芝生の手入れ方法と肥料の施し方について、年間スケジュール、水やり、エアレーション、芝刈り、除草、養生などの具体的な手入れ方法や、肥料の選び方・撒き方、注意点を紹介します。
年間のスケジュール
芝生は大きく分けて「寒地型」と「暖地型」があります。そして「寒地型」と「暖地型」では年間の手入れスケジュールが異なります。目安のスケジュールはこのようになります。寒地型の方が休眠期が短くなります。
芝生の手入れ方法
芝生の手入れといっても、さまざまな種類があります。ここでは、芝生の手入れに含まれる内容を一つ一つ丁寧に説明します。
水やり・散水
芝は、生育期に比較的多くの水やりが必要な植物です。生育期、土が乾いたら、なるべく水をやるようにしてください。特に猛暑の時期は夏枯れを防ぐため水やりを毎日してあげましょう。一部の葉が徐々に巻いて丸まっている状態だとすると、明らかに水不足のサインが出ていますので、水やりをしてあげましょう。
基本的な水やりの頻度の目安は週に1〜2度で、夏はできるだけそれ以上に散水するといいでしょう。休眠期の冬場は特に散水する必要はありません。下記がタイプ別にまとめた水やりのスケジュールになります。参考にしてみてください。
月 | 暖地型(日本芝) | 暖地型(西洋芝) | 寒地型(西洋芝) |
---|---|---|---|
1月 | 不要。 | 不要。 | 乾燥が続くようであれば散水する。 |
2月 | 不要。 | 不要。 | 乾燥が続くようであれば散水する。 |
3月 | 基本的には不要。乾燥が続くようであれば散水してもOK。萌芽が早まる可能性あり。雑草も生え始めるので草取りなどの作業も行う。 | 基本的には不要。乾燥が続くようであれば散水する。雑草も生え始めるので草取りなどの作業も行う。 | 施肥したあとに適宜散水する。その他定期的な水やりは基本不要。雑草も生え始めるので草取りなどの作業も行う。 |
4月 | 基本的には不要。乾燥が続くようであれば散水してもOK。萌芽が早まる可能性あり。光合成が活発に行われ始め、生長が著しくなるため、施肥なども行う。 | 晴天が続き、乾燥しているようであれば散水する。 | 施肥したあとに十分に散水する。加えて、乾燥しているようであれば水やりをする。光合成が活発に行われ始め、生長が著しくなるため、施肥なども行う。 |
5月 | 基本的には不要。晴天が続き、乾燥が続くようであれば散水する。芝生に害虫が付き始めるので注意する。 | 晴天が続き、乾燥しているようであれば散水する。芝生に害虫が付き始めるので注意する。 | 施肥したあとに十分に散水する。加えて、乾燥しているようであれば水やりをする。芝生に害虫が付き始めるので注意する。 |
6月 | 基本的には不要。晴天が続き、乾燥が続くようであれば散水する。特に、葉が黒く丸まっている場合は水分不足が疑われるので要注意。 | 晴天が続き、乾燥しているようであれば散水する。 | 乾燥が続くようであれば散水する。 |
7月 | 梅雨の間は、水やり不要。梅雨明け後、晴天が続き乾燥しているようであれば、十分に散水する。特に、葉が黒く丸まっている場合は水分不足が疑われるので要注意。 | 梅雨など、雨天が続いているときは不要。晴天が続き乾燥しているようであれば、十分に散水する。 | 梅雨の間は、水やり不要。梅雨明け後、晴天が続くときは2日おきに十分に散水する。雨が降った場合などは不要。 |
8月 | 晴天が続き、乾燥しているようであれば十分に散水する。特に、葉が黒く丸まっている場合は水分不足が疑われるので要注意。 | 雨の日以外、ほぼ毎日午前中に水やりをする。真夏は水切れ(水不足)を起こしやすいので注意。 | 雨の日以外、ほぼ毎日午前中に水やりをする。真夏は水切れ(水不足)を起こしやすいので注意。 |
9月 | 基本的には不要。ただし、残暑や乾燥によって葉が萎れているようであれば散水する。 | 晴天が続き、乾燥しているようであれば、2日〜3日に1回程度散水する。 | 晴天が続き、乾燥しているようであれば、2日〜3日に1回程度散水する。 |
10月 | 不要。 | 通常は不要。 | 通常は不要。晴天が続き、乾燥しているようであれば、散水する。 |
11月 | 不要。 | 不要。 | 通常は不要。晴天が続き、乾燥しているようであれば、散水する。 |
12月 | 不要。 | 不要。 | 通常は不要。晴天が続き、乾燥しているようであれば、散水する。 |
また、芝を新たに栽培するときには、芝苗を張る「芝張り」の作業や「播種(種まき)」後は、基本的にたっぷりと水やりをしましょう。
芝張り、芝の張り替えなどを行った際には、その当日にたっぷりと水やりをするのはもちろんのこと、その後1ヶ月間程度は、頻繁に水やりをします。この1ヶ月が芝生の養成期間となりますので、可能な限り乾燥させないことが重要です。
より詳しい情報は下記を参考にしてみて下さい。
小規模な芝生はジョウロや庭のホースからの散水で大丈夫ですが、公園やグラウンドのような大規模な芝生だとスプリンクラーなどが必要になってきます。
エアレーション
エアレーションとは、芝生に専用の穴あけ機で穴を開けることで、土壌中の酸素を増やし、透水性を高め、土壌表層に溜まる老廃物であるサッチの分解を促進させ、サッチの蓄積を防ぐために行います。
芝生は、畑と違って一度植えてしまうと、耕耘ができません。このため用土が固くなり、サッチが蓄積し、芝の育成を阻害してしまうのです。
エアレーションを行う適期は、芝生の生長がよい時期です。具体的には暖地型は初夏や梅雨明け、寒地型は春と秋が適期となります。また、エアレーションに合わせて、レーキや熊手で蓄積したサッチを取り除く、またサッチ分解剤を使ってサッチを除去するサッチングも行ってください。
目土(目砂)
目土は、芝生の管理特有の言葉で、「めつち」と読みます。目土は、芝生の上に川砂などをかぶせ、覆うことで、サッチの抑制や表面のデコボコを平にしたり、新芽を保護したり地温を保つ効果があったりと、非常に重要です。具体的には年間に1〜2回、4〜5月、10月に行うのがベストです。
普通の土(そこらのへんにあるような土)を使うのは駄目ですよ!
芝生の目土用の土も販売されていますので、ご自身で目土作業を実施することも可能です。
広い敷地の芝生をお持ちの方は、造園業者などに目土を頼むと良いと思います。ご自身でやるより安く綺麗に仕上がります。
⇒草刈り・芝刈りなど造園を頼みたいときにはただし、7月〜8月頃の真夏の時期は一度にたくさんの目砂を入れることは避けましょう。真夏は地温が高温になることがあり、葉や茎が傷んでしまうリスクがあります。目土入れの適した時期としては4月〜6月頃、もしくは暑さが過ぎ去った秋頃が良いでしょう。
芝刈り
芝刈りは、刈り込むことによって上への成長を止め、芽吹きを促進させて新芽を増やし、密度を高める働きがあるので、欠かせない手入れの一つです。葉が短くなる分、葉の枚数を増やして光合成ほ活発化させ、濃い緑になります。また、芝刈りしないと、芝が伸びっぱなしで害虫のすみかになってしまい、病気になりやすくなります。
生育期は月に2度以上、生育が旺盛で芝が伸びる最盛期は、出来れば週1くらいの頻度で芝刈りしてください。芝刈り機は様々な種類があり、電動、エンジン式、また刈る方式としてはリール式とロータリー式があります。さらに、芝刈り機は芝の際をうまく刈ることはできないので、見た目にこだわる方は、際刈りの為にハンディバリカンも必要になってきます。匍匐茎(ほふくけい)のような横に伸びるランナーは気にせず刈って大丈夫ですが、立ち上がりが目立つならば目土してください。
芝刈り機、芝刈りハサミやバリカンには様々な種類があるので、下記を参考にして必要な面積に応じて、ベストなものを選んでみてください。
除草
芝生にはどんな雑草が生えるのか
芝生には、約70種類程度の雑草を見かけることができます。雑草は、生育する季節によって以下の2つに大別できます。
- 「冬雑草」秋から翌年の初夏にかけての冷涼期に生育する雑草
- 「夏雑草」春から夏の高温期に生育する雑草
雑草の中には、花を咲かせるものも多いです。「綺麗だな」と残しておくと、雑草の繁殖につながるので見かけたら抜き取ったり、駆除、防除するなどの対策が必要です。芝生に生える代表的な雑草を掲載しますので、ご自身の芝生に生えてきたら該当するものかどうか調べてみてください。
植物名 | ウラジロチチコグサ | オオイヌノフグリ | カラスノエンドウ | スズメノカタビラ | オオアレチノギク | オランダミミナグサ | セイヨウタンポポ | ハルジオン | ハコベ | ノゲシ・ハルノノゲシ | ツメクサ | ノボロギク | オオバコ | エノコログサ | カタバミ | オヒシバ | メヒシバ | カヤツリグサ | ザクロソウ | コメツブウマゴヤシ | コニシキソウ | シロツメクサ | スギナ | チガヤ | ニワゼキショウ | ハマスゲ | チドメグサ | ヒメスイバ | ヒメクグ | ヨモギ |
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写真 | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | (準備中) | |||||||||||||
冬雑草/夏雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 |
芝生に生える雑草の除草方法
芝生に雑草が生えると、芝生があるため、雑草だけを草刈・草取り、手で引き抜くのは大変です。このため、芝生には影響なく、雑草だけ枯らしてくれる選択性の芝生に使える除草剤を使うのがおすすめです。アージラン(グリーンアージラン)やMCPP、24d(2,4-D「石原」アミン塩)、ザイトロンアミン液剤などがよく知られています。
芝生で使える効果的な除草剤について知りたい方は下記を参考にしてみてください。
養生
芝生の養生とは、芝生を踏みつけたりすることがないように立入りを規制することを指します。芝生を養生する理由は、外部からの衝撃を避けて芝の根や生長を促すためです。また、オーバーシーディングなど種まきをしたときにも、芝がしっかりと発芽して根付くように養生します。
特に芝張り、張り替え後、エアレーション後、種まき後、芝が弱っているときに行います。養生に使えるフィルム、シートや不織布などは下記を参考にしてください。
日当たり・水はけ
植物は光合成によってエネルギーを作ります。特に、芝は日光が大好きで日当たりが良い場所を好みます。また、野外で育てるため、水はけが良い土地が望ましいです。日陰が多い場所の場合は、日照時間が比較的少なくても問題ない品種を選ぶと良いでしょう。刈高を上げてできるだけ葉の面積を多くし、光合成を促進させるなどの工夫も有効です。
芝を増やしたい時
芝は冬枯れしたり、踏み付けられすぎたり等で枯れることもあります。枯れた後に芝を植えて、芝の量を増やして密度の濃い芝生を作りましょう。隙間を埋めて芝を増やしたい場合は、直に種まきするよりも、種を容器(ポットやプランター)で育苗し芝苗を作ってから、苗を地面に植え付けるという方法がおすすめです。植え付け後、養生期間を設けて土に定着させるようにしてください。
また、冬にも芝生を維持するために暖地型の芝生に寒地型の芝を種まきし、「芝を芝で覆う」オーバーシードという方法があります。寒地型でオーバーシードをする場合は、ウィンターオーバーシードと呼びます。一年中芝が必要な競馬場などではよく行われている方法です。オーバーシーディングは手間が非常にかかるので、メリットデメリットをよく考えた上で行ってください。
芝生と肥料
概要
芝はイネ科の多年草の総称のことで、芝生とは芝草(芝と呼びます)が一面に生えている状態にし、絨毯のように密集して植栽した場所を指します。
植物が育つためにはチッソ(窒素)、リンサン(リン酸)、カリウム(加里)の三大要素のほか、マグネシウムやカルシウム(石灰肥料が有名)などの「二次要素(多量要素)」、さらに鉄、マンガン、ホウ素をはじめとした「微量要素」が必要です。
芝草(芝)も当然植物なので、肥料は必要になります。
芝生の肥料の撒き方
固形肥料(粒状、細粒状)も液体肥料も均等に万遍なく撒くようにしましょう。
固形肥料の場合、庭などの狭い範囲では、説明書で記載されている面積あたりの適量を手で取り、均等になるよう万遍なく振りまいていきましょう。ハンディスプレッダーを使うのもおすすめです。
液肥の場合は、ジョウロを使って均等になるように散布しましょう。面積当たりの適量、希釈率をきちんと確認して薄めるようにしましょう。
固形肥料の場合は、撒いた後、芝の葉の上に残って肥料焼け等を起こさないようにするために水を撒きます。1箇所に肥料が偏ると、肥料焼けを引き起こす原因になるので注意しましょう。
また均等に肥料を散布するのに便利な、ハンディスプレッダーやより大きい、背負式や手押しの肥料散布機があるので活用してみましょう。
肥料を与える際の注意点
肥料のやりすぎ
元気に育ってほしいと肥料を沢山やりたい気持ちはわかります。しかし、休眠期に肥料をやる、また生育期でも規定以上の肥料をやるとやりすぎになってしまい、肥料焼けを起こして弱々しくなり、変色し、最悪枯れてしまいます。くれぐれも肥料のやり過ぎには注意してください。
肥料は絶対混ぜないで!
よくある失敗として、いろいろな肥料を混ぜて高い栄養素の肥料を作り与えようとしてしまうことが挙げられます。肥料を混ぜると化学反応を起こし、植物自体に被害が出るだけでなく、有害物質・ガスが発生したりと、大きな事故につながる危険性があります。くれぐれも、肥料同士を原液で混ぜることはしないでください。
雨のとき、肥料は散布していいのでしょうか?その答えは下記を参考にしてみてください。
おすすめの芝生肥料
芝生に適している、使いやすい肥料を下記にまとめました。