サッカー場などの競技場から公園、ご家庭の庭まで、芝生はさまざまなところに植えられています。芝生の緑色は、心安らぐ空間を与えてくれます。
芝生にはさまざまな雑草が生えます。また一見、芝生なのか雑草なのか、見分けが付きづらい雑草が生えたりもします。
この記事では、芝生に生える代表的な雑草と芝生に似ている主な雑草の種類と見分け方を解説します。
芝生に似ている雑草の種類と見分け方
芝生に生えている雑草の中でも、特に芝生との見分けがつきづらい雑草があります。以下にその種類と見分け方について簡単にまとめましたので参考にしてください。
スズメノカタビラと芝生との見分け方
スズメノカタビラ、イネ科イチゴツナギ属の雑草のため、芝生とよく似ています。芝生に使われる高麗芝(コウライシバ)や野芝(ノシバ)、バミューダグラス、センチピードグラスなどの芝草もイネ科であるため見た目がよく似ているのです。
特にスズメノカタビラは葉色も同じような色なので、本当に見分けがつきづらいです。1点簡単に確認できるポイントがありますので紹介します。それは葉先に注目することです。
特に高麗芝(コウライシバ)とスズメノカタビラの葉は似ているのですが少し違います。
高麗芝の場合、葉先が先端までしっかりと尖っています。スズメノカタビラの場合は、一見細く尖っているように見えますが、葉先がやや丸みを帯びていることがわかります。
芝生に生える代表的な雑草
芝生には、約70種類程度の雑草を見かけることができます。雑草は、生育する季節によって以下の2つに大別できます。
- 「冬雑草」秋から翌年の初夏にかけての冷涼期に生育する雑草
- 「夏雑草」春から夏の高温期に生育する雑草
雑草の中には、花を咲かせるものも多いです。「綺麗だな」と残しておくと、雑草の繁殖につながるので見かけたら抜き取ったり、駆除、防除するなどの対策が必要です。芝生に生える代表的な雑草を掲載しますので、ご自身の芝生に生えてきたら該当するものかどうか調べてみてください。
植物名 | ウラジロチチコグサ | オオイヌノフグリ | カラスノエンドウ | スズメノカタビラ | オオアレチノギク | オランダミミナグサ | セイヨウタンポポ | ハルジオン | ハコベ | ノゲシ・ハルノノゲシ | ツメクサ | ノボロギク | オオバコ | エノコログサ | カタバミ | オヒシバ | メヒシバ | カヤツリグサ | ザクロソウ | コメツブウマゴヤシ | コニシキソウ | シロツメクサ | スギナ | チガヤ | ニワゼキショウ | ハマスゲ | チドメグサ | ヒメスイバ | ヒメクグ | ヨモギ |
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冬雑草/夏雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 冬雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 | 夏雑草 |
今回は上記の中でもさらにメジャーな雑草について、少しだけ詳しく解説します。
スズメノカタビラ
科 | イネ科 |
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種類 | 一年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Poa annua L |
別名 | ビンボウグサ |
スズメノカタビラ(学名 Poa annua)は、イネ科雑草のイチゴツナギ属の雑草で、ヨーロッパ原産の帰化植物とも言われ、非常に生命力の強い、種子で繁殖する冬生一年草です。畑地や路上、空き地や畦畔、庭,農道などの非農耕地、芝地,休閑畑,荒れた畑,水田の畦畔,二毛作水田など至る所で発生します。
全体は緑色で柔らかい雑草です。高さは10〜25cm程で、桿は束生し,下部は節で曲がっています。先端は舳先状になっています。
メヒシバ
科 | イネ科 |
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種類 | 一年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Digitaria ciliaris (Retz.) Koeler |
別名 | メシバ、スモウトリグサ、ハタカリ、ホトクイ |
道路の端や校庭、農道によく見られる、種子で繁殖する夏生一年草です。畑地や路上、空き地や畦畔、至る所で発生し、休耕地、不耕起栽培では特に多く発生します。夏の生長が非常に早い点が特長です。
基部は分枝しながら地表を這い、節々から根を下ろします。葉は細い長楕円形で、長さは8-20cm程になります。薄く軟らかいのが特徴です。花茎は立ち上がり、高さは30〜70cm程に生長します。
花茎の先端に数本の穂が伸びて、次第に放射状に広がっていきます。
メヒシバとオヒシバの見分け方
穂が上向きで太く、花穂の幅が広いのがオヒシバで,メヒシバは下垂するのが見分けるポイントです。
オヒシバ
シロツメクサ
科 | マメ科シャジクソウ属 |
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種類 | 多年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Trifolium repens |
別名 | シロクローバー |
シロツメクサは、マメ科シャジクソウ属の多年草で、その葉の形からシロクローバーと呼ばれたりします。花は白色、またはわずかに桃色を帯び、花茎(葉の柄よりやや長い)の途中に葉はないことが特徴です。
花期は春から夏であり、春や秋に種から発芽して生長します。温暖地では冬でも残る場合があります。
カタバミ
科 | カタバミ科カタバミ属 |
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種類 | 多年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Oxalis corniculata |
別名 | カガミグサ、ショッパグサ、スズメグサ、ネコアシ |
カタバミはカタバミ科カタバミ属の多年草で、カガミグサ、ショッパグサ、スズメグサ、ネコアシと多くの別名を持ちます。
種子とほふく茎で繁殖するのが特徴で、非常に強い繁殖力を持っており、放っておくと、芝生に勝ってしまい、芝生を枯らしてしまう可能性があるため、繁殖する前に除草しなくてはなりません。
しかし、カタバミは千切れやすいために手で草取りするのは大変困難です。畑地だと耕起して掘り起こすことができるのですが、芝生の場合は耕起するわけにもいきません。このため、芝生に生えると大変厄介なのです。
コニシキソウ
科 | トウダイグサ科 |
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種類 | 一年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Chamaesyce maculata |
別名 | アカクサ |
コニシキソウは、トウダイグサ科の一年生雑草です。空き地、庭、道ばた、畑地など幅広く生育します。茎は暗赤色で、7月〜10月には葉のわきに暗い紅色の花を多数つけます。
同じトウダイグサ科には「ニシキソウ」がありますが、コニシキソウは葉の中央に黒斑(黒い斑点)があり、ニシキソウはないため、簡単に見分けることができます。
ツメクサ
科 | ナデシコ科ツメクサ属 |
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種類 | 一年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Sagina japonica |
別名 | タカノツメ、ヒヨコグサ、ホタルグサ、スズメグサ |
ツメクサは、ナデシコ科ツメクサ属に分類される一年生の植物です。畑、公園、ゴルフ場、道端などに至るところで見かけることができます。花期は4月〜7月頃で白色の花弁を5枚付けた小さな花を咲かせます。
低刈りに強くゴルフ場など短く刈っている芝にも侵入し、密生して芝を侵食します。街中では舗装の継ぎ目など、過酷な場所でもしっかり生きています。
芝生地の雑草として薬剤防除を行う場合には、トリメック、ブロードケアなどがおすすめです。
スギナ
スギナは多年草で、一部の地下茎からでも繁殖し、少し経っただけでスギナだらけになるくらいの高い繁殖力を持っています。地下茎を伸ばして地中に根びこってしまうため、引っこ抜いても、地下茎の一部は地中に残存し、またそこから繁殖するため、本質的な駆除にはならないケースが多いです。
また、草刈などで衝撃を与えると胞子を撒き散らして、より多くのスギナの繁殖を産んでしまうという、誠に厄介な雑草です。
タンポポ(主にセイヨウタンポポ)
科 | キク科タンポポ属 |
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種類 | 多年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Taraxacum officinale |
別名 | ショクヨウタンポポ、ダンデライオン、クロックフラワー |
セイヨウタンポポは、キク科タンポポ属の多年草です。ヨーロッパ原産で帰化した植物であり、環境省指定の要注意外来生物に認定されています。日本の在来種(ニホンタンポポ)とは異なり、蕾の時点で外側の総苞が反り返ります。
単為生殖で種子をつける、つまり花粉に関係なく種子が単独で熟すため、繁殖力が強く厄介な雑草の一つです。
カラスノエンドウ
科 | マメ亜科ソラマメ属 |
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種類 | 一年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Vicia sativa |
別名 | ヤハズエンドウ |
カラスノエンドウは、マメ亜科ソラマメ属の一年草です。本来の和名はヤハズエンドウですが、カラスノエンドウと呼ばれることが一般的です。本州から四国・九州・沖縄まで至るところに生育しています。
花期は3月〜6月でエンドウマメに似た小型の紅紫色の花を付け、熟すると晴天の日に種子を激しく弾き飛ばします。
ハマスゲ
科 | カヤツリグサ科 |
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種類 | 多年草 |
分布 | 関東以西 |
学名 | Cyperus rotundus L. |
別名 | 香附子(コウブシ)、ヤカラ、クグ |
ハマスゲは種子と塊茎で繁殖する夏生多年草です。茎の断面は三角形になっていて、葉は線形で先は次第に尖っています。草丈は8~15cm程(長くて40cm)、茎葉の色は濃緑色で光沢があるのが特徴です。
ハマスゲは地中の親株の基部から何本もの根茎をだして、それが小株になって、その基部が新しい塊茎になって、と増殖を繰り返す、大変厄介な雑草です。草刈り機(刈払機)で刈る、刈り込む、またロータリー耕で根茎を刈り取り、切断すると、さらに増殖してしまいます。砂浜や川原、果樹園、畑地、芝地に多く見られます。
好適な条件では1個の塊茎から、なんと300個以上もの新塊茎が形成されます。根茎が耕起などで切断されると萌芽が促進されてしまいます。
芝生に生えた雑草の除去方法
芝生に生えた雑草を放置しておくと、芝生の見栄えが悪くなるだけでなく最悪の場合枯れてしまうこともあります。綺麗な芝生を維持するためにも、雑草を見つけたら除去しましょう。
除去する方法は、主に2つあります。大事なことは、いかに根絶させるかということです。地下に根が残ってしまったり、種が残るような除去方法では、何度でも雑草は蘇ります。
道具を使用する
一番手っ取り早く対処できる方法としては、道具を使って根ごと除去する方法でしょう。このとき、草刈り機や芝刈り機でも地上部の部分は刈り取ることができますが、根が地下に残ることでさらに繁殖、再生する場合がありますので、可能であれば抜き取ることをおすすめします。
雑草抜き用の道具がたくさん販売されていますので、用途や雑草の種類に応じたものを購入すると良いでしょう。
芝生用の除草剤を使用する
一部の範囲であれば手で抜き取ることもできますが、広範囲にわたって雑草が生えていたり、地下茎によって繁殖する雑草の場合はそれだけの対処では不十分なことが多く、完全に除去することが難しいでしょう。
そのようなときには、芝生に適用のある除草剤(芝生用の除草剤)を使用すると良いです。芝生が枯れないように調整されていますので、安心して使用することができます。使用する場合には、必ず適用表を見てその芝生の種類に適用があるか確認してから使用してください。また、使用方法、使用量、使用時期等を守ってお使いください。