ホームセンターに置かれている防草シートと防草ネット。一見同じように見えますが、実は機能、用途は結構違います。
ここでは防草ネットについて、その性質と、防草シートとの違いを解説します。また用途に合わせたおすすめの防草ネットもご紹介していきます。
防草ネットとは?
防草ネットとは、雑草の上に被せてネットで雑草を押え込み、ネットの中で枯れさせてそれ以上に広がらないようにするネットのことを指します。
ネットなので水も光もよく通し、雨水で水たまりやぬかるみを作ることもありません。またネットの中で雑草の繁殖を押さえることで、雑草はネット下で枯れ土壌に吸収されます。このため土壌の流出も起こりません。
また雑草をネット内に抑制することでカメムシやアブラムシ、コナジラミなどの害虫の発生もある程度押さえてくれるので駆除するための農薬の使用量も減少します。
主に屋外の農業用として、果樹園、菜園、畑地の畝間や通路、畦畔などで使用します。特に果樹園では、透水性、日光を維持しながら雑草を一定量で抑え込むので、草刈りの手間を省き、雑草はネット下で枯れて土壌の養分となり、最適な土壌環境をに保つことができます。さらに廃棄の場合には焼却処分が出来るものも多く、環境ホルモン対策製品です。
防草シートとは?
そもそも防草シートって?
防草シートとは、雑草を抑え、生えないようにするシートのことを指し、防草シート、除草シート、雑草防止シートとも呼ばれています。空き地などを一面に覆って敷いて雑草を生えないようにしている分厚いシートがそうで、ホームセンターの園芸コーナーに行くと、たくさんの種類の防草シートが販売されています。
防草ネットと防草シートの違い
以上のように、防草ネットと防草シートは名前は似ていますが、性質、用途はかなり異なります。防草シートは光合成を阻害して雑草そのものを生えなくさせるものですが、防草ネットはネット下で物理的に繁茂を押えるものです。
このため、防草シートは完全に雑草が生えるのを押さえたい場所に向きます。例えば庭周り(植木、花壇など)や整地された土地などが該当します。
逆に防草ネットは植物の光合成を押えるものではありません。雑草自体はネット下で生い茂ります。このため、整地する必要がなく雑草を抑えたい場所に向きます。具体的には果樹園や畑地の畝間や通路、圃場の脇、田畑の畦畔、ハウス周り、休耕地など農地や農地の近くに使います。
おすすめの防草ネット
防草ネットYMクサトラーズ
YMクサトラーズは長年の実績より生まれた丈夫な防草ネットで、主に果樹園などの圃場で利用されています。廃棄の際に焼却処分ができる点も環境を考えたおすすめポイントと言えます。
YMクサトラーズは幅や長さで多くの種類があります。
大一工業株式会社 雑草抑制おまかせネット
防草ネットの特性である、光も水を通し、雑草をネットの下で自然に茂らせ枯れさせて土壌の養分にして土砂流出を防ぎます。また本商品の耐久年数は高密度に編み込まれているため、約5年と経済的に使うことができます。
雑草抑制おまかせネットも幅や長さで豊富に種類が取り揃えられています。
防草ネットを実際に施行するとき(押さえ方etc.)は、下記のシート設置記事が役立ちますよ!
業者に頼む際の現場の敷設、施工単価、注意点などは
杭、ネット押えピン、釘(プラピン、鉄押さえピン、形など)やテープ、ワッシャー(黒丸)など施工に必要な付属品については下記を参考にしてください!
まとめ
防草ネットはどういうもので、防草シートの場合とどう用途が違ってくるのか、またどんな場所で役立つのか解説しました。防草ネットはホームセンターのガーデニング・資材コーナーによく置かれています。この記事が圃場の草取りや草刈りの労力が軽減すれば幸いです。
(おまけ)防草シートについて、もっと詳しく
防草シートはどうして雑草を生えなくさせれるの?
では、防草シートはどうして雑草を抑えることが出来るのでしょうか?
そもそも植物は、生長するために空気中の二酸化炭素(炭酸ガス)と水に光のエネルギーを加えて炭水化物を生成し、酸素を放出する機能、光合成を行います。防草シート(除草シート)は、光を遮る(遮光)ことで、植物に光合成を行えないように抑制します。この結果、植物は炭水化物を生成できなくなり、生長しなくなる、という仕組みです。
防草シートに必要な機能
では、防草シートに欠かせない機能はどんなものが求められるのでしょうか?
まず第一に、防草シートは植物の光合成をできなくしてしまう必要があるので、遮光率が高いことが重要です。真夏の強い日光で、光合成を完全に阻害するまでの遮光率は、99.5%以上と言われています。
次に、雑草は、地面の下から、上に向かってはえるため、防草シートには、光を通さないことに加えて、土壌から生えてくる雑草を貫通させない、物理的な強度と耐久力が必要になります。
特に、チガヤやハマスゲ、セイタカアワダチソウ、竹、笹、オオバコ、ナズナなどの突抜け性の強い多年生の雑草、また ドクダミ、スギナ、ヤブガラシ、タンポポ、ススキなど大変力が強い雑草が多数存在し、シートの隙間、穴を突き抜け、繁殖し破れます。
このため、強度の高い構造が求められます。また当然、厚みと強度があるほうが、貫通に対する防御力は増します。さらに不織布は端の切り口がほつれにくく、劣化しにくい特性もあります。
透水性(水を透すかどうか)も重要です。防草シートは野外で使用するため、水にさらされ続けることで加水分解する材質は劣化も早く、また透水性が低いと水はけが悪くなり、雨が降ると水たまりを作ってしまいます。さらに酸性、アルカリ性に弱い材質も、そうでない材質のものより劣化が早くなります。
このため、ポリエチレン(ビニール袋、マルチング)よりも、透水性が高く、酸性、アルカリ性に強い材質のポリプロピレンを使用している防草シートの方が耐久性があり長持ちします。またポリプロピレン製は、ハサミやカッターで切断し易く施工しやすい特性も有しています。
簡単にまとめると、防草シートにとって重要な機能は、
- 遮光率が高いかどうか
- 強度と耐久性があるか(繊維、材質、厚さや重さ)
- 透水性が高いかどうか
と言えます。
おすすめの防草シート
ここでは、数多くある防草シートの中でも、不織布のもので、とりわけ耐久性、強度、遮光率、透水性に優れたおすすめできるシートをご紹介します。
デュポン プランテックス防草シート(旧名称ザバーン防草シート)
プランテックス防草シートは米国デュポン社(dupont)が開発したポリプロピレン製の特殊不織布です。ザバーン(xavan)という旧名でも呼ばれ、最も有名な防草シート(除草シート)の名称です。
モスグリーン、ブラック色、ポリプロピレン製資材なので、水の浸透率(透水性)は十分で、シートの上から、液体肥料や液剤の除草剤も使用することが可能です。
もちろん不織布かつ多層構造により厚みがあり、雑草の突き抜けや貫通、破れを防止して、しっかりと雑草の成長を押さえ込むことが出来ます。240Gは遮光率は驚きの99.7%!トップレベルの遮光性を誇ります。
商品名 | ザバーン350G | ザバーン240G (プランテックス240BB) | ザバーン136 | ザバーン128 | プランテックス68 |
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概要 | |||||
坪量(g/㎡) | 350 | 240 | 136 | 128 | 68 |
厚さ(mm) | 0.8 | 0.64 | 0.4 | 0.4 | 0.27 |
お知らせ:防草シートの名称変更について|旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ ホームページ
ザバーン(プランテックス)は、上記のように非常に多くの種類がありますが、露出して使用しないことを前提とすると、240か350を選んでください。特に350は太い幅、厚手で強度抜群、4層スパンボンド不織布が驚くべき耐久性を示します。
プランテックス(ザバーン)はホームセンターにもよく置かれています。貼り方、敷き方は下記を参考にしてみてください。
アストロ 防草シート 1×10m グリーン
こちらは、不織布専門店のアストロが作った防草シートです。ポリプロピレン製なので、透水性は高く、劣化にも強く、もちろん不織布のため、雑草の貫通に強く、しっかりと雑草の成長を押さえ込むことが出来ます。
遮光率が、96.7%と、ザバーン防草シート240Gよりは劣りますが、その分単価は、10㎡あたり約2000円弱と、ザバーン防草シート240G(10㎡あたり約4000円強)よりも半額以下で購入することができます。多年生の雑草が既に生い茂ってしまった場所や、隣が雑草だらけで種子が飛来するような場所でなければ、このアストロシートでしっかり防草できます。
また、1ロールのサイズが「1×2m」「1×3m」「1×5m」「1×10m」「1×20m」の中から選ぶことができるので、必要な量だけ購入することができ、限られたスペースで使用でき、コスト的にも魅力的な商品です。
キンボシ 超強力防草シート(黒)
創業149年の農業、園芸会社であるキンボシが販売する、日本製のハイクオリティな防草シートです。ポリプロピレン製なので、透水性は高く、劣化にも強く、高密度不織布のため、雑草の貫通に強く、しっかりと雑草の成長を押さえ込むことが出来ます。
また、驚くべきは、遮光率99.9%!耐久性、耐候性にも優れる最高レベルの防草シートです。
(この他、シンセイの防草シートやエコナル防草シート、ダイオ化成のものもおすすめです。)
以上の3種類は遮光性、透水性、耐久性申し分ないですが、実はどんなに優れた防草シートでも、それだけで半永久はもちません。剥き出しで使用していると、紫外線で徐々に劣化していきます。10年以上しっかり持たせようと思うのなら、防草シートを下敷きにして、砂利、砕石、人工芝、バークチップ、ウッドチップなどとうまく組み合わせてみてください。