ガジュマルは、観葉植物としても人気で土を使わない水耕栽培でも育てることができます。ここでは、ガジュマルを水耕栽培で育てるための植え替えの方法や、ハイドロカルチャーへの植え替え、育て方についてわかりやすく説明します。
ガジュマルの水耕栽培への植え替え
それでは土で育ったガジュマルを水栽培で育てるための手順を説明します。
水耕栽培の植え替え時期
水耕栽培を始めるには生育期がおすすめです。通常のガジュマルの植え替え時期と同じ、5月上旬~7月上旬が適期です。。植え替えは手術と一緒です。植物の根を切ったり育ってきた環境を変えるため、夏や冬に行うと、根や茎を傷つけると修復できない可能性もあります。
準備するもの
- ガジュマルの鉢植え
- ペットボトル(根の成長をみれる透明なグラスや、ガラスの器やコップなどでもできます。)
- カッターorハサミ(ライターなどであぶり消毒しておきます)
- その他新聞紙や軍手などがあると便利です。
手順
- 土から水に植え替えるガジュマルは1週間ほど水を上げずに乾燥させてから、鉢から外します。
- 根っこをほぐすように土を落とし水で洗い流します。
- 長い根や黒ずんだ根など傷んだ根はカッターかハサミできりとります。(根腐れしている場合は全部根を切り取る)
- ペットボトルや器に水をいれ、ガジュマルを置きます。
- 1週間程度は明るい日陰で室内で管理しましょう。2~3週間程度で新しい根が生えてきます。
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります
ハイドロカルチャーでの植え替え方法の手順を説明します。ここでは水栽培で発根させたガジュマルの苗を使います。土で育てた苗を、土を洗い流した苗でも植えつけることはできますが、水栽培で発根させた苗のほうが、植え替えの成功率は高くなります。
準備するもの
- 水栽培用に発根したガジュマルの苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- ハサミ
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろや、ピンセットなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- ガジュマルの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の6分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ガジュマルの水耕栽培での育て方
ガジュマルの特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
ガジュマルの最大の特徴は、気根(空気中に出ている根)という根を茎から出して成長します。東南アジア等の亜熱帯から熱帯地方で自生しているため、暖かい場所を好み寒さには弱い植物です。春から夏にかけて成長し、気温が10℃を下回る秋から冬は休眠します。
日光が大好きですが耐陰性もあるため室内の明るい場所でも育てることができるため水耕栽培に向いているといえるでしょう。
園芸分類 | 観葉植物 |
---|---|
学名 | Ficus microcarpa |
属名 | クワ科イチジク属 |
原産地 | 沖縄・東南アジア・ 台湾 オーストラリア北部 ・ミクロネシア |
樹高 | 品種による ~20m |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 健康 |
置き場所、日当たり
もともとガジュマルは日光が大好きです。室内のできるだけ日当たりの良い場所に置きましょう。だだし水栽培の場合、直射日光は葉焼けや容器内の水温が高くなりすぎる危険があるため、避けます。ガジュマルは耐寒性は強くありません。特に冬場は昼間は日差しの当たる窓辺に置いたままにしておくと、夜は気温が下がり寒くなります。置き場は温度が5℃以下にならない場所で管理すれば冬越しは可能です。
ガジュマルは耐陰性もありますが、日当たりのよくない洗面所や寝室などに置く場合は、1週間ごとに日当たりのよい場所へ入れ替えるなど、ローテーションさせてるとよいでしょう。植物用のLED照明も効果的です。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の3分の1以下です。気根だけでなく細い根も酸素が必要です。水は毎日変えるのではなく、水切れしてからあげましょう。ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるので、水がなくなってから2日~3日ほど待って水やりをします。水やりはハイドロボールなどは外から乾いているように見えても、鉢の中側は湿っていることも多いためです。水は鉢の6分の1まで入れます。冬寒い場所に置くようでしたらさらに頻度を下げて、3日~5日程度待ってから与えます。
水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから生育期は2~3日ほど冬は3日~5日待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。ガジュマルは多湿を好むので、生育期には意外と早く水切れしていることもあります。毎日観察してあげましょう。
水位計は、ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
ガジュマルの水栽培は、肥料がなくても育ちます。肥料を使うと生育が早くなったり、葉が大きく広がります。水栽培の肥料は、液体肥料(液肥)を薄めて使います。春から秋まで月に2回ほど液体肥料を与えます。水やりのときに水代わりに与えます。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える液肥は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料やメネデールなどの活性剤もおすすめです。
剪定
ガジュマルは成長が早く、枝がどんどん大きくなります。大きく伸びた枝や、枯れた枝、徒長した枝などは、「切り戻し」をして全体の姿を整えます。全体がひょろひょろと徒長したり枯れてしまっていたら、すべての枝をとる「丸坊主」にしてしまいましょう。ガジュマルは生命力が強いので全部刈り取ってもすぐに新芽がでてきます。時期は5月から7月ごろがよいでしょう。
ガジュマルの特徴てきな太くて大きな茎や根を張らせるには何年もかかりますが、葉っぱを楽しむなら剪定した枝を使って、挿し木をして増やすこともできます。
挿し木の水挿し
剪定した枝を使って、水栽培用のガジュマルをふやしてみましょう。こちらは葉を楽しむために使います。
- 切った枝から白い樹液がでてくるので、こちらを洗い流します
- 葉っぱは、上のほうについている2~3枚を残して、下葉はとりのぞきます。
- コップやペットボトルなどに水をいれ、切り取った枝を挿します。葉が水につかないようにしましょう。
- 明るい日陰で管理します。水は毎日変えましょう。2週間~3週間ほどで発根します。そのまま水栽培でそだててもよいですし、ハイドロカルチャーにも植え替え可能です。
水栽培(水耕栽培)のメリット
水耕栽培は、家庭菜園でも農家でも行われる栽培方法ですが、家庭で水耕栽培をするメリットはいくつもあります。
- 室内でも気軽に栽培できる
- 身近にある手軽なもので栽培ができる
- 土作りが不要である
- 無農薬・減農薬栽培がしやすい(虫がつきにくい)
- 水やりの手間を少なくできる
- 小さなスペースでも栽培できる
- 植物の生長が早くなるとともに、質が安定しやすい
- 見た目をおしゃれにすることで、インテリアとして楽しむことができる
しかし水だけでは土に比べて養分が足りないため、植物を大きく育てることには不向きです。また日光が必要な植物にはLEDライトなど初期投資がかかることもあります。
まとめ
ガジュマルは、盆栽のように育てる人もいますし、多肉植物と寄せ植えなどにも使われます。丈夫で耐陰性もあることから水栽培に向いている観葉植物です。インターネットでもハイドロカルチャーは多く販売されています。
ガジュマルは別名「多幸の木」とも呼ばれ、風水などでも人気です。テレワークなどで家にいることが増えた今、緑が家にあると目を休める効果にもなりますし、心も元気にしてくれます。
水栽培は、土や病気の心配もすくない初心者の方でも思いついたら、水とペットボトルなどの器があればすぐ始められる栽培方法です。ぜひお気に入りのガジュマルを見つけたら水栽培に挑戦してみてください。
『農家web』にはこのほかにも、水耕栽培のコンテンツが豊富です。観葉植物だけでなく、多肉植物や花を楽しむ球根、野菜やハーブなどは収穫も楽しめます。
品種名から栽培方法を探すことができます。