イボクサとは?
科 | ツユクサ科 |
種類 | 一年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Murdannia keisak (Hassk.) Hand.-Mazz. |
別名 | イボトリグサ |
イボクサは東アジアの温帯から熱帯の水湿地に分布し、日本では全国の水田や湿地、休耕田でよく見られます。
葉は,ツユクサの葉を極端に細くしたような形で、茎の太さは直径約3mm、下部は地表を覆うように生え、草丈は大きいもので60cmまで到達します。花は写真のように淡紅紫色です。
種子から発芽する一年草で、茎の節から発根し非常に大きく繁茂します。イボクサの種子は乾田状態で発芽が促進されます。このため、入水前の圃場、畔際で多く発生し、畦畔から水田に侵入してきます。
3月半ばから地域によっては発生し,5月〜8月が発生のピークになります。開花は8~10月です。切断された茎から再生することがあるので,田のふちや畦畔、土面が露出した部分などに大きな群落を形成することがあります。
イボクサの特徴
イボクサは広範囲に個体が集まり繁茂するため小さい水路を覆って水路の障害となったり、その強烈な繁茂力で稲(イネ)にも実害を及ぼす害草です。その繁殖力から、収穫作業の障害や,高水分の茎が籾に混入し、乾燥機にエラーが生じる原因になったりと実害は広範囲に及びます。
イボクサを効果的に除草する方法
基本的には発生期に下記のような一発処理剤を散布することが有効ですが、いったん成長し、後期に水田で繁茂すると、茎が節から切れやすいため完全除去が困難になります。このため、発生期にしっかり防除することが重要になります。
イボクサにおすすめの除草剤
まず、稲の生育初期、つまり田植え前後に土壌処理剤、下記のような一発処理剤で抑えていく方法があります。
スルホニルウレア系化合物(通称SU剤)への抵抗性が疑われる場合は、下記のような抵抗性生物型に有効な成分(ベンゾビシクロン、フェントラザミド、ピラクロニルなど)を含む除草剤を使用してください。移植同時にも、直播水稲にも使える、汎用性の高い一発処理除草剤です。
初期を過ぎてしまった場合は、初期剤や一発処理剤の後に使用する、中・後期の除草剤を使うことになります。ベンタゾンが含有されているクリンチャーバス、バサグラン粒剤、液剤などが良いでしょう。
水田内ではなく、畦畔やあぜ道など、非選択制の除草剤が使える場合は、一年草のイボクサには畑作によく使うバスタ、ザクサのようなグルホシネート系除草剤がおすすめです。(筆者も除草作業によくグルホシネート系を使いますが、バスタ、ザクサはツユクサ系によく効く実感があります。)
商品名 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
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概要 | ||
販売元 | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
農耕地使用 | ○ | ○ |
重要なことは、どの雑草も成長してからの除草は困難であるということです。できるだけ生育する前の初期に枯死、防除することを心がけましょう。
耕起、代かき(代掻き)で除草
耕起、代かき(代掻き)を丁寧に行い、イボクサを土中にしっかりと埋め込むことが重要です。またイボクサは乾田の状態が発生するのに適していることから、灌水深を保って、イボクサを完全に水没させることで生育を抑制することができます。
収穫後(稲刈り後)に耕起することで発生を減らす
イボクサは水稲収穫後に再生し,多くの種子を生産するため、水稲収穫後,すぐに圃場を耕起することで,イボクサの再生および種子生産を防ぎ,翌年以降の発生量を減らすことができます。