ギシギシ(羊蹄)は日本全土の空き地や畑地、駐車場などによく生えているタデ科スイバ属の多年生雑草です。
道ばた、畑地、畦畔でもよく発生し、やや湿った場所を好みます。ここでは、ギシギシを、どうやって駆除し、防除していくのか、おすすめのギシギシを枯らす除草剤を中心に説明していきます。
ギシギシの特性
科 | タデ科スイバ属 |
種類 | 多年生草本 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Rumex japonicus |
別名 | ウシグサ,シブクサ,ノミノフネ、シノネ |
ギシギシはタデ科スイバ属の多年草で、古来生薬や食用として親しまれてきた植物です。名前の由来は諸説あり、穂を振った時にギシギシ音をするからとか、地方の方言からなど様々です。
茎は直立して1m程になり、根が黄色く太いのが特徴です。根を乾燥させて古くから生薬として使われています。茎上部に分枝した花序をつけ、淡緑色で小さい花を多数付けます。冬はロゼット葉を大きく展開して越冬し,春になるとまた中央から茎を伸ばして生長します。刈払機(草刈り機)などで地面スレスレに刈られても根が大きく生長していると根から発芽、萌芽し、そのまま放置していると、より繁殖を促してしまいます。
畑地、果樹園をはじめとして、空き地や耕作放棄地、道端、荒地、畦畔、ある程度湿った場所でよく生長します。特に田んぼの近くの畦や果樹園でよく目立ちます。
またスイバと似ていますが、根生葉の形が丸みを帯びていればギシギシ、矢じり型になっていればスイバで見分けをつけることができます。
草刈り、草取りで除草
ギシギシを防除するためには、まず草刈りを行い、茎を刈ることで出来るだけ結実するのを防ぐようにしましょう。しっかり刈ることで根に栄養を蓄積するのを防ぐのが重要です。
除草道具については下記を参考にしてみてください。
除草剤で除草
しかし、大きく育ったギシギシは草刈りだけではまた根から萌芽して繁殖しはじめます。このため、草刈り後に除草剤によって防除することが大事になってきます。
グリホサート・グルホシネート系除草剤
ギシギシの防除に使える除草剤で一般的なのは、下記のようなグリホサート系とザクサやバスタに代表されるグルホシネート系の葉茎除草剤です。
しかしこれらの薬剤は非選択制(なんでも枯らしてしまうタイプ)なので、圃場、果樹園の周りや畦畔、畦道で、定植した作物に影響与えない場所に限られます。枯らしたくない植物にかからないように注意しましょう。
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | エイトアップ | ネコソギロングシャワーV8 | グリホエースプロ | はやわざ | アースカマイラズ | カダン 除草剤 ザッソージエース | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 | アイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 | 早く効いて根まで枯らす除草剤 |
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概要 | ||||||||||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | (有)チャレンジサービス | レインボー薬品(株) | (株)ハート | (株)ハート | アース製薬(株) | フマキラー(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) | アイリスオーヤマ | トムソンコーポレーション(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 + MCPA | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル | グリホサートカリウム塩 + MCPA | グリホサート イソプロピルアミン塩 + MCP A |
農耕地使用 | ○ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ | ✖️ | ✖️ | ほぼ✖️ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ |
グルホシネート系の代表的な除草剤
商品名 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
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概要 | ||
販売元 | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
農耕地使用 | ○ | ○ |
作物の定植や芝生、牧草地に生えて、芝生や牧草を枯らしたくない場合などは、下記のような選択制の除草剤を使用すると良いでしょう。
ハーモニー(チフェンスルフロンメチル剤)
ハーモニーはチフェンスルフロンメチル剤の除草剤で、生育期のギシギシに対して根まで枯らすすぐれた除草効果を発揮します。牧草地や小麦栽培のほ場でよく使用される除草剤です。
アージラン液剤 (石原バイオサイエンス(株))
アージランはアシュラムが成分で一年生、多年生雑草を問わず、広範囲の雑草に効き、多年生雑草の地下茎まで枯死させる優れものです。芝を枯らさず、芝に生える雑草の広範囲に効くため、芝生での除草によく使われますが、畑でも、さとうきび畑やほうれん草、おかひじき、しそ、桑などの作物で使用可能な強力な葉茎処理剤です。
オヒシバ、メヒシバ、スズメノカタビラ(生育中)を防除することができ、生育中の広葉雑草にも高い効果:特にキク科雑草(ヒメジョオン、アレチノギク、オオアレチノギクなど)に有効です。
使い分け方としては、クローバ混播草地や、春に散布するときはアージランを、夏散布や夏新播草地への秋散布にはハーモニーを使う方法があります。
この他、バンベルD、シバゲンなどもおすすめです。気になる方はぜひリンクをクリックしてみてください。
また、除草剤の効果を高めるのに、薬液に展着剤を混ぜるのは非常に有効です。展着剤については下記を参考にしてください。
(農耕地以外での)ギシギシの防除方法
除草剤(土壌処理剤)での防除
土壌処理剤は、まだ雑草が生えてきていない、また草丈が低い時期に散布し、地面に膜を張って、新しく生えてくる雑草を抑えるものになります。春先などにしっかり撒けば、長期間防ぐことができます。ここでは、代表的なおすすめの土壌処理剤をご紹介します。
クサノンEX粒剤 (住友化学園芸(株))
ターバシル・フルミオキサジン、2種類の有効成分で、スギナ・ススキ・ヤブガラシ、シロツメクサ、ヒメジョオン、シロザ、アレチノギクなど各種雑草の葉や茎だけでなく根までスッキリ枯らすことができる微粒の土壌処理剤です。低温時にも使え、植栽地を除く樹木等の周辺地に撒くことを想定した薬剤です。
カダン除草王(フマキラー(株))
カダン除草王の成分カルブチレートは、非ホルモン型吸収移行性の尿素系の微粒(粒状)除草剤であり、雑草・草の光合成阻害により除草します。
カダン除草王は、細粒の非選択制除草剤で、メヒシバ、オヒシバ、スズメノカタビラ、ブタクサ、ツユクサ、カヤツリグサ、コニシキソウ、ハコベ、エノコログサ、カラスノエンドウなど一年生雑草といわれる一般的な雑草から、セイタカアワダチソウ、ヨモギ、スギナ、カタバミ、オオイヌノフグリ、オオバコといった多年生広葉雑草、ススキ、チガヤといった多年生イネ科雑草、ササ類など枯れにくい雑草まで、根っこまで枯らすことができます。効果は最大約6ヵ月間と長期間持続することも特徴です。
非選択性で全ての植物、庭木に影響を与えるため、植物、庭木を植えている、植える予定の花壇やまた畑、水田といった農地ではなく、道路や空き地等で撒けることを想定した商品です。
ネコソギパワー粒剤 (ネコソギトップW) (レインボー薬品(株))
アミカルバゾン、ブロマシルを成分とし、粒のまま地面にパラパラ撒くタイプの粒状の除草剤で、除草効果が約5~9ヶ月間という非常に長期間持続するのが特徴です。1~2週間で枯れ始め、30日前後でほとんど枯らすことができ、成分が土壌に一定期間とどまるので、新しい雑草の発生を予防できます。
芝生でオオアレチノギクを除草したい場合は、グリーンアージランやシバニードアップなど、芝で使える除草剤も豊富にあります。詳しくは下記を参考にしてください。
防草シートでの防除
ギシギシをしっかりと駆除した後、その場所に防草シートを貼ることが可能であれば、防草シートを貼ることは、非常にに有効な防除になります。防草シート(除草シート)は、光をほぼ遮光することで、植物に光合成を行えないように抑制するもので大変有効です。
防草シートについては、下記のコンテンツに詳しく説明していますので、防草シートを貼ることが可能な方は、是非参考にしてください。
まとめ
果樹園、畦畔、畑などでよく自生している強雑草のギシギシ。多年生で一回の除草で防除することは困難な厄介な雑草です。エゾノギシギシの種子生産数は一株当たり数千から十万という報告があり、繁殖力も強力です。まず茎を刈り、根まで枯らす除草剤でしっかり駆除するようにしましょう。
その他の庭や畑に生える雑草にお困りの方は、難雑草(イタドリ、スギナ、竹、苔、イヌビエ、イボクサ、イヌタデ、ヤブガラシ、チドメグサなど)水稲での水田雑草(クログワイ、チガヤ、オモダカなど)の駆除、除草についてまとめた下記コンテンツをどうぞご参考にしてみてください。
また、除草、草刈りのための農機具、農具、草刈機(刈払機)、ブレード(チップソーなど)、資材については、こちらをご参考ください。
除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。