バットグアノは、化石化したコウモリのふん(糞)などを原料とした良質な有機肥料です。この記事では、バットグアノの概要・成分やおすすめの使い方などをご紹介します。
そもそも、コウモリのふん(糞)は肥料として使えるの?
コウモリのふんは、成分としてリン酸が多く含まれているので、堆肥として利用することができます。しかしながら、もともと洞窟など湿度の高い環境に生息するコウモリは、人間にとっては害のある菌や細菌を保有している場合もあります。家畜化された生き物である牛の牛ふんや、鶏の鶏ふん、馬の馬ふんなどの堆肥とは異なる危険性がありますので、もしコウモリのふんを集めることができるとして畑に撒くことはやめましょう(そのような方はほぼいないと思いますが…)。
こういった危険性を排除し、資材としての有効性を高めたのがバットグアノです。
コウモリのふんが肥料に!バットグアノとは
バットグアノ(Bat Guano)は、コウモリ(Bat)の堆積した化石(Guano)のことを指します。コウモリの生息する洞窟内で、捕食した虫を含むふん、死骸、微生物、さらにカルシウムを含む石灰などが堆積し、何百年という年月をかけて天然で発酵されたものがバットグアノです。これを粉もしくは粒状に成形し、肥料として利用します。
なお、海鳥に由来するマリングアノという肥料もあります。熱帯もしくは亜熱帯地域の珊瑚礁に、海鳥のふん、死骸、卵の殻などが堆積し、降雨により窒素(チッソ)成分が流亡した後に、リン酸成分が珊瑚礁の石灰とともに残ったものが、マリングアノです。
バットグアノの成分
バットグアノはその生成過程からも分かる通り、リン酸(ク溶性リン酸)が豊富に含まれています。窒素(チッソ)やカリはほとんど含まれていませんが、カルシウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、亜鉛、鉄、銅といったさまざまな微量要素が含まれています。
リン酸とともに多く含まれている成分はカルシウムです。カルシウムは、有機石灰や苦土石灰などを施すことによって土壌に栄養分を補給することが多いですが、バットグアノのみでもカルシウムを十分補給できます(もちろん土壌の栄養状態によります)。
さらに、微生物による分解や発酵の過程で生じるフミン酸(腐植酸)も含まれており、土壌や植物の成長に好影響をもたらします。こういった化成肥料にはない効果があるとして、特に園芸の分野では愛用している人も多いです。
有機肥料には、他にも様々な原料、成分のものがあります。
バットグアノの使い方
余分な施肥をすることなくリン酸を補給したい時に用いる有機肥料なので、骨粉と似た使い方になります。具体的には、元肥として土に混ぜ込んで使いますが、その際に油粕のような窒素肥料、草木灰のようなカリ肥料と組み合わせて使うことが多いです。また、カルシウムの含有量も多いため、有機石灰などの石灰肥料を施さなくてもカルシウムを補給できます(もちろん土壌の栄養状態によります)。
有機肥料は遅効なので元肥として使うことが多いですが、バットグアノはフミン酸(腐植酸)を含んでいることなどから多少与えすぎてしまうことがあっても、植物への悪影響は少ないです。したがって、追肥としても安心して使えるという側面もあります。有機肥料ながら無臭なので、プランターや鉢を用いた家庭菜園などでも使いやすいのも嬉しいポイントです。
バットグアノは各肥料メーカーから製造、販売されていますが、基本的な成分の構成はほぼ同じです。リン酸とカルシウムが多く含まれており、マグネシウムなどの微量要素も含まれています。含まれている量(保証成分率)は製品によって異なりますので、注意が必要ですがほぼ同じくらいの保証成分率になっているはずです。
粒状や粉状などの形状の違いや高温加熱加工されているものなどもあります。畑などで肥料を散布する場合には粒状のもののほうがやりやすいなど、作業性の観点もありますので、使いやすい肥料を探して使ってみましょう。特に室内など臭いを気にしなければならない場所では高温加熱加工されている有機肥料のほうが使いやすいです。プランター栽培、鉢植え栽培などの用土にもおすすめの肥料です。
草花・果樹
葉を楽しむ観葉植物、花を楽しむ植物のいずれの使用にも向いています。植物本来の葉色を楽しめるようになるほか、花の発色や数に好影響があるとして花卉類(蘭など)の栽培でよく用いられています。また、リン酸は「花肥」や「実肥」とよばれるように、ブルーベリーをはじめとする果樹の栽培にもバットグアノはぴったりです。芝などにも有効です。
バットグアノは、元肥としても追肥(お礼肥)としても使用できます。実や花が大事な植物に使ってみると効果が現れやすいでしょう。施用する時は、各肥料のラベルやパンフレットなどの説明文を参考にすると良いでしょう。
野菜
トマト、ピーマン、イチゴ、スイカ、メロンなどあらゆる野菜に施肥できます。リン酸により花の数が多くなることで実の数も多くなり、増収に寄与します。果実の味や品質にも好影響をもたらします。
窒素肥料とともに施用することで植物を丈夫に育てることができます。花落ちや実付きが悪いなどの症状が現れたときにはバットグアノなどのリン酸肥料を施肥してみると良いでしょう。また、バットグアノにはカルシウムや微量要素も含まれていますので、長く栽培する果菜類にとっては、とても良い栄養補給ができる資材と言えます。
バットグアノを購入したい!そんなときは…
ホームセンターなど店舗で購入する
上記で紹介した肥料は、コメリなどのホームセンターでも販売されています。また、ダイソーなどの100円均一でも販売されていることがありますが、取り扱いのない店舗も多いようなので注意が必要です。
通販で購入する
店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。時間とお金を節約するため、積極的に通販(インターネットショッピング)を利用しましょう。今ではAmazonや楽天市場など様々なECサイトで農業・園芸用品が取り扱われています。店舗よりも安く購入できる場合も多いですので、一度のぞいてみましょう。