ローズマリーは土を使わず水栽培(水挿し)で増やすことができます。ここでは水栽培で増やすローズマリーの挿し木の成功率を上げる方法や、土への植え替え方法、水耕栽培での育て方について説明します。
ローズマリーの水挿し(水栽培)の成功率を上げるポイント
- 挿し木は適期に行います。関東では5月下旬~6月、9月~10月頃が適期です。温度が20℃~30℃を保てるのであればいつでも行えますが、高温多湿に弱いので夏と休眠期の冬は避けましょう
- 挿し枝は、できれば今年生えた新しい茎を使い、根元が木質化していないものを選びます。
- 発根促進剤を使うと、成功率がUPします。
ローズマリーの挿し木の準備
さし枝は、苗から取る場合はできれば今年生えた新しい茎を使いましょう。春や秋に剪定した茎も、もち論使えます。なるべく根元が木質化(根元が木のように茶色く硬くなっているもの)していないものを選び、先端から7㎝~10㎝程度の茎の部分をを清潔なハサミで切り取ります。
スーパーで買ってきたものも、できるだけ冷蔵保存されておらず新しいものがおすすめ。親株から切り離した時間が長いほど、発根には時間がかかります。(時間がかかっても発根する可能性はあります)
切り口近くの葉っぱは、水に浸からないよう手で取り除きます。切り取った枝の切り口はカッターやナイフなどで、斜めにスパッと切り落とします。ハサミで切ると切り口がつぶれるので根が生えにくくなります。
切り口を下にして、水を入れたコップや空き缶に入れておきます。1時間以上はそのまま水揚げをしておきましょう。発根率を上げるには、発根促進剤がおすすめ。発根促進剤のメネデールを使う場合は、希釈したメネデールをいれた水に3時間ほど水揚げしておきます。
ローズマリー挿し木の手順(水栽培①)
上記のさし枝が準備できたら、挿し木を始めましょう。まずは一番簡単な水と発根促進剤だけをつかった挿し木の手順です。
準備するもの
- 水揚げしたローズマリーのさし枝
- コップや空き瓶など(透明なものが発根しているのでみやすい)
- メネデール(発根促進剤)
手順
- コップに水をいれます。水道水を使いましょう。浄水された水は腐りやすくなります。
- 水揚げしたローズマリーの枝を入れます。このとき葉が水につかないようにします。
- 明るい日陰で管理します。
- 水は2~3日に一度替えます。もし暑さで水が濁っている場合はすぐにかえてください。このときにメネデールを100倍に希釈した水を使います。
ローズマリー挿し木の手順(水栽培②)
次に、キッチンスポンジとペットボトルを使った方法です。この方法ですと根が出た後もそのまま水耕栽培に移行することができます。
準備するもの
- 水揚げしたローズマリーの枝
- ペットボトル
- スポンジ(キッチン用のスポンジ・やわらかめ)
- メネデール(発根促進剤)
- カッター・ハサミ
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を飲み口から7センチ程度のところをカッターやハサミなどで切り取ります。
上部を逆さにして下部にセットして使います。
- 手順2スポンジに枝をセットする
スポンジを3㎝角に切り、中央に十字の切り目をカッターでいれ、水を吸わせます。十字に切ったスポンジの間にローズマリーの枝を入れます。
- 手順3ペットボトルに設置
ペットボトルの下の部分に水をいれ、手順2で作った苗とスポンジを上部にセットします。口の部分から水を吸い込みます。
- 手順4水の交換
明るい日陰に置いて、2~3日に1度水を換えましょう。スポンジが乾かないようにします。水替えはメネデール100倍液を使います。ペットボトルの下の部分が汚れていたら、洗って清潔にしておきます。
- 手順5発根後
発根には、2週間から1か月ほどかかります。根がスポンジの下からでてきたら水の量を変えます。根の半分が根につかるぐらいにして根の上部は空気が当たるようにして育てましょう。
スポンジを使う理由
挿し木に使われるさし床と呼ばれる土の条件は、清潔で、水はけがよく肥料分がないことです。さし床には赤玉土・鹿沼土やバーミキュライトなどがよく使われます。
土を使うと植物を固定することもできますし、酸素が取り込みやすくなります。水にも酸素はありますが、土より少ないためスポンジで代用することで水分を適切な量に保ち、根の周りに空気を保つ効果もあります。
ロックウールというさし木用の人造鉱物繊維もあります。スポンジを固くしたような見た目です。
発根促進剤について
生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く元気な根を促進させるために、発根促進剤は有効です。
ルートンは、さし木、さし苗の発根を促進させる植物成長調整剤です。粉末状ですので枝の切り口3㎝ぐらいを水に浸して、粉末をまぶして使います。スポンジを使う場合や土に挿し木する場合に使うことができます。ホームセンターなどでも300円程度で買える手軽な商品で、園芸家の方たちには大変人気の商品です。
農薬ですので、使用に際しては必ず商品の説明をよく読んで、記載内容に従ってお使いください。ただし食用としてローズマリーを育てる場合は、使用できませんので注意しましょう。
植物活力素 メネデールは、発根だけでなく発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。切り花の栄養としても使えます。液肥でも農薬でもないためいつでも使うことができます。
ローズマリーの水挿しには、水揚げのときにメネデールをいれる。また水やりのときには発根まで2~3日に一度メネデールを薄めた水で水替えをするとよいでしょう。
土への植え付け
根がしっかり伸びてきたら、鉢上げして土に植え付けましょう。地植えしたい場合でもまずは鉢植えにして、大きく育ててから植え替えた方が成功率があがります。
準備するもの
- 発根したローズマリー
- 鉢(3.5 号鉢程度)
- 培養土(市販のハーブ用の培養土が便利です)
- 鉢底石
手順
- 鉢の底に鉢底石を入れ、培養土を鉢の3分の1程度入れます。
- ローズマリーの苗をいれ、根を広げます
- 2の上から用土を入れて、最後に鉢底をトントンと打ち付けてならしましょう。
- 水を鉢底から出るまで与えます。
ローズマリーの育て方や肥料については、詳しい記事がありますので興味のある方はお読みください。
水耕栽培について
そもそも水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。ローズマリーは、土で育てる場合は肥料もそれほど必要とせず、乾燥にも強く丈夫で生育も早いハーブです。雑草のように強いといわれているローズマリーですが、水耕栽培での栽培はどうでしょうか。
水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。またローズマリーは日光を好みます。真夏の直射日光でも耐えられるほどです。ただ水栽培の場合はあまり日当たりの良い場所で育てると、水の温度が上がり腐りやすくなります。
ミントやルッコラなどの葉物のハーブより水栽培には向いていないといわれるローズマリーですが、工夫次第である程度の大きさまで育てることも可能ですので下記を参考に挑戦してみてください。大株にしたい場合は土に植えつけるか、エアポンプやLEDライトを使った本格的な水耕栽培が必要になります。
水耕栽培での育て方のポイント
肥料
水耕栽培用の肥料を使います。家庭で使える水耕栽培用の肥料として有名なものは「ハイポニックス微粉」や「ハイポニカ液体肥料」です。
発根後、苗が安定してきたら少しずつ肥料を溶かして培養液で栽培していきます。濃度は、使用する肥料によって異なりますので、肥料のラベルをよく読んで適合する濃度に薄めると良いでしょう。まだ、苗が小さいときにはそのさらに半分程度の濃度で栽培すると安心です。
培養液の取り替えは、少なくとも3日に1回程度は行うようにしてください。環境によっては、培養液が悪くなりやすい場合もあるので水の濁り具合などもよく観察してください。
栽培場所
ローズマリーは日当たりの良い場所を好むので、室内の場合は窓際などで栽培しましょう。夏は窓際に置くと昼間水の温度が上がりすぎるので気をつけます。
半日陰でもある程度は育ちます。ヒョロヒョロと枝が伸びる徒長が起きたら日光不足ですので、短時間でもベランダなど日の当たる場所に昼間置いてあげるなど工夫してください。
日に当たると藻が発生したりするため、培養液での栽培が始まったら、アルミホイルなどで容器を包み、できるだけ光に当たらないようにしましょう。ゼオライトなどを底に入れておくと、水を浄化し雑菌の繁殖を防ぐ効果があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ローズマリーは肉や魚と焼くと香りがよくそれだけで、料理上手と思われます。スーパーなどでは使いたいときに売っていなかったり、1~2本でいいのに…と思ったこともあるのではないでしょうか。
自分で育てれば、好きな時に使えますし観葉植物としても小さな花が咲きます。花言葉は、「誠実」「変わらぬ愛」などがありプレゼントとしても素敵ですね。挿し木はそれぞれの環境や品種によっても、発根ぜず枯れてしまうこともありますが、失敗しながら育てていくのも植物を育てる楽しさでもあります。
ローズマリーは春や秋に花屋さんやホームセンターでポット苗が出回ります。種まきをして増やすこともできますが、挿し木は手軽で簡単なので一度挑戦してみてはいかがでしょうか。この記事を参考にしながら自分なりのやり方を見つけてみてください。
その他の水耕栽培のコンテンツ
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