モッコウバラはつるバラの一種ですが、性質が少し他のつるバラとは異なるため肥料の与え方も変わります。この記事ではモッコウバラの肥料の時期や与え方について、地植え、鉢植え別に初心者の方にもわかりやすく説明します。
モッコウバラの肥料の種類
まず最初にモッコウバラの肥料の種類について説明します。バラには通常、元肥と追肥、寒肥の3種類がありますが、多肥を好まないモッコウバラは、元肥と追肥を施し、冬に行う寒肥は行いません。
元肥
苗を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
追肥
苗の植え付け後(定植後)、植物が生長していくときに、土壌の肥料切れが起こらないように追加で施す肥料を「追肥(ついひ・おいごえ)」と言います。追肥を施す時期が遅れたりすると、植物の生育期に葉の色が薄くなったり、花が小さくなったりして最悪の場合、枯れてしまいます。特に窒素、カリウムは消費されるのが早いので適切な時期に追肥が必要です。
モッコウバラの追肥は、開花が終わった後に追肥します。花が終わった後に行う追肥を、お礼肥とも呼びます。
モッコウバラ肥料の時期と与え方
元肥の時期と与え方
地植え(庭植え)
モッコウバラの植えつけ時期は、10月~11月です。モッコウバラは耐寒性は普通なので関東より西では地植えが可能ですが、寒冷地では鉢植えで冬は室内で管理します。元肥はこの植え付け時に施します。
庭に植え付ける場合は、土を横幅・深さともに40㎝~60㎝ほど掘ります。地植えの場合は、水はけがよく肥沃のよい土が必要です。土壌改良が必要な場合は、腐葉土か牛糞などを使用した完熟堆肥を、掘り起こした土に混ぜて植えつけます。この時に根鉢を崩さないように気をつけます。
株元から20㎝ほど離して円を描くように緩効性肥料を置き肥します。一般のバラの肥料の規定量の8割程度にします。市販の元肥入りのバラの培養土を使う場合は掘り起こした穴に、土を入れて植えつければ完了です。購入した苗はすでにしっかり肥料が与えられている場合があります。購入してすぐ植え付けする場合は、販売店に元肥が必要か確認してみましょう。
鉢植え
モッコウバラは、庭木のイメージが強いですが鉢植えでも育てることができます。特に寒冷地では冬の寒さに耐えられないので鉢植えが基本です。植えつけ・植え替えの適期は庭植えと同じ10月~11月です。モッコウバラは、1年中ポット苗が出回っているので、この時期以外でも鉢が小さい場合は2回りほど大きな鉢に植え替えることももできます。
植え付け・植え替えは1周り~2回り大きな鉢に植え替えます。土は元肥入りのバラの培養土が便利です。自分で培養土を作る場合は、赤玉土小粒7・腐葉土3などがよいでしょう。植え替えの後2週間ほどしてから緩効性の固形肥料もしくは有機肥料を分量より少なめに置き肥します。
購入した苗はすでにしっかり肥料が与えられている場合があります。購入してすぐ植え付けする場合は、販売店に元肥が必要か確認してみましょう。
追肥の時期と与え方
肥料食いといわれるバラですが、モッコウバラは肥料を与えすぎると花つきが悪くなります。白い花は特に花が咲かないこともあるので、肥料を与えすぎには注意が必要です。
地植え(庭植え)
地植え場合、元肥をしっかり与えれば追肥は不要です。若い苗で生長させたい場合には、花が終わった後5月頃に1度緩効性の固形肥料を与えます。また株の様子をみて、緑色の葉の下の方が黄色くなったら夏バテのサインです。液体肥料を規定より薄めてあげるか、活力剤などを与えましょう。9月以降は肥料は与えません。
植え付けの翌年からは、早春に新芽がでるころ2月下旬から3月上旬に追肥をしましょう。
追肥時には、除草をし、株元から10㎝~20㎝ほどの土の表面を軽くほぐす中耕をしてから追肥します。あまり病気をしないモッコウバラですが、有機物でマルチングすると黒星病などの病気の発生を防ぎ、生長がよくなります。
鉢植え
鉢植えの追肥は、開花の後の5月頃に与えれば十分です。若い苗で生長させたい場合には、花が終わった後5月~9月に緩効性の固形肥料を与えます。多くても月に1回、9月以降は与えません。
また10月に植え付け・植え替えをしなかった場合は2月下旬から3月上旬に追肥をしましょう。
追肥の方法は、緩効性の固形肥料もしくは有機肥料を鉢の端に数か所に置きます。根元に与えると根が肥料やけするため株元からなるべく離して、置きます。
また鉢植えの場合は、庭植えに比べ水やりなどで肥料切れをおこしやすくなります。花後に株に元気がないときや、株全体の葉の緑が薄くなり黄化している場合は、速効性のある液体肥料(液肥)を与えましょう。
モッコウバラ基本情報
モッコウバラに限らず植物を育てるには、まずその植物を知ることで育て方を知るヒントとなります。
モッコウバラの花期は通常のバラより早咲きで、4月から5月に一度だけ咲く一季咲きです。花色は白色・黄色で八重咲きや一重咲きもあります。常緑性の低木ですが、寒冷地では落葉するころもあります。非常に強健で、病害虫の被害も少ないバラで茎にトゲが少ないことから、庭先のフェンスやアーチなどにも広く使われています。
花の香りが「木香(モッコウ)」に似ていることからモッコウバラと名づけられたとされています。
学名 | Rosa banksiae |
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属名 | バラ科 バラ属 |
原産地 | 中国 |
樹高 | 2m~10m |
耐寒性等 | 耐寒性 普通 耐暑性 強い |
花言葉 | 「純潔」「初恋」「素朴な美」 |
モッコウバラの花がつかない理由
肥料の与えすぎ
モッコウバラは、多肥を好みません。肥料を与えすぎると花芽をつけることよりも、自分の枝を伸ばすことに栄養をつかってしまい花つきが悪くなったり、最悪の場合は花を咲かせないことも。特に白色のモッコウバラにはその傾向がつよいため、肥料の与えすぎには気をつけましょう。
剪定の時期
バラの剪定時期は、通常秋か冬ですがモッコウバラは新芽が伸びるのが8月頃から9月なので、その前の梅雨明けから8月頃に行いましょう。小枝は残して、太いシュートを樹形を整えながら切り落としましょう。この頃に刈り込みをすると小枝が増えて、蕾ができやすくなります。
株が若い
モッコウバラは、種から育てた場合は3年ぐらいは花がつきません。購入した苗が若い苗だった可能性もあります。確実に花を咲かせたい場合は、開花株や蕾のついた株を購入しましょう。
バラに適した肥料とは
バラの肥料は、固形肥料、液体肥料、有機肥料など多くの専門の肥料が販売されています。バラの専用肥料をうまく使って育てるのがおすすめです。地植えでは有機肥料を、鉢植えには液体肥料もおすすめです。
それぞれの特徴やおすすめの肥料についてはこちらで詳しく説明しています。
モッコウバラの栽培のポイント
栽培環境
モッコウバラは、バラと同様に日当たりのよい、風通しのよい環境を好みます。庭に植えるときには西日を避けられる環境であることもポイントです。西日のあたる場所では遮光するか、暑さに強い品種(ナニワイバラなど)を植えるとよいでしょう。
水やり
地植えの場合は、あまり気にすることはありません。夏に乾燥が続くようなら朝か夕方に水やりをします。鉢植えの場合は、土が乾いてから、鉢底から水がでるまで水やりをします。多湿が苦手なため、水やりにはメリハリが大切です。
誘引
モッコウバラは花芽ができる前、花が終わったら梅雨頃までに剪定をします。大きく育てたくない場合には、花がついた枝を好みの高さで切りましょう。大きくする場合には、誘引が必要です。
モッコウバラは、茎から伸びたシュート(新しい枝)を上に伸ばすより、地面に対して水平もしくは斜め方向に伸ばすことで花数が増える特徴があります。
病害虫
モッコウバラは比較的病害虫の被害が少ないバラですが、アブラムシやハダニ、イラガ、チュウレンジハバチなどの害虫がつきます。また病気には「うどんこ病」や「黒星病」などにかかりやすくなります。
多肥は病気の原因ともなりますので、肥料は適切に。また水はけよく風通しを良くすることも大切です。また害虫は見つけたらすぐに捕殺します。病気も害虫も早めの対応が大切です。殺虫剤や殺菌剤なども効果的です。
まとめ
モッコウバラは、通常のバラと異なり植え替えの時期や肥料、または剪定の時期などの違いもありますが、丈夫で成長も早いため初心者の人にもおすすめです。またバラの中でも挿し木で増やしやすい品種です。
ただし、シュートが暴れやすく誘引や剪定をきちんとしないと大きくなりすぎて、もさもさになり手に負えなくなってしまうこともあります。鉢植えにする際も必ず支柱を立ててうまく仕立ててあげましょう。
この記事は関東より西の暖地を基本にしております。品種や環境によって、肥料の与え方も時期も異なります。ここに記載しているのは一例ですので、この記事を参考にしながら自分なりのやり方を見つけてみてください。