畑を耕すための農業機械といえば、大型のトラクターを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、耕運機やテーラーを使えば、家庭菜園などの面積が小さい畑も便利に耕すことができます。耕運機やテーラーの使い勝手は、チェンソー、ヘッジトリマー、ブロワー、草刈機などの身近な農機具に近いです。
この記事では、ホンダ耕運機「こまめ」を紹介します。
「こまめ」の概要
「こまめ」は、2020年で誕生から40周年を迎えた、人気および知名度ともにトップクラスのホンダ耕運機です。その爆発的ヒットはベストセラーとよぶに相応しく、ホンダのクロニクル(chronicle)にもその名を刻む製品です。軽量コンパクトなので誰でもラクラク取り回すことができ、狭い畑で活躍します。一方で、固い圃場や土質であっても、しっかりキレイに耕せるパワーも兼ね備えています。
性能と機能
本体は小型ながら、最大耕幅や耕運爪径は比較的大きいため本格的に耕すことが可能です(外爪を分割して取り外すことで、耕幅を変更できます)。エンジンの下に遊星ギヤのミッションとローターを収めるタテ型のバーチカル機構を採用することにより、本体の小型化を実現しています。このバーチカル機構により、優れた車体バランスと安定した耕運が可能になっています。さらに、直進性を向上させ安定して耕せるように耕運爪の側面には、サイドディスクも装備されています(草の巻き付きを防ぐフレームも装備されています)。
使い勝手を高めるための細かな技術にも余念がありません。ハンドルには、持ち運びやすさに配慮したフロントハンドルが採用されています。ハンドルは工具不要で折りたたむことができるので、収納や自動車での運搬にも便利です。また、道具を使わずにガソリン抜きができるように、排出用ホース(ガソリンドレンチューブ)も取付けられているなどメンテナンス性にも優れます。
なお、後述するように、こまめF220にはいくつかの区分(種類)があります。しかし、ベースとなる機体はシンプルに1つで、ローターの有無、ローターの種類、スイングハンドルの採否、スーパー車輪の有無といった項目により区分が異なります。JAST、JAT、BAT、JT4、JAS4といった複数の区分があり多少ややこしいかもしれませんが、機体のスペック(spec)は同じです。したがって、最もオーソドックスなJT区分を参照するとよいでしょう。
こまめF220(JT) | |
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製品 | |
型式名 | FAAJ |
区分 | JT |
動力源 | ガソリン |
タイプ | 車軸ローター |
全長×全幅×全高(mm) | 1115×585×975 |
重量(kg) | 27 |
最大出力(馬力) | 2.0 |
耕運幅(mm) | 545 |
対応面積目安(坪) | ~100 |
希望小売価格(税込) | 109,780円 |
エンジン
ホンダの祖業でもあり技術の根幹を成す、エンジンへのこだわりは耕運機においても同様です。耐久性が高く、粘り強い耕運を実現します。こまめに採用されているGXV57Tの性能は、以下の通りです(エンジン出力はSAE J1349に準拠していますが、量産エンジンでは数値が変動する場合があります)。
GXV57T | |
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種類 | 空冷4ストローク単気筒OHV |
総排気量(cm3) | 57.3 |
連続定格出力/回転数(kW[PS]/rpm) | 1.0[1.4]/4,000 |
最大出力/回転数(kW[PS]/rpm) | 1.5[2.0]/4,800 |
使用燃料 | 自動車用無鉛ガソリン |
燃料タンク容量(L) | 0.67 |
点火方式 | トランジスタ式マグネト点火 |
始動方式 | リコイルスターター(手動) |
燃料にガソリンを使用する耕運機は、パワフルに土を粉砕し、広い面積を耕すことができます。一方で、エンジンオイルの交換などメンテナンスや手入れをしなくてはいけない側面があります。また、ガソリンを入手するために、携行缶を持ってガソリンスタンドに行かなくてはいけないという煩わしさもあります。こうした手間を回避したい場合には、燃料にカセットガスを使用するガス耕運機を活用する方法もあります。状況や状態に応じて、検討してみてください。
「こまめ」の区分(種類)
「こまめ」は、2020年で誕生から40周年を迎えています。畑で土を耕すのはトラクターの仕事というのが常識の時代に、誰にでも扱える超小型ティラーというコンセプトで開発されました。「F200」シリーズ、「F210」シリーズからの改良を経て、現在に至ります。過去には水田用、ハウス用、茶園用、果樹園用といった作物に応じた専用こまめも取り扱われていましたが、現在は標準仕様の「F220」シリーズに集約されています。「F220」シリーズでは、搭載されるエンジンの排気量を100ccから57ccにダウンサイジングさせて燃費を高める一方で、新設計した土に食い込むL字型形状の爪で深耕できるようにするなどして耕運力を向上させています。
現行のこまめ「F220」シリーズには区分の異なるものがありますが、ベースとなる機体はシンプルに1つです。最もオーソドックスなのはF220(JT)ですが、それに対して、ローターの有無、ローターの種類、スイングハンドルの採否、スーパー車輪の有無といった項目により区分が異なります。特に、F220 K1(JT4)とF220 K1(JAS4)は「こまめ40周年アニバーサリーモデル」なので、機体の性能や機能はそのままにスーパー車輪(抵抗棒を外して装着する一輪タイプの車輪)が付属されていて、お得感があります。
F220(JT) | F220(JAST) | F220(JAT) | F220(BAT) | F220 K1(JT4) | F220 K1(JAS4) | |
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標準ローター | ○ | × | × | × | ○ | × |
ニュースターローターDX | × | ○ | × | × | × | ○ |
スイングハンドル | × | × | × | ○ | × | × |
スーパー車輪 | × | × | × | × | ○ | ○ |
希望小売価格(税込) | 109,780円 | 120,780円 | 100,980円 | 105,380円 | 109,780円 | 120,780円 |
「こまめ」の使い方
こまめの使い方を「操作方法」と「用途」に分けて紹介します。
操作方法
一般的な耕運機の操作方法は以下の通りですが、こまめの場合はさらにシンプルで簡単です。スロットルレバー(スルットルレバー)を握るだけでクラッチがつながり前進し、放すと止まる簡単で安心な操作です(主クラッチ形式はシュークラッチ、走行変速段数は前進1段のみです)。
作業名 | 内容 |
---|---|
始動 | ① 機体の安全点検を行う ② 主クラッチレバーと耕運クラッチレバーが「切」、変速レバーが「中立」になっていることを確認する ③ エンジンを始動させる(リコイルスタータの場合はロープを引き、セルスタータの場合はスイッチを使う) |
発進 | ① 変速レバーを希望の位置に入れる ② アクセルレバーを調整し、エンジンの回転を上げる ③ 主クラッチレバーを入れ、ゆっくりとクラッチをつなぎ発進 |
変速 | ① 主クラッチレバーを切り、変速レバーを希望の位置に入れる ② 主クラッチレバーを入れ、ゆっくりとクラッチをつなぐ |
旋回 | ① エンジンの回転を下げ、速度を十分に落とす ② ハンドルをかるく持ち上げる ③ 曲がる側のかじとりクラッチレバーを握りながら、機体を旋回させる |
停止 | ① エンジンの回転を下げ、主クラッチレバーを「切」にする ② 変速レバーを「中立」にし、エンジンを停止させる |
用途
別売の純正アタッチメントを装着することで、耕運だけでなく、畝立て、中耕培土(畝間の雑草処理と土寄せ)、除草、整地、マルチ、種まき、収穫など色々な農作業に活用できます。別売の純正アタッチメントは、以下の通りです。なお、同じ製品名のアタッチメントであっても、異なるモデルの機体には対応していないものもありますので、注文前に品番をよく確認するようにしましょう。
スーパー車輪 | らくらく車輪3型 | 移動タイヤEX(標準ローター専用) | 移動タイヤEX(ニュースターローター専用) | ニュースターローターDX600 SP | ミラクルローター(720) | パープル培土器 | ニューイエロー培土器(尾輪付) | ブルー溝浚器(尾輪付) | 培土車輪 | ブルースパイラル650 | 整地レベラー720 | 平うねミニマルチ こはる | マルチシート65cm(黒色) | あぜ切器DX2 | 2条播種機かご車セット | 3条播種機かご車セット | リヤキャリア キャリア単体 | リヤキャリア RC20セット | ボディーカバー(ハーフサイズ)(FV200・FG201・F220用) | ボディーカバー(フルカバー)(FV200・FG201・F220用) | |
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製品 | |||||||||||||||||||||
希望小売価格(税込) | 4,730円 | 11,550円 | 15,400円 | 14,850円 | 27,500円 | 27,500円 | 13,200円 | 16,500円 | 17,050円 | 11,000円 | 22,000円 | 16,500円 | 32,120円 | 3,740円 | 49,500円 | 204,820円 | 253,000円 | 23,100円 | 29,700円 | 3,080円 | 4,730円 |
まとめ
ホンダ(HONDA)は、「The Power of Dreams」をスローガンに掲げるテクノロジー企業です。ホンダのクルマやバイクは誰もが知るところですが、マリンやパワープロダクツも有名で、最近ではHondaJetも手掛けています。
「パワープロダクツ」分野の製品として、耕運機、芝刈機、草刈機、刈払機、除雪機、動力噴霧機(動力散布機)、高圧洗浄機、ブロワ、水ポンプといったものも展開しています。特に耕運機は、家庭菜園や小中規模園芸において、高いシェアをもつベストセラー製品です。
「こまめ」は、2020年で誕生から40周年を迎えた、人気および知名度ともにトップクラスのホンダ耕運機です。その爆発的ヒットはベストセラーとよぶに相応しく、ホンダのクロニクル(chronicle)にもその名を刻む製品です。軽量コンパクトなので誰でもラクラク取り回すことができ、狭い畑で活躍します。一方で、固い圃場や土質であっても、しっかりキレイに耕せるパワーも兼ね備えています。
本体は小型ながら、最大耕幅や耕運爪径は比較的大きいため本格的に耕すことが可能です(外爪を分割して取り外すことで、耕幅を変更できます)。エンジンの下に遊星ギヤのミッションとローターを収めるタテ型のバーチカル機構を採用することにより、本体の小型化を実現しています。このバーチカル機構により、優れた車体バランスと安定した耕運が可能になっています。さらに、直進性を向上させ安定して耕せるように耕運爪の側面には、サイドディスクも装備されています(草の巻き付きを防ぐフレームも装備されています)。
使い勝手を高めるための細かな技術にも余念がありません。ハンドルには、持ち運びやすさに配慮したフロントハンドルが採用されています。ハンドルは工具不要で折りたたむことができるので、収納や自動車での運搬にも便利です。また、道具を使わずにガソリン抜きができるよう排出用ホース(ガソリンドレンチューブ)も取付けられているなどメンテナンス性にも優れます。
なお、ホンダには、以下の耕運機などもあります。ホンダの耕運機は、燃料の種類、ロータリーの位置、対応できる面積、対応できる作業などによって、それぞれに明確な特色があります。
- ピアンタ FV200(JT2)
- プチな FG201(JT)
- パンチ F503(JH)
- サ・ラ・ダCG FFV300
- サ・ラ・ダ FF300(LT2)
- サ・ラ・ダ FF500(LA)
- ラッキーボーイ FU400
- ラッキー FU655
- ラッキー FU755(L)
- 一輪管理機(FR316)
- 汎用管理機(LH)
その他、代表的な耕運機メーカーとして、クボタ(KUBOTA)、ヤンマー(YANMAR)、イセキ(ISEKI)、マキタ(makita)、リョービ(RYOBI)、オーレック(OREC)などもあります。これから耕運機を探すという人は、あわせてチェックしてみてもよいかもしれません。