白粒の肥料「IB肥料」の概要と特徴、おすすめ商品情報、使い方までわかりやすく丁寧に解説します。
IB肥料とは
「IB肥料」は室内でも安心して使うことができ、どの作物にも適用できるように3つの成分をバランス良く配分しているものも多いため、初心者からプロ農家まで幅広く使われている緩効性肥料です。
「IB肥料」とは、日本のみならず世界でその効果が認められたイソブチルアルデヒド縮合尿素(IBDU)を配合した肥料です。イソブチルアルデヒド縮合尿素(IBDU)とは、尿素とイソブチルアルデヒドを縮合反応させた化合物で、主に加水分解によって分解される(無機化)されます。
つまり、水にゆっくりと溶け出していく緩効性肥料ということになります。画像のような粒になっています。
IB肥料は、化学肥料であり窒素(チッソ)・リン酸(リンサン)・カリウム(カリ・加里)をバランス良く配合しているものが多いことから「IB化成肥料」と呼ばれることもあります。ちなみに「IB窒素肥料」は単に窒素成分のみ含まれている肥料(単肥)なので、全くの別物ですのでご注意ください。
IB肥料の特徴
- 粒の大きさによって溶解速度を調節している。
- 普通の尿素肥料(速効性)と比較して、水に対する溶解度は1/1000程度(つまり、ゆっくりと長く効く緩効性)
- 肥料成分がゆっくりと溶出するため、植物の根に優しい。
- 液体肥料などのように一度に全量の養分が土に入るわけではなく、少しずつ溶出するため肥料成分が無駄なく吸収されやすい。
- 無臭で清潔な肥料なので、室内でも使える。
- 販売されているIB肥料は、草花から野菜、観葉植物など様々な植物に適用できるようにバランス良く肥料成分を配合していることが多い。
- 水稲(稲作)栽培でも、水田への追肥として使われることもある。
IB肥料のおすすめ商品情報
IB肥料は、対象の作物や育て方によって様々な商品が開発、販売されています。ここではおすすめできるIB肥料の商品を5つ紹介します。
IBのチカラ グリーンそだちEX
花ごころの「IBのチカラ グリーンそだちEX」は、花にも野菜にも使用できる肥料です。N-P-K=10-10-10であり、バランス良く配合されています。花ごころは、バラや花に効く肥料を中心に様々な商品を販売しています。
全農 くみあい尿素入りIB化成S1号
緩効性窒素肥料IBDUを主成分とする園芸専用の化成肥料です。70日〜80日かけて持続的に肥効が続きます。
JAにて流通している商品ですので、お近くのJAやJAのショップに取り扱いがあるか確認してみてください。
三菱商事アグリサービス IB肥料
三菱商事アグリサービスのIB肥料は、「IBのチカラ グリーンそだちEX」とほぼ同じです。実は、「IBDU」は三菱グループが開発し、今はジェイカムアグリ株式会社(三菱化学グループ)が商標登録をしています。
バラの家オリジナル IB肥料
バラにはこのIB肥料がおすすめです。プロでも使用している肥料で、根にも優しく初心者でも使いやすいと評判です。もちろん他の花木や野菜にも使用できます。
花ひろば IB肥料
花ひろばのIB肥料は、バラ、庭木、果樹などで幅広く使用されています。
オールインIB 野菜用
「オールインIB 野菜用」は、野菜栽培のために配合された肥料です。N-P-K=12-8-8で、窒素分が多めに入っていることで植物を丈夫にしてくれます。また、マンガンやホウ素などの微量要素も含まれていますので、プランターやポット栽培でもおすすめです。
IB肥料を使うメリット
IB肥料の一番のメリットは、肥効が調節でき長く持続させることができる点です。
例えば、露地栽培において化成肥料を使用した場合、施肥直後に降雨や長雨が続くと肥料成分のすべてがすぐに溶け出してしまい、大半の成分が植物に吸収されずに地下に流れてしまいます(肥料の溶脱や流亡と言ったりします)。また、施設栽培(ハウス栽培)においても、アンモニア揮散(施肥したものがアンモニアとなって空気中に揮散する)や硝酸化成(土壌中の亜硝酸菌によりアンモニアが亜硝酸、硝酸に変わる)による成分の損失が起きやすいことが知られています。
IB肥料の場合、こうした肥料成分の損失や流亡を防ぐことができるのです。このことにより、減肥(肥料を使う量を減らす)できたり、追肥の手間を減らせたりすることができ、さらには環境に配慮した農業を行うことができるのです。
また、元肥としてIB肥料を使う場合、植え付けしてから根張りして大きくなるまでは肥料の効果が抑えられるため、生育初期の養分過多による障害が回避できる利点があります。そのため、追肥の分の施肥もまとめて元肥として施す全量元肥施用という栽培方法も可能となります。
IB肥料の使い方の基本
IB肥料は、商品ごとに肥料の効き始めや持続性、成分などが変わってきます。そのため、一概には使い方を説明できませんが、ここではIB肥料の中でも園芸や家庭菜園向きの「IBのチカラ グリーンそだちEX」をベースに肥料のやり方を説明します。他のIB肥料も同様の使い方が可能と思われますが、必ず商品のラベルや情報を調べてから使用してください。
IB肥料は基本的に元肥としても、追肥としても使用することができます。
元肥として使用する場合には、植え付けをするときに用土に混ぜ込みます。プランターや鉢、菜園など、どの環境でも使うことができます。このとき、念のため根が直接肥料に触れないようにしてあげると安心です。例えば、IB肥料を混ぜた用土の上にさらに土をかぶせて、そこに植え付けすると良いでしょう。
追肥として使用する場合には、土に散布します。「IBのチカラ グリーンそだちEX」の場合、植え付けや植え替えの約2週間後から与え始めると良いでしょう。肥料の効き目は約1ヶ月間なので、1ヶ月経ったら同じく追肥をしましょう。
このとき、前に散布した肥料の形が残っていても、肥料成分は残っていない可能性があるため、気にせずに追肥しましょう。肥料の効き目を早めたい場合は土の中に押し込んでやると、肥効が早まります。
IB肥料の購入場所
店舗で購入する
上記で紹介したIB化成肥料は、一般的な大規模ホームセンターでも販売されています。はコメリなど、農業・園芸に特化したホームセンターにしかない場合があります。
また、ダイソーにも液体肥料が販売されていることがありますが、取り扱いのない店舗も多いようなので注意が必要です。
通販で購入する
店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。時間とお金を節約するため、積極的に通販(インターネットショッピング)を利用しましょう。今ではAmazonや楽天市場など様々なECサイトで農業・園芸用品が取り扱われています。店舗よりも安く購入できる場合も多いですので、一度のぞいてみましょう。