カーメックスとは、どんな除草剤?
カーメックスは、DCMU(3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素)を有効成分とする、丸和バイオケミカル株式会社が販売する除草剤です。
カーメックスは雑草の発生前から生育期に散布することで、雑草の発生を長期間しっかり抑えることができます。
カーメックスの有効成分、性状
- DCMU(PRTR・1種)・・・80.0%
DCMU(3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素)は、バイエルによって導入された、土壌散布された有効成分が種子の発芽とともに根から吸収され,茎葉に移行して光合成を阻害することにより雑草の生長を抑制し、枯殺する除草剤です。
性状は、類白色水和性細粒になります。類白色水和性粉末と、粉末状のカーメックスDという商品もあります。粉末状だと希釈する際に風で舞い上がって使いにくいという使用者の声を受け、細粒のカー メックスが開発されました。
カーメックスの特長
カーメックスの最大の特徴は、使用時期が雑草の発生前(萌芽前)から生育期まで、非常に幅広い点です。このため、適用作物によっては、使用方法として土壌処理剤のように、雑草発生前に散布するパターン、また雑草の生育期に葉茎処理剤のように、収穫時期を逆算して散布するパターンと散布タイミングが選択できます。
また、非常に多くの雑草に除草、殺草効果があるのも特長です。特に種子から発芽した直後に強い除草効果を発揮します。
使用するときに注意したい点
時期
上記のように、カーメックスは雑草の発生前(萌芽前)から生育期まで、非常に幅広い使用時期で使えます。
しかし、雑草の生育期よりも種子から発芽した直後に、強い除草効果があるため、効果を最大限に出すためには「雑草発生前」にしっかり散布することをおすすめします。
効果・薬害・毒性
カーメックスは以下のように、幅広い「適用作物」と「適用雑草」に対応しています。
種類 | 適用雑草 |
---|---|
カーメックス顆粒水和剤 | 一年生雑草及び多年生広葉雑草、コケ類、イシクラゲ |
カーメックスD(粉末) | 一年生雑草及び多年生広葉雑草、コケ類、イシクラゲ |
下記の有効成分を含む農薬の総使用回数(年限)は以下の通りなので、使用回数には注意してください。
- DCMU(PRTR・1種) 1〜3回
DCMUの使用可能回数(年限)は、適用作物によって変わってきます。ほとんどの適用作物は「1回」ですが、だいずやさとうきびのように場合によっては2回以上の使用が認められるものもあります。適用作物をよく確認するようにしましょう。
カーメックスの効果を高めるために
カーメックスを雑草の発芽前に散布する場合は、撒く土壌はできるだけ湿っていたほうが、処理層がしっかり形成されるので効果が持続しやすくなります。このため、雨上がりに散布できるとベストです。広範囲に散布する場合は、散布機やスプレイヤーがあると便利です。
雑草の生長期に散布する場合は、カーメックスの場合、展着剤を利用すると効果をアップすることができます。
展着剤や希釈についてのより詳しい情報は下記を参考にしてみてください。
また、降雨が激しい時に散布すると、薬剤が土中に浸透し、作物に影響を与えてしまう可能性があります。このため、散布中、散布後に降雨が予想される時は、使用を控えてください。
また、カーメックスは多くの草種に殺草効果がある非選択性除草剤ですが,ツユクサやカヤツリグサなどに対する効果は比較的弱くなります。
ツユクサ、カヤツリグサに困っている場合は、グリホサート系やグルホシネート系の非選択系除草剤などを使用する必要があります。その場合は、下記を参考にしてみてください。
その他
除草剤全般の使用する際は、服装等、注意することがあります。下記記事に詳しく説明していますので、参考にしてみてください。
まとめ
丸和バイオ ケミカルの除草剤カーメックスを上手に使うことで病害虫の発生を減らし、殺虫剤の使用量を抑えることができます。田んぼに生えてくる雑草、また全般的な防除方法や除草道具については、下記を参考にしてみてください。
(補足)除草剤あれこれ
農耕地で使用できるものとできないものがあります
ラウンドアップやサンフーロン、バスタは、畑作や果樹園などの田畑、農耕地で使用することができますが、グリホエースなど、グリホサート系除草剤でも農耕地で使用できないものもあるので、使用の際は必ず確認するようにしましょう。
具体的には、農薬取締法に基づき国に農薬登録をされている除草剤(農薬として登録された除草剤のパッケージには[農林水産省登録第○○号]と表記されています)しか、畑や田んぼ、菜園、植物を植えた庭などの所謂「農耕地」に散布することはできません。
下記に詳しく書いているので、興味ある方は読んでみてください。
尿素を混ぜると(尿素混用)除草剤の効果が高まります
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、希釈した除草剤20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。また、展着剤を使って効果を上げる方法もあります。
除草剤の希釈方法について
液体の原液の除草剤や液肥、薬剤は、水で希釈して薄めて使用する必要があります。下記では、展着剤、乳剤、水和剤などの希釈方法や、面倒な希釈倍率、水量、液量の計算を楽にする方法を説明しています。
除草剤の種類あれこれ
発芽抑制する「土壌処理剤」か、茎葉処理する「茎葉処理剤」か
除草剤の大きなタイプ分けとして、土表面に散布して雑草の発芽、生育を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。
また、この両方の効果を持つタイプもあって、「茎葉兼土壌処理剤」と呼ばれるものもあります。
「土壌処理剤」は、土壌に成分が残り、雑草の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があるなど、茎葉処理のものより多くの植物を除去することができます。
しかしながら、草丈20〜30cm以上草が生長している場合は、効き目が弱く、効果を出すためには、草刈りした後での散布が必要になってきます。「茎葉処理剤」は、散布された薬液に接触、吸着した部分の植物組織だけを枯らします。このタイプの薬剤は種類を限定して効果を発揮することができる選択的除草剤が多くあります。
非選択性か選択性か
次に、除草剤は接触した全ての植物を枯らす「非選択性除草剤」か、対象とする植物種を枯らす「選択性除草剤」かに分けられます。除草剤の研究により、枯らす対象となる植物を絞り込む「選択性除草剤」が多く開発されています。枯らす仕組みは主に、光合成を阻害して枯らすもの、植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害するもの、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすものがあります。
また、除草のための農機具、農具、草刈機(刈払機)、資材については、こちらをご参考ください。
除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。
雑草の様々な防除、駆除方法は下の記事がおすすめです。
また、特に防草シート(除草シート)での防除に興味ある方は下の記事をご参考ください。
除草剤の安全性について
除草剤については、様々なイメージ、情報が飛び交っています。下記では、そもそも除草剤は安全なのか、また除草剤を使用するときに気を付けたいポイント、また個別の除草剤の安全性について徹底解説しています。