妖艶な香りと、夜に純白の大きな花を咲かせる月下美人は、サボテン科に属する多肉植物です。サボテンの仲間ですが、一般的なイメージにある大きな柱状の柱サボテンや玉状の棘が特徴の玉サボテンなどのサボテンとは性質が異なります。
では、月下美人はどのように育てたら、美しい花が咲くのでしょうか。この記事では月下美人の花を美しく咲かせるための育て方について、季節ごとにわかりやすく説明します。
月下美人の育て方 年間スケジュール
月下美人は、春から夏に生育し、冬に休眠する多肉植物の夏型です。年間のスケジュールを書きにまとめました。
- 春
- 夏
開花の時期です。
真夏の直射日光は苦手ですので、葉焼けしないよう半日陰で管理しましょう。日本の夏は多湿ですので、風通しの良い場所で株を蒸らさないように注意します。
水やりは春と同様に、土の表土が乾いたら鉢底から水が出るまで与えます。肥料も追肥します。
- 秋
9月は植え替え・剪定が可能です。水やりは11月頃から徐々に頻度を少なくし、冬の休眠期に備えます。肥料は11月からは一切与えません。
秋から霜が降りる前までは、よく日光に当てることで株がしまります。霜が降りる前に鉢を室内へ入れます。
- 冬
休眠期に入ります。日当たりの良い室内で、管理します。水やりは頻度と量を減らして、乾かし気味にします。月下美人は寒さに弱いので5℃以下にならないようにします。
月下美人の育て方
月下美人の基礎知識
園芸分類 | 多肉植物 |
学名 | Epiphyllum oxypetalum |
原産地 | メキシコ~中央アメリカ |
草丈・樹高 | 1m~3m |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 普通 |
花言葉 | 「艶やかな美人」「はかない恋」「秘めた情熱」 |
月下美人(ゲッカビジン)は、森林性サボテンで、サボテン科のエピフィルム属に属しており、原産地では雨の少ない岩石地帯に自生し、樹木に着生して育ちます。シャコバサボテンは近縁種です。
月下美人は、扁平型やコンブ状の茎節をもち、古い株になるとシュートと呼ばれる棒状の茎が伸びます。花色は白色で下向きについた蕾(つぼみ)が、咲く数日前から上を向いて上向きに開花します。外弁がピンクや黄色になる品種もありますが内弁は白色です。花の中央から長く突き出した雌しべがあり、周りを雄しべが取り囲んでいるのが特徴です。夕方から夜に向けて満開になり、一日でしおれてしまう一夜花です。
月下美人の種類(品種)
月下美人の花期は7月~11月ですが、連続的に開花するのではなく7月から3週間~4週間にぐらいに2回から3回ぐらいまとまって開花します。
月下美人は原種で、月下美人の品種の中で最も香りが高い「姫月美人(ヒメゲッカビジン)」や月下美人と姫月美人の交配の「満月美人(マンゲツビジン)」、宵待美人との交配種「歌麿呂美人(ウタマロビジン)」、菊咲きの「十三夜美人(ジュウサンヤビジン)」などがあります。果実がドラゴンフルーツとして有名なドラゴンも月下美人の仲間です。
月下美人の品種やクジャクサボテンとの違いなどは記事がありますので、興味がある方は読んでみてください。
栽培環境
寒さに弱い月下美人は5月~梅雨までと秋は日当たりのよい、風通しのよい屋外で管理します。梅雨明けからは直射日光のあたらない半日陰で管理しましょう。場所を移せない場合などには寒冷紗などで遮光します。真夏の直射日光は葉焼けの原因にもなるので、気をつけましょう。9月~10月上旬には外でしっかり日にあてることで、株が締まり丈夫になり花芽がつきやすくなります。
月下美人は元々メキシコなど日差しが強く温暖な地域に生息しているため、耐暑性はありますが、寒さにはあまり強くありません。霜の降りる冷え込む前には室内で管理してください。
日当たりの良い室内で管理しましょう。夜間でも気温が10℃以上を保てる場合は、株を成長させることができます。5℃以下になるような場合は、水やりを断水気味にして冬越する必要があります。
水やり
多肉植物は、雨が少ない場所や岩場などに生育するものが多い植物で、乾燥した過酷な環境を生き抜くために、根や茎、葉などを肉厚にして水分を蓄えるようになっています。だからといって、水やりが必要ではないわけではありません。また通常のサボテンより月下美人は水を必要とします。
月下美人の水やりのポイントは、生育期と休眠期で水やりの方法を変えることです。サボテンは多肉の夏型なので、基本的には生育期の5月〜10月は、表面の土が乾いてきたら水やりをします。この時の水やりはジョウロで根本に水を与える灌水で、底から水が流れでるくらい与えます。
休眠期にはいる11月ごろからは表面の土が乾いて2~3日経ってから少量の水を与えます。10℃以上の環境が保てる場合は 12月以降も同様の水やりを行ってください。5℃程度で管理する場合は、さらに頻度を減らして断水気味に管理します。完全な断水は、株を弱らせる原因になりますので、5℃以下にならないようにして冬越しします。
クジャクサボテンは夏に水やりを控えますが、月下美人は控えず通常通り行います。夏の夕方に葉水を与えてもよいでしょう。
用土
一般の草花や観葉植物では、鉢植えの場合は、赤玉土と鹿沼土を基本用土として、ピートモス、バーミキュライト、パーライトやココヤシチップといった改良用の土を基本用土にプラスして使います。
しかし、多肉植物は休眠を伴うものが多く、休眠中の多肉植物は、根もほとんど給水しないので、根腐れを防ぐために鉢土を完全に乾燥させる必要があります。
クジャクサボテン専用の培養土かシャコバサボテン専用の培養土が販売されていますのでそちらが便利です。専用の培養土を使う場合も鉢底には鉢底石を敷きましょう。自分で配合する場合には、赤玉土5・腐葉土3・鹿沼土2や赤玉土5・腐葉土2・くん灰1・牛ふん(堆肥)2など水はけや通気性のよい土を好みます。川砂などの割合が多いサボテン用の土は、あまりおすすめしません。
肥料
砂漠などの栄養の少ない土でも育つサボテンですが、肥料をあげることで元気にすくすくと育ちます。
月下美人は花つきをよくするために肥料が大切です。元肥は植え付けや植え替え時に行います。 植木鉢などで栽培する場合は、元肥をしっかりと施し、適期に追肥を行っていきます。月下美人は、4月から10月の間は肥料を切らさないようにします。11月以降は肥料は与えません。
元肥には緩効性肥料を、7月~9月頃までは緩効性肥料を追肥し、さらに月に2回ほど液体肥料(液肥)を施します。11月には肥料が切れている状態にします。さし木などで増やした幼い苗には、肥料は多めに施して成長させます。
月下美人におすすめの肥料や与え方については下記で詳しく説明しています。
病害虫
月下美人は、アブラムシ、カイガラムシ、ケムシ、ヨトウムシなどの害虫が発生する恐れがあります。梅雨にはナメクジが発生して新芽や花芽を食害する恐れもあります。それぞれの害虫によって葉っぱを食い荒らしたり、ウイルスを伝染させたりと活動も異なり、幼虫や成虫などによって対応は変わります。見つけたら早めに取り除いてあげましょう。カイガラムシは歯ブラシや布なのでこすり落とします。殺虫殺菌剤なども有効です。
また湿気の多い場所に置いておくと、根腐れ病や茎枯れ病・茎腐れ病などにかかる恐れがあります。予防には、湿気の少ない風とおしの良い場所に置いてあげましょう。
剪定(摘心・切り戻し)
月下美人は、そのままにしておくと草丈(樹高)が大きくなりすぎることがあります。株元から棒状の丸い枝(シュート)が伸びてきたら、若芽をひねって取ります。
また9月頃に室内に取り込む前などに、枯れた茎や伸びた部分を整えて、切りそろえる切り戻しを行いましょう。茎節をハサミで切るか、若芽を手で切り取ります。切り取った茎節はさし木としてつかうこともできます。
支柱立て
月下美人の大型の品種は、支柱をして支えを取り付けます。アサガオなどのあんどん支柱を用いた「あんどん仕立て」や、鉢にトレリスを立てて、茎節を止めていく「扇支柱仕立て」などの方法があります。
月下美人の植え替えの方法
月下美人は生長に合わせて、1年~2年に一度、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。根詰まりの防止にもなります。
植え替え時期
5月~7月及び9月が適期です。
植え替えの手順
- 植え替える株を、鉢から抜き取ります。
- 底土をほぐして落とし、古根を1/3にカッターかハサミで切り詰めます
- 鉢底に鉢底石をいれて、用土に元肥を施して植えつけます。(浅植えがおすすめです)
- 水やりは4~5日後から、1か月後ぐらいで通常の水やりに戻します。
同時に、剪定や支柱立てをして鉢を整えてあげましょう。株が二株以上ある場合は、株分けして別の鉢に植え替えしてもよいでしょう。
月下美人のふやし方
月下美人は挿し木(さし木)でふやすことができます。時期は5月~9月に行います。間引きするように茎節の根元から切り取り、用土にそのまま挿します。または剪定の時に切り取ったシュートをそのまま挿し木としてつかうこともできます。
まとめ
夜に一夜だけ白い花をさかせる月下美人は、観葉植物として人気が高く、実をつけるために食用月下美人と受粉させたり、新たな品種を作るために交配したりと奥が深く、愛好家が多くいます。
サボテンの中では、少し育て方が変わっていていて多肥・多水を好みます。サボテンと同じように育てると枯れてしまうこともありますので注意が必要です。
春にイースターカクタス、夏にクジャクサボテン(孔雀サボテン)や月下美人、冬にシャコバサボテンなどを育てれば一年中花を楽しむことができます。ぜひお気に入りの品種を見つけて上手に育てて、美しい花を咲かせてみてください。