多肉植物にはどんな鉢がよいのでしょうか。この記事では、多肉植物鉢について、難易度別におすすめの植木鉢やその鉢に合った水やりのコツなどをわかりやすく説明します。
そもそも多肉植物におすすめの鉢って?
そもそも多肉植物は、 雨が少ない場所や岩場などに生育するものが多い植物で、乾燥した過酷な環境を生き抜くために、根や茎、葉などを肉厚にして水分を蓄える性質をもつ植物です。
このことから多肉植物は、過湿が苦手。高温多湿で、季節の気温差が大きな日本で多肉植物を育てるのは、鉢植えが基本です。通気性がよく、水はけのよい鉢が一番おすすめですが、土や水やりをうまく調整すれば、どんな鉢でも育てることができます。
鉢のいろいろ
難易度:編集部の主観となりますので、あくまで目安としてお考え下さい。
難易度 ★☆☆ 初めて多肉植物を育てる方向け。一番基本
難易度 ★★☆ 初中級 初めてでも、水やりや土に注意してチャレンジ。
難易度 ★★★ 中級 初めての人は乾燥に強い品種で1種から始めてみましょう。
素焼き鉢
難易度 ★☆☆
テラコッタとも呼ばれる一番オーソドックスな栽培用の鉢。鉢内が蒸れにくく通気性がよいので、多肉植物には一番おすすめの鉢。大きさもさまざまあり、劣化していくことで、味がでてくるのも魅力。
木製容器
難易度 ★☆☆
ナチュラルな雰囲気を出したいなら、木の箱もおすすめです。庭をイメージしていろいろな種類のサボテンや多肉植物を植えてみるのもいいですね。ただ自然のものなので、環境が悪いと木は腐る可能性もあります。大きなものは、鉢カバーとして使って鉢を別にすれば、異なる品種も育てることができます。
ブリキ
難易度 ★★☆
金属なので、通気性や排出性は素焼き鉢より悪くなりますが、底に水抜き用の穴をあけることで水やりの工夫はいらなくなります。釘などで簡単に開けることができるので、色を塗ったりDIYするにもうってつけ。さび入りのものはアンティーク調でワイルドな雰囲気をだすこともできます。
陶器
難易度 ★★☆~★★★
テラコッタ鉢も陶器ですが、表面に薬を塗って焼いた鉢で塗り鉢(化粧鉢)は、保温性・保湿性が高く通気性はよくありません。鉢は底に穴が開いているので難易度は★★☆ですが、コーヒーカップやお皿など鉢穴がない容器は、難易度★★★になります。
鉢穴がない容器の場合は、器の下に大粒の鉢底石をいれましょう。水はけがよくなります。また水やりをした後には、下からもれでないため余った水は上から横にして出してあげてください。
プラスチック鉢
難易度 ★★☆
軽くて持ち運びやすく、吊り下げて飾るハンギングにもおすすめのプラスチック鉢。通気性がよくないので、スリット鉢など水はけのよいものを選びましょう。また黒いプラスチック鉢は保温性があるため、多肉植物の栽培にむいているといわれています。
購入したときに、植木鉢と2重になっている中のポリポットは、一時的なものなので買ったらすぐ外しましょう。
ガラス容器
難易度 ★★★
ガラス瓶や器に、観葉植物を入れて栽培をすることをテラニウムといいますが、多肉植物もテラニウムは可能です。ガラスの器は直射日光が当たると鉢内が高温になったり、底穴がないので水やりにも注意が必要です。
浅くて、口が広いものがおすすめです。蓋つきのものは通気性が悪くなるのでおすすめしません。またハイドロカルチャーでも多肉植物は育てられますが、初心者の人はまず土から、寄せ植えせず単種類で始めてみましょう。
多肉植物のテラニウムについては、詳しい記事がありますので興味のある方はお読みください。
【補足】黒いプラスチック鉢について
多肉植物の栽培家の人たちが、黒いプラ鉢をよく使っているのをご存じでしょうか。プラスチック鉢より素焼きの鉢のほうが、多肉植物にメリットが多いのになぜよく使われているのでしょうか。
プラスチック鉢は素焼き鉢に比べ安価で、軽量なこともメリットですが、プラ鉢のデメリットである鉢内の温度が上がりやすいという特徴が、まだ根のよく張っていない若い株に好都合だからです。
鉢が温まると、根の発育が促されて発根が早くなり、健康な鉢に育ちます。特に黒い鉢は温度が上がりやすいので、増やして販売している栽培家の方たちが愛用しているのです。
栽培家の方たちは、そのメリットとデメリットをしっかり理解して、水やりや置き場所を管理して使っています。だれでも最初は初心者です。育てながらいろいろ植物に教えてもらいましょう。
その他鉢植えの選び方のポイント
小さな鉢に、ギュギュと詰めて植えたい
小さな鉢に花束のような多肉植物の鉢植えは、とてもかわいいですよね。小さな鉢に植えるなら、セダム属がおすすめ。セダム属は、根が細く暑さ寒さにも強い品種が多いのが特徴です。難易度が低いものを選んで挑戦してみましょう。セダム属の虹の花は育てやすく、紅葉するので初心者でも安心して育てられます。
おしゃれに飾りたい
どんな鉢でも、育てられる多肉植物。インターネットにもおしゃれな多肉植物の写真がたくさんあります。でも多肉植物は、植物だということを忘れないでください。
残念ながら、見栄えだけのために接着剤で固めた土に植えたり、生育環境の違う多肉植物を寄せ植えしたりしているものも見かけます。
難易度の低い、素焼き鉢でもおしゃれな鉢もありますし、自分でペイントしたり、マスキングテープで飾ったりすれば自分好みに代えることもできるので、いろいろチャレンジしてみてください。
室内で育てたい
もともと、多肉植物は日当たりの良いところが大好き。ですが室内でももちろん育てられます。そんな人には直射日光を当ててはいけないテラニウムや、土を使わないハイドロカルチャーがおすすめ。
どちらも少し難易度は高いので、初心者の人は育てやすい品種を選んでまずは、一種類から始めてみましょう。一種類だけだとさびしい・・と思ったら、フェイクグリーンやフィギュア・ミニチュア・エアプランツなどを使えば、多肉を枯らす危険も少なく、かわいく飾ることができます。
初心者には穴のない鉢は無理?
多肉植物の水やりの方法は、鉢穴から水がでるまで与えると書いてあることが多いので、初心者の人にはそれが水やりの目安になります。
でももちろん、方法を工夫すれば底穴のない鉢でも育てることができます。
- 根腐れ防止に、底には根腐れ防止剤のゼオライトをいれる。もしくは鉢底石として軽石や小石などをいれること。
- 用土は排出性のよい配合で(赤玉土2・鹿沼土2・腐葉土2・川砂2・ピートモス1・くん灰1など)
- 生育期にはたっぷり与える水ですが、鉢の中に水がたまってしまったら、鉢を傾けて水を出しましょう。ガラスなどで水が溜まっている場所がみえるなら、ティッシュなどをピンセットで挟んで吸いとる方法もあります。
- 鉢を2重にする。植えている鉢と周りの鉢を変えるという方法です。多肉植物自体は、穴の開いていない容器より小さな鉢に植え、周りを土やハイドロボールなどで埋めます。
100均でもおしゃれな鉢はある?
100均にも、多肉植物の鉢にできるものはたくさんあります。ダイソーやセリアなどには植木鉢はもちろん、ガラスの器やブリキ缶も。サビ加工などもされていて、おしゃれです。このほか、ワイングラスやマグカップなどを使っても。
100均には、多肉植物の苗も販売されていますし、土やハイドロカルチャー・肥料などが置いてあります。多肉植物はあまり状態のよくないものも、置いてありますので葉っぱにハリがあって、根がグラグラしていないものを選びましょう。
鉢植え用の土
多肉植物の鉢植えの土は、通気性や水はけがよくある程度の保水性があるものを使います。市販のサボテン・多肉植物用の培養土が便利です。自分で配合する場合は下記がおすすめです。このほか苔をつかったりヤシの実チップなども寄せ植えには便利です。
- 水はけのよい配合:赤玉土4・軽石4・腐葉土1・くん炭1
- やや保水性を高めた配合:鹿沼土4・軽石2.5・腐葉土2.5・くん炭1
多肉植物の土については、詳しい記事がありますので興味があればお読みください
まとめ
多肉植物は、他の観葉植物に比べて育てやすく、また100円ショップなどでも手に入れやすいことから人気があります。ぷくぷくした葉や、花のようにロゼッタ状に育つはエケベリア、太く膨らんだ茎や根が特徴の塊根植物(コーデックス)、テキーラの原料であるアガベなど多様な種類があります。
難易度も多肉植物によってさまざまです。できればガーデンセンターや花屋さんで買う場合は品種や生育タイプや育て方も聞いてみましょう。
観賞用としてガーデニング・インテリアの中でも非常に人気のある植物です。ぜひお気に入りの鉢を見つけて、寄せ植えやテラニウムなどを楽しんでみてください。
農家webではサボテンや品種ごとの多肉植物の栽培の記事がたくさんあります。土だけでなく水耕栽培でも育てることができますよ。