トマトは、ビタミンC、カロテン、リコピンなどを多く含み、栄養や機能性に優れた野菜です。また、イタリア料理はもちろんのこと、日本でも家庭料理によく使われる人気の作物です。
日本ではプロ農家がビニールハウスを使った施設栽培(ハウス栽培)で長期間栽培(長期採り)されることが多く、トマトが一年中スーパーの店頭に並びます。施設栽培で環境を人工的に制御をして収穫、出荷時期を調整し、産地リレーを組むことによって、一年中、日本産のトマトを購入することができるのです。
露地栽培でももちろん栽培することは可能ですが、営農する上では下記の理由から効率が悪く、プロ農家は施設栽培(ハウス栽培)を行うことがほとんどです。
本記事では、ハウスを用いたトマトの施設栽培について、栽培方法の種類や施設栽培する上で必要となる栽培システム、トマトハウス栽培における栽培上のポイントについて、幅広く網羅的に紹介します。目次を活用して、必要な部分から読み進めてください。
トマトの一般的な栽培時期(露地栽培)
トマトは、一般地の普通栽培(露地栽培)の場合、5月頃に植え付けを始めて、6月末頃から収穫を迎えます。
しかし、トマトを主軸として営農する場合には、市場価格の優位性やその土地の気候を考慮して、収穫時期をコントロールしたり、収量・品質を上げる必要があったりするため、ビニールハウスなど施設を活用した栽培が主体となります。
なぜハウスを使うのか?
露地栽培(普通栽培)と施設栽培(ハウス栽培)の違い
まず、露地栽培(普通栽培)と施設栽培(ハウス栽培)の違いについて、主な項目を挙げて整理してみましょう。
項目 | 露地栽培(普通栽培) | 施設栽培(ハウス栽培) |
---|---|---|
気温の制御 | 不可(外気の気温) | 可能(側窓や天窓、カーテン、その他設備によって冷却・加温) |
湿度の制御 | 不可(外気の湿度) | 可能(側窓や天窓、カーテン、その他設備によって過湿・除湿) |
日照量の制御 | 不可(太陽光そのまま) | 可能(フィルムやカーテン、ライト、その他設備によって遮光・補光) |
土壌水分(潅水)、施肥の制御 | 潅水、施肥はできるが、雨による影響が大きいため制御は不可 | 雨による影響がないため、土壌水分率を比較的自由に制御可能。また肥料も流亡しないため施肥の計画的な管理も可能 |
生育・出荷時期の調整 | 不可(天候任せ) | 上記項目の制御により可能 |
病害虫管理 | 外的要因が大きく、管理が難しい | 比較的管理がしやすい |
プロ農家が営農する上でトマトをハウス栽培することが多い理由は、主に以下の3つです。
- 収量、品質が上がることで売上が上がる
- 出荷時期を調整できることで売上が上がる
- 栽培の再現性が生まれるため、マニュアル化がしやすい
収量、品質が上がることで売上が上がる
ハウス栽培の場合、露地栽培と比較して、収量、品質が上がることがほとんどです。理由は、以下の2点です。
- 気温、湿度、土壌水分など環境制御できるようになり、収量、品質が向上する
- 病害虫による被害を最小限に抑えることができ、収量、品質が向上する
「良い商品を多く安定的に出荷する」ことが売上を上げることに重要な要素です。それを実現するためには、トマトの植物生理をよく理解し、それに伴った環境制御が必要です。ハウス栽培の場合、設備にもよりますが、露地栽培よりも高いレベルの制御が可能です。
ハウス内温度の制御
ハウスのフィルムの開閉だけでも、ハウス内の温度制御は可能です。冬場の夜間などは、ボイラー等が必要となりますが、晴れている日は太陽光のみで加温することができます。冬場でもハウス内温度を保つために、フィルムを二重にしたり(内張り、外張り)、ウォーターカーテンと言われる設備を導入したりもします。
逆に夏場は、側窓や天窓を開けても暑すぎる状態となるため、温暖地でのハウス栽培は適しません。寒冷地や高地でのハウス栽培がメインとなってきます。
ハウス内湿度の制御
ハウス内の湿度は、側窓や天窓、カーテンの開閉などによって可能です。また、循環扇と言われる大きなファンを回すことによって、ハウス内の気流の淀みをなくし、ハウス内温度、湿度のムラを無くしたりします(循環扇の風は他にも光合成を促進させる働きもあります)。
ハウス内日照量の制御
太陽光が照りすぎるときには、ハウス内上部にカーテンをすることによって遮光します。カーテンは、遮光だけではなく保温としての効果も期待ができます。また、補光する場合には、ナトリウムランプやLEDなどの栽培用ライトを設置することもあります。
土壌水分率の制御
ハウス栽培の場合、土壌水分率が降雨に影響されることはほとんどありません。そのため、人工的な潅水管理によって、土壌の環境を制御できるようになります。例えば、日射比例の潅水装置やタイマー潅水装置を使うことで、環境に合わせた潅水が可能となります。
外的要因を排除できるため、「裂果」を防ぐこともできますし、果実内の水分量を制限するとトマトの糖度を上げることもできます。また、潅水と同時に液肥(液体肥料)を施肥することで省力化だけではなく、肥培管理、生長バランス(栄養生長・生殖生長)の調整もできるようになります(潅水同時施肥技術)。
出荷時期を調整できることで売上が上がる
先述したとおり、トマトは出荷時期によって単価が変動します。営農しているのであれば、可能な限り単価が高い時期に出荷したいと思うのが当然でしょう。そのため、それぞれの地域で気候と出荷量・単価の変動を考慮した栽培が行われているのです(その栽培モデルを作型と呼びます)。
わかり易い例として、九州から出荷される冬場のトマトがあります。ハウス栽培の場合は加温することによって冬場でもトマトを生産、出荷することが可能なのです。下記の統計情報からも分かる通り、東京卸売市場で取り扱われる産地別のトマトの数量は、7月〜9月は北海道産、の11月〜
上記はあくまで一例で、栃木などの北関東や愛知、静岡といった地域では、ほぼ一年中出荷している産地もあります。
また、短期的な話であれば、果実への色付け(緑色から赤色にする)を早めたり、遅めたりすることも可能です。
栽培の再現性が生まれるため、マニュアル化がしやすい
ハウスを利用し、環境を制御することによって栽培が安定してきます。気象条件は、その年によって変化しますが、ハウス栽培の場合は制御可能なのでトマトの生育への影響を少なくすることができます。
生育の影響が少なくなると、栽培、出荷の計画が立てやすくなり、経営も安定してきます。
農家は「品質の高い生産物を安定的に生産できる実績」を積み上げることで、バイヤーや卸売業者、市場、消費者から信頼されるようになります。信頼されるようになると、新しい販路を開拓しやすくなったり、取扱量を増やしてもらったりすることも容易になってくるでしょう。
また、環境制御の手法をマニュアル化することができますので、そのマニュアルに基づいて毎年生産を行えば、ある程度の品質、収量を確保しながら営農を継続していくことができます(もちろん毎年、栽培の分析、フィードバックは必要です)。
作型とは?トマトの主な作型
先述したとおり、トマトのハウス栽培では露地栽培とは違うスケジュールで栽培をします。それを「作型」と呼びますが、作型の定義と各地域の施設栽培を用いた作型について、解説します。
作型とは
露地栽培や雨よけ栽培など自然条件下での栽培においてはその地域の気候によって栽培時期を決定、施設栽培(ハウス栽培)においてはその地域の気候と使用する設備(暖房機など)によって栽培時期を決定しています。施設栽培のように、自然条件下とは異なる環境を作り出して栽培する栽培時期のことを、一般的に「作型」といいます。
農家として営農するときには、「価格(単価)」が重要となってきます。作型は、実際にはその地域の気候によって決まっているのではなく、「いつ出荷すると単価が安定して高いか」を分析して決めています。そして、その作型に合わせるために必要な設備を揃えて、栽培しています。各地域によって栽培マニュアルがあるのも、地域の気候差などもありますが、その地域が産地リレー(生産地のリレー)のどの時期を担っているかの要素も大きいです。
作型は、主に下記の4つに分けることができます(他にも作型はあります)。実際には、半促成や半抑制など気候を活かした作型が取られることが多いです。
作型 | 説明 |
---|---|
促成栽培 | 露地栽培よりも早く出荷する作型。一作を通じてハウスで加温・保温することで成り立つ。 |
半促成栽培 | 露地栽培よりも少し早く出荷する作型。生育前半をハウスなどで加温・保温し、後半になるとハウスの被覆を剥がすなど自然環境下の栽培条件に近づけていく。 |
早熟栽培 | 育苗期間のみ温床内で栽培する作型。定植(植え付け)からは、自然環境下で栽培する。 |
抑制栽培 | 露地栽培よりも遅く出荷する作型。その土地や地域の冷涼な気候、電照などの栽培技術を生かして、開花時期や収穫時期を遅らせる。 |
周年栽培 | ハウス栽培で暖房機で加温・保温したり、細霧冷房などで冷却することでほぼ一年中栽培・収穫できるようにする作型。栽培期間を複数に分けたり、ハイワイヤーのオランダ式ハウスで長期穫りするなど、やり方はさまざま。 |
産地リレーとして組まれることが多い北海道と四国南部・九州地方の主な栽培モデル(作型)を紹介します。もちろん、地域や品種、栽培方法によって掲載されていない作型が採用されたり、同じ作型でも栽培時期・出荷時期が異なるものもありますので、参考程度に読んでください。
※上記の作型はあくまで一例です。
北海道では、促成栽培、半促成栽培、早熟栽培、抑制栽培が行われており、主に4月〜11月に生産物が出荷される作型が採用されています。
※上記の作型はあくまで一例です。
四国南部・九州地方では、促成栽培、抑制栽培が行われており、主に9月〜翌6月に生産物が出荷される作型が採用されています。
その他地域の作型については、下記の記事をご覧ください。
また、植物工場(オランダ式ハイワイヤー栽培を採用した太陽光型植物工場など)においては、気温、培地温度(地温)、日照量などをコントロールすることで、独自の作型に取り組んでいる場合もあります(それらも促成栽培や周年栽培などと呼ばれることがあります)。
トマトのハウス栽培 栽培方法は?
トマトの栽培方法、管理方法の基本的な考え方については、露地栽培と変わりません。しかし、ハウス栽培ならではのポイントがあります。今回は、トマトハウス栽培のポイントについてのみ記載します。
トマトのハウス栽培が露地栽培と大きく違うところは、下記の観点となります。
- 人工的な受粉作業(授粉作業)が必要
- ハウス内温度管理が重要
- 土壌水分管理が重要
- 誘引、整枝方法が露地栽培とは違う
人工的な受粉作業(授粉作業)が必要
ハウス内は、余計な虫が入ってこないようにしていたりする関係で、露地栽培と比較すると花粉を媒介してくれる昆虫も少なくなります。着果を確実に行うためには、マルハナバチをハウス内に放飼して授粉させたり、トマトトーンなどによるホルモン処理(着果促進処理)をする必要があります。
ハウス内温度管理が重要
先述したとおり、トマトの生長に合わせた環境制御が必要となります。特に温度は繊細に扱わなければなりませんが、ハウスの場合、夏場の温度が上がりすぎてしまうことが多々あります。側窓や天窓を開けたとしても、30℃をゆうに超えてしまう日が出てきます。
トマトの高温障害など生理障害を防ぐため、なるべくトマトの生育適温に合わせて、ハウス内の環境をこまめに制御してやることが必要です。下表に一般的な生育適温を掲載します。
発芽適温 | 生育適温(昼間) | 生育適温(夜間) |
---|---|---|
25〜28℃ | 20〜30℃ | 10〜15℃ |
ただし、プロの世界では栄養生長・生殖生長のバランスや樹勢によって、日中の温度と夜間の温度(夜温)を変えます。オランダでは、栄養生長させたいときには昼間の気温を落として夜温との差をなくしたり、生殖生長をさせたいときには日中帯を高温で保ったりします。
土壌水分管理が重要
地上部の制御と同様に地下部(土壌・固形培地)の環境の制御も重要となってきます。特に最も大事なことは水分量です。ハウス栽培の場合は、降雨による水の流入が少ないため、人工的にこまめな潅水をしてやる必要があります。
誘引、整枝方法が露地栽培とは違う
ハウス栽培の場合は、長期間生長させることから露地栽培とは異なった誘引、整枝方法を採ることが主流です。ハウスのパイプ、筋交い、番線などに誘引ひもをくくりつけて垂らし、それに植物を巻きつけながら誘引する方法や、園芸支柱をあんどん式に組んで斜め誘引をする方法などさまざまです。
トマトのハウス栽培 栽培方法、システムの種類は?
イチゴの施設栽培における栽培方法は、複数あります。それぞれ、コストや作業のしやすさなどが異なりますので、作型と合わせて検討する必要があります。下記にそれぞれの栽培方法を紹介します。
施設栽培における普通土耕栽培と液肥栽培
まず、栽培方法は大きく2つに分けることができます。
普通土耕栽培とは、普通一般に行われている、土を使って栽培する方法です。あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、ここでは液肥栽培との区別をはっきりとさせるため、普通土耕栽培と呼ぶことにします。
液肥栽培とは、施肥に液肥(液体肥料)を用いて栽培する方法です。こちらもあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、ここでは普通土耕栽培と区別するため、液肥栽培と呼ぶことにします。
養液土耕栽培と養液栽培の種類
養液栽培とは、液肥栽培の一種で、植物の生長に必要な養水分を液体肥料(液肥)として与える栽培方法です。養液栽培は、培地の有無や培養液の供給方法などによって、複数の種類に分けることができます。
養液土耕栽培とは、普通土耕栽培と同様に土を使用して栽培をしますが、植物に生長に必要な養水分を液体肥料(液肥)として与える栽培方法です。養液栽培には含めず、液肥栽培の一種として考えられることが多いです。
液体肥料による施肥は、潅水(水やり)と同時に施肥することが多く(潅水同時施肥技術)、液肥が混入された水を培養液と呼びます。
「養液土耕栽培」と「養液栽培」は、全くの別物となります。
- 養液土耕栽培:土耕栽培を基本として、潅水と施肥の全部、もしくは一部を培養液の供給で代替する栽培方法
- 養液栽培:培地を用いない、もしくは培地として土を用いない栽培方法
養液栽培は、培地を用いない水耕栽培、噴霧耕、培地を用いた固形培地耕があります。
- 水耕栽培
- 流動法
- DFT:湛液水耕方式
- NFT:薄膜水耕方式
- 静置法
- 保水シート耕(毛管水耕方式の一種)
- パッシブ水耕(毛管水耕方式の一種)
- 噴霧耕
- 流動法
- 固形培地耕
- ロックウール耕
- ヤシ殻(ヤシガラ)耕
- 砂耕
- れき耕
- ピートモス、バーグ など
トマトの栽培方法の違い まとめ
項目 | 普通土耕栽培(慣行栽培) | 養液土耕栽培 | 養液栽培 |
---|---|---|---|
初期費用 | – | 水耕栽培より安く、普通土耕栽培より高い | 高い |
運営費用 | – | 普通土耕栽培と同じくらい。場合によっては減肥などができる。 | 高い |
労力 | 土作りや施肥作業が必要である | 追肥として培養液を供給するので、労力を減らせる | 土作りや追肥という概念がなく、栽培期間中に培養液を切らさないようにしておけば良いため、労力を減らせる |
長所 | ・初期費用を抑えることができる | ・培養液の精密な制御により、収量と品質を向上させることができる ・培養液による栽培管理が可能となるため、普通土耕栽培に比べて栽培の再現性が高い ・潅水、施肥に費やしていた時間、労力を削減でき、管理作業など他の作業が充実する ・土壌を使用することで、根に対する緩衝能が高まり、培養液濃度が植物への影響が出にくい ・植物の根圏に対して、局所的に施肥ができるため、普通土耕栽培よりも肥料の無駄遣い(溶脱)が少ない。環境にも良い | ・培養液の精密な制御により、収量と品質を向上させることができる ・土壌微生物や有機物などの影響が少なく、普通土耕栽培に比べて栽培の再現性が高い ・水耕栽培の場合、土壌を使用しないため、根圏の環境を制御しやすい ・土壌伝染病や連作障害の発生など土耕特有の問題が起こりにくい ・土壌がない場所や農業に適さない場所においても栽培が可能である |
短所 | ・養液栽培や養液土耕栽培のように潅水同時施肥ができないので、施肥や潅水作業が必要となり労力がかかる | ・培養液の供給装置などの導入による初期費用が発生する ・培養液の供給装置などのランニングコストが発生する ・水によく溶ける肥料や液体肥料を使用する必要があるが、これらは普通の肥料と比較して高い | ・培養液の供給装置や培地システム(ベッド)などの導入による初期費用が発生する ・固形培地耕の場合、一作ごとなど定期的に培地を交換する必要がある ・培養液の供給装置などのランニングコストが発生する ・水によく溶ける肥料や液体肥料を使用する必要があるが、これらは普通の肥料と比較して高い ・綺麗な原水が必要である ・根に対する緩衝能が土耕栽培よりも低く、培養液濃度の管理が重要であり、少しでもミスをすると植物に多大な影響を与えてしまう ・培地や培養液に病原菌が含まれていると最悪の場合、圃場全体に影響が及んでしまう ・培養液が供給されなくなった場合、植物の枯死に繋がる |
トマトのハウス栽培 どのような設備が必要なの?
ハウス栽培をするにあたっては、さまざまな設備を用意する必要があります。
- ハウス
- パイプハウス
- 大型の軽量鉄骨ハウス
- ガラス温室
など
- ハウス内設備
- ベンチ/ガター
- 遮光ネット/遮光カーテン
- 保温カーテン(内張りカーテン)
- 換気窓(天窓、側窓、妻面)
- 循環扇
- 給液装置/潅水装置
- 送水用ポンプ
- 貯水タンク
- 給液・排液用配管
- 点滴チューブ/灌水チューブ
- 排液リサイクル装置
- 暖房設備
- ウォーターカーテン設備
- 温湯配管/電熱線
- 炭酸ガス発生装置
- 地上部環境制御装置
- 育苗棚(育苗ハウス)
もちろん、上記はすべて必要ということではありません。栽培方法や栽培規模、設備にかけられる費用に合わせた設計が必要です。それぞれの設備の説明と栽培方式毎に必須かそうではない設備かをまとめましたので、参考にしてください(あくまで、私見となります。逆にここに紹介されていないものでも、農業を営む上ではいろいろな道具や設備が必要です)。「◎」は必須、「○」は条件によって導入したほうが良いもの、「×」は不要なものを指します。
概要/栽培方法 | ベンチ/ガター | 遮光ネット/遮光カーテン | 保温カーテン(内張りカーテン) | 換気窓(天窓、側窓、妻面) | 循環扇 | 給液装置/潅水装置 | 暖房設備 | ウォーターカーテン設備 | 温湯配管/電熱線 | 炭酸ガス発生装置 | 地上部環境制御装置 | 育苗棚 |
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概要 | 栽培に使用する固形培地を容れるためのベンチです。主に人の腰〜胸くらいの位置にベンチを設置して、ピートモスやバーグなどの培地を使います。 ロックウールやココバッグなどの隔離培地の場合は、培地を載せるためのガターを設置します。 | 春〜夏にかけて強い太陽光にさらされ、植物の実や葉が焼ける(過熱)ことを防ぎます。 | 冬場のハウス内の温度を保ちます。暖房効率と炭酸ガス(CO2)の施用効果を高めます。遮光カーテンとしての役割も担う場合があります。 | 外気を取り込んでハウス内の温度を制御できるようにします。 | 換気が効率的に行えるようにするとともに、ハウス内のムラ(温度・湿度・炭酸ガス濃度)や植物の光合成促進のために使われます。 | 植物に水、もしくは培養液を供給するために使用します。培養液の場合、施肥も同時にできるため労働時間の短縮、栽培技術の向上が見込めます(潅水同時施肥技術)。 | 冬場の栽培時期に、ハウス内を加温し、植物の生育を保つために使用します。暖房設備(ハウスカオンキなど)によっては、炭酸ガス(CO2)も同時に施用できます。 | ハウスの外張りと内張りの間の空間に地下水などを流すことで、夜間のハウス内温度を保ちます。燃料代の節約に繋がります。 | 温湯配管を培地の地中に入れて、循環させることで冬の時期の夜間の地温を適切に管理することができます。お湯を作り出すためのボイラーが必要となります。 電熱線の場合は、電気代がかかりますが、燃料代を節約できます。 | 光合成を促進させるため、炭酸ガスを意図的に発生させる装置です。暖房機によっては炭酸ガスを同時施用できるものもありますが、炭酸ガス発生装置を個別で導入することで、炭酸ガスの施用効率の向上、温度管理と炭酸ガス濃度の管理の区別が可能となります。 | 地上部の環境(気温、湿度、炭酸ガス濃度(CO2濃度)など)を計測し、植物の生長に最適な環境に制御する装置です。設定値を入力することで、その設定値に近づけるように換気窓や各種装置の制御を行います。 | 本圃に植え付ける苗を育苗する棚です。 |
普通土耕栽培(慣行栽培) | × | ◎ | ○ | ◎(少なくとも妻面と側窓) | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○(露地での育苗などしない限り必要) |
養液土耕栽培 | × | ◎ | ○ | ◎(少なくとも妻面と側窓) | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○(露地での育苗などしない限り必要) |
養液栽培 | ◎ | ◎ | ○ | ◎(少なくとも妻面と側窓) | ○ | ◎(培養液供給となるため必須) | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎(培地量が少なく、周囲の環境変化を受けやすいため必須) | ○(露地での育苗などしない限り必要) |
どのようなハウスが良いのか?
トマト栽培をする上で、ハウスを建設する場合、どのようなハウスが良いのでしょうか?正直なところ、ハウスの建設コストはピンキリで、費用をかければかけるほど良いハウスが建設できますし、安く抑えようとすればするほど設備が質素になります。また、栽培方法(土耕栽培なのか、養液栽培なのか)によっても変わってきます。
まずは、営農している地域のハウスメーカーやハウス施工会社に問い合わせをしてみるのが良いと思います。