬかや油粕などの有機物が含まれた有機肥料を土やもみがらなどと混ぜて、微生物の力を借りて一次発酵させた肥料です。散布する前に微生物の力で分解させておくことによって、未発酵の有機肥料よりも効き目が表れるのが早まります(速効性肥料に近づきます)。また、一次発酵で分解されていない有機物はそのまま残りますので施肥後にそれらが分解されて肥効が長続きします。有機質肥料であり、土壌の物理性や生物性の改良にも繋がります。
有機100%配合肥料
有機肥料は使い方が難しいと感じる人は、有機100%の配合肥料を使いましょう。肥料成分のバランスがよくなるよう配合された肥料です。製品によって異なるのでパッケージをよく読んで使いましょう。基本的には元肥、追肥にも使えるものが多くあります。
大根栽培におすすめの化成肥料
固形肥料
元肥には有機肥料がおすすめですが、プランターなどでベランダで育てる人には臭いや虫が気になる人もいるでしょう。その場合は化成肥料を使いましょう。また実がついた後の追肥にはすぐ効く化成肥料がおすすめです。
化成肥料は、不足している栄養素を補うために行うため、土によって与える肥料は異なりますが、家庭菜園などでは、元肥にはN-P-K=8-8-8など窒素とリン酸・カリウムが同量含まれている肥料などがよいでしょう。追肥にも使えます。追肥には、リン酸をしっかり元肥で施していれば、NK化成肥料など窒素とカリのみを含む肥料でもよいでしょう。
大根専用肥料
大根専用の肥料は、大根に必要な成分が既に含まれており施肥量などもパッケージに書かれているので、初心者の方にもおすすめです。元肥にも追肥にも使えます。「サンアンドホーム 大根・人参・かぶの肥料 」は100%化成肥料ですが、ホウ素と苦土の微量要素が配合されています。「アミノール化学 大根・人参専用肥料」は有機配合肥料です。
野菜用の肥料
ホームセンターなどで手に入りやすいのは、メーカーから販売されている野菜用の肥料をつかってもおいでしょう。有機肥料が配合されている「ハイポネックスジャパンのいろいろな野菜用粒状肥料」や「住友化学園芸のマイガーデンベジフル」などがおすすめです。
液体肥料
肥料不足の場合やプランター栽培には追肥として液体肥料をつかってもよいでしょう。液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。液体肥料を使う場合は、本葉が5~6枚になり1本立ちしたら、2週間に1度水やり代わりに与えます。住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などが大根に使えます。
大根の肥料時期と与え方
肥料の与え方のポイントは、生長初期から中期に肥料を切らさず与えること。
大根の発芽適温は、15℃~30℃で、生育適温は15℃~20℃です。冷涼な気候を好むので秋に種をまいて、秋冬に収穫する「秋まき栽培」が作りやすいですが、品種を選べば一年中周年栽培が可能です。寒冷地では、「夏まき栽培」が主流で、暖地では「春まき栽培」も作ることができます。冬まき栽培は、保温管理が大変なためおすすめしません。どの時期の栽培でも、肥料のタイミングは基本的には同じで、元肥と追肥を1~2回行います。
地植え
元肥はタネをまく2週間前までに、土づくりと一緒に行っておきます。土を30㎝~40㎝ほど深く耕して、堆肥と緩効性肥料をいれて掘り起こした土とよく混ぜておきます。
追肥は、本葉が5~6枚になったころ、間引きが終わったら追肥します。本場が15枚~20枚程度になり、根の部分が肥大してきたころに2回目の追肥を与えることもあります。
プランター・鉢植え
大根はプランターなどでも育てることができます。深さが30㎝以上のものを使いましょう。用土は元肥用の野菜の培養土が便利です。自分で配合する場合は、赤玉土7・腐葉土3に緩効性肥料を施します。
追肥は、種まきから20日後、35日後ぐらいに行うとよいでしょう。速効性の化成肥料を株の周りに施して、たっぷりと水を与えてください。根や株に触れないように注意しましょう。
肥料の施し方は詳しい記事がありますのでこちらも参考にしてください。
土壌について
おいしい野菜をつくるには、土づくりは大切です。大根は根が直根性のため、発芽後に最初に伸びる根がストレスなく、深く伸びることが重要。そのためには、土壌をやわらかくし、水はけをよくすることが大切です。
深さ30㎝~40㎝ほど深く細かく耕し、畝を間引き後に土寄せすることで水はけがよくなります。堆肥や有機物は完熟のものを使い、腐熟していないものを使う場合は種まきの1か月前には施して耕しましょう。畑などで、前作に堆肥などが施してある場合は堆肥は不要です。
土壌pHは、5.5~6.5でよく生育しますが、弱酸性を好み酸性に強い性質を持つので、石灰は施さなくても大丈夫です。特に高温期の作型は、phが高いと病気の発生にもつながる可能性もあるので、注意が必要です。