ネギは肥料が不足すると葉が黄色くなりますが、肥料だけが原因ではない場合もあります。ここでは肥料切れで起こる症状と、間違えやすい症状や病気、その対処法について説明します。
ネギの葉が枯れる、黄色くなる原因
ネギは様々な理由で葉っぱが折れたり変色して、枯れたりすることがあります。その主な原因について説明して、肥料不足が原因なのか他の理由なのか観察してみましょう。
世代交代
ネギの葉は、15~20日間は生長を続けます。その後、次の世代の葉に追い越されると、成長が止まりその後10日ほどすると葉先から枯れてきます。これは自然に起こる世代交代ですので心配はいりませが、枯れた葉は取り除いておくと安心です。
病害虫
病気
ネギは過湿になるとカビが原因で起こる病気「べと病」「黒斑病」が発生しやすくなります。また土壌pH低く、窒素肥料の多いと「葉枯れ病」が発生しやすくなります。これらの病気は、葉が枯れるだけでなく黒や白色の斑点がでます。葉先だけでなく、葉全体をみて病気かどうか判断しましょう。
害虫
ネギは、ネギアブラムシ、ネギアザウマ、ヨウトウムシなどの害虫が付きやすくなります。これらは食害により葉に穴を開けたり、白い筋をつけそこから枯れていきます。またアブラムシやアザウマはウイルスを媒介するため、病気を発生させるので見つけたらすぐに駆除しましょう。
根腐れ
ネギは乾燥に強いですが、多湿には弱い作物です。特に根深ネギの栽培においては通気性の良い土壌が必要不可欠となります。水のやりすぎや、土寄せによって根が傷むと根腐れがおきて葉の根元から腐って枯れてきます。土寄せは真夏には行わず、一度に多く土寄せしないことがポイントです。
庭植えの場合、育苗が終わったら基本的に水やりの必要はありません。また土壌も通気性のよい土にしましょう。プランターなどでは、水不足により葉がしおれたり葉先がかれたりします。用土の表面が乾いていれば、鉢底が水が染み出るぐらいの量の水やりをしましょう。
肥料不足
新葉の生長が遅くなり、下葉のほうから黄色くなり全体の緑が薄くなっている場合は肥料不足の可能性があります。追肥をきちんとしているのにこれらの症状がでるときには、土壌のphが低くなっている可能性があります。また乾燥により土の中で栄養のバランスが崩れていることもあります。
肥料過多
ネギに限らず、肥料は不足しても枯れることはあまりありませんが、上げすぎると肥料焼けして枯れてしまうことがあります。また窒素が多いと葉枯病を発症しやすくなります。
対処法
上記で説明したとおり、肥料不足以外にも葉が変色したり、枯れたりする要因は多くあります。病害虫などは病斑や斑点、食害等で判断がしやすいと思いますので、殺菌剤・殺虫剤などを使って対応しましょう。
肥料については、畑や庭植えで土づくりをして、しっかり追肥しているにもかかわらず症状が出ている場合には、追肥をすると逆効果になることもあります。まずは土の乾燥や過湿、根の様子も確認しましょう。また土壌のphによって肥料のバランスが崩れてしまうこともありますので、まずは土壌phを計測し、低い場合には石灰資材を使ってバランスを整えましょう。
プランターの場合は、庭植えにくらべ水やりにより肥料が流れ出てしまう可能性もあります。まずは病害虫や根腐れの症状がないか確認し、薄い液体肥料を与えてみましょう。いづれにせよ枯れた葉は取り除きます。
土壌検査
土壌酸度(ph)は、土壌 pH 6~7を目安にしましょう。土壌酸度計や土壌酸度測定液などを使うと、土の酸度が簡単に図ることができます。定期的に検査することで、土壌の状態を知ることができます。
追肥におすすめの液体肥料
肥料不足の場合やプランター栽培には追肥として液体肥料をつかってもよいでしょう。液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。住友化学園芸の「マイガーデンベジフル液肥」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などがあります。
【補足】ネギの肥料の与え方
育苗に時間のかかるネギは、ホームセンターなどでも手軽に苗を買うことができます。
苗から育てる場合
ネギには様々な種類がありますが、大きく分けて2つ。に葉(緑葉)を食べるもの、白い根(葉鞘)を食べるものがあります。
長ネギ(根深ネギ・白ネギ)
長ネギは、関東とその以北で栽培されているネギで根深ネギ・白ネギとも呼びます。群馬の下仁田ネギや、埼玉県の深谷ネギなどのブランドネギも有名です。
長ネギは、タネまきから植えつけまで3カ月ほどかかるので、ホームセンターなどでも苗が簡単に手に入るので、苗を購入するのが簡単です。
栽培期間の長い、長ネギの肥料は苗を植えつけるときの元肥として化成肥料や鶏糞などの有機肥料を施します。追肥は白い根の生長に合わせて、1か月に1度、速効性の化成肥料をばらまき、土寄せをします。収穫まで3回ほど行います。
葉ネギ
葉ネギは、主に関西以西に普及しているネギで緑の葉の部分を食します。青ネギや小ネギ、万能ねぎなどとも呼ばれ、九条ネギが有名です。葉ネギの場合は、根深ネギに比べると栽培はしやすいので初心者の人にもおすすめです。
葉ネギもタネをまいて育苗をしてから、植えつけます。九条ネギなどの大きなものは収穫まで時間がかかるので苗などを購入するのが簡単です。小ネギ・万能ネギなどであればタネまきから2か月ほどで収穫できるので種から育ててみましょう。
長ネギど同様に、苗から育てる場合は植え付けるときの元肥として、化成肥料や鶏糞などの有機肥料を施します。追肥は、植え付けから1か月後に速効性の化成肥料を与えます。小ネギなど収穫まで短いものは元肥だけでも育ちます。大きくなったものから葉の部分だけ切り取って収穫して追肥で化成肥料を与えておくと、新芽がでて再度収穫することができます。
タネから育てる場合(育苗)
地植え(育苗畑・直播)
育苗畑などで種から育てる場合は、種まきの1週間ほど前に元肥を施しておきます。堆肥や化成肥料、鶏糞などの有機肥料を施しておきます。追肥は、草丈が7㎝ほどになったら、株間が1.5㎝程度になるように間引いて追肥します。次の追肥は1回目の追肥から1か月ほどたったら、株間が5㎝になるように間引いて追肥します。育苗が90日を超える場合にはさらに追肥します。追肥には化成肥料などを使います。
セルトレイ
セルトレイやチェーンポットで種まきから育てる場合には、土はネギ専用の培土を使いましょう。元肥が含まれているので、基本的に追肥は必要ありません。ただし、育苗期間が60日を超える場合には適宜化成肥料を追肥を行いましょう。(肥料期間などは培土のパッケージで確認してください)草丈が30cm程度になったら、定植のサインです。
鉢植え・プランター
鉢植えやプランターから種まきから育てる場合は、直播きが簡単です。用土は野菜の培養土などをつかいましょう。培養土を使用している場合、発芽から1ヶ月程度は追肥の必要は基本的にありません。本葉が4枚程度、太さが鉛筆より少し太いくらいになってきていたら、育苗がうまくいっている証です。その後は苗から育てるときと同様に、1か月に1度ほど追肥をしていきます。
土壌と肥料について
健全なネギを栽培し、収穫するためには土作りが重要です。土作りは、遅くとも植え付けの2週間以上前には行いましょう。土壌状態にもよりますが1㎡あたり、牛糞などの堆肥を1kg苦土石灰100g程度施用しよく耕して畝を立てます。。ネギ栽培のための土作りについて、大事な点は以下のとおりです。