雑草や草を生えないようにするため、土面に設置する防草シート。一般的には、雑草を生えないようにするシートを、防草シートや除草シートと呼んでいます。
防草シートは、防草シート(除草シート)は、雑草の生長をストップさせる優れものですが、デメリットもあります。ここでは、防草シートのメリット、デメリットについて解説していきます。
どうして、防草シートで雑草の生長を止めれるの?
植物は生長するために、空気中の二酸化炭素(炭酸ガス)と水に光のエネルギーを加えて炭水化物を生成し、酸素を放出する機能、光合成を行います。
防草シート(除草シート)は、光を遮る(遮光)ことで、植物に光合成を行えないように抑制します。この結果、植物は炭水化物を生成できなくなり、生長しなくなります。
防草シートのメリット
防草シートは以下のようなメリットがあります。
- 敷設すれば、数年から数十年は雑草を抑制でき、草刈りから解放される
- 草刈り、草むしりの労力から考えると、比較的安価で広範囲に設置することができる
- 砂利やバークチップ、人工芝をシートの上に敷くことで、景観も美しくできる
防草シートのデメリット
では、防草シートにはどんなデメリットがあるのでしょうか。
数年で劣化して、防草の機能を果たさなくなる可能性がある
防草シートは様々な種類があり、中には非常に耐久性の低いものもあります。このような防草シートを選んでしまうと、数年で紫外線で経年劣化し、破れ、その隙間から雑草が生えてきてしまいます。
耐用年数の短い安価なものは、年月が経つと劣化し、効能が落ちてきます。シートの設置は手間がかかり、そう何度も替えたりしたくないものです。シートの耐用年数、耐久性の高い不織布かどうかは重要ポイントなので、購入の際は確認してください。
遮光率が低いと、雑草の抑制にならず、突き破られることがある
遮光率が低い、安価な防草シートを使用すると、雑草の光合成の抑制が充分でなくなり、雑草の生長を止めることができません。
このため、除草シートを選ぶ際は遮光率が高いことが重要です。真夏の強い日光で、光合成を完全に阻害するまでの遮光率は、99.5%以上と言われています。購入する際に、目安の遮光率にしてください。
大規模に設置するとやり直しが大変
下に施工方法を記載しますが、大規模な面積に防草シートを貼ると、やり直しが大変です。貼る前には結構な下処理が必要になるため、簡単にやり直すことができないのはデメリットと言えるでしょう。
上記の上2つのデメリットは、防草シートの上に砂利や人工芝、チップなどを敷くことでかなり解消することができます。防草シートと何を組み合わせるかについては、下記を参考にしてみてください。
水はけ、日当たりの悪い場所は虫がわきやすい
その他、デッキの下のような日光が遮断された日陰の場所、また水はけが悪い場所だと、ダンゴムシやナメクジ等の害虫がわきやすくなるデメリットがあります。
対処としては、ポリエステルではなくポリプロピレン製の透水性が高い防草シートを選ぶ、また、排水性を考えた設置にする、また防草シートと地面に間に殺虫剤を散布する、といった方法があります。
おすすめの防草シート 4選!
ホームセンターの園芸コーナーに行くと、防草シートはたくさんありますが、効果は様々です。上記のデメリットを解消できる防草シートをご紹介します。
防草シート(除草シート)は、第一に光を遮光することで、植物に光合成を行えないように抑制します。この結果、植物は炭水化物を生成できなくなり、生長しなくなります。このため、どれだけ光を遮ることができるか、遮光率のレベルが極めて重要です。また、シートの中でも、不織布の材質のシートの方がそうでないものより、遥かに貫通を防ぎやすく、また高密度で太い厚みと強度があるほうが、当然防御力は増します。
防草シート(除草シート)は野外で使用するため、日光による劣化のほかに、水にさらされ続けることで加水分解する材質は劣化も早く、透水性が低いと水はけが悪く、雨水でぬかるみを作ってしまいます。また酸性、アルカリ性に弱い材質も、そうでない材質のものより長持ちしません。このため、ポリエチレン(ビニール袋などによく使われます)よりも、透水性が高く、酸性、アルカリ性に強い材質のポリプロピレンを使用しているものがおすすめです。
またポリプロピレン製は、切断、裁断しやすく、ほつれにくいため、縁石や花壇、樹木を植える場所、壁際の周りなどを、ハサミ、カッターで切ってカットしやすく、敷ける範囲も広がります。
まとめると、「遮光率」「不織布かどうか」「透水性」「耐久力」の4つの要素が防草シートにとって大きな要素になります。下記のおすすめ防草シートは、上記全ての要素を満たしている丈夫なシートです。
商品名 | ||||
---|---|---|---|---|
1㎡(平方メートル) 当たり価格 | 約400円 | 約600円 | 約200円弱 | 約330円 |
遮光率 | 99.7% | 99.7% | 96.7% | 99.9% |
不織布かどうか | 不織布 | 不織布 | 不織布 | 不織布 |
透水性 | ○ | ○ | ○ | ○ |
性質 | ポリプロピレン | ポリプロピレン | ポリプロピレン | ポリプロピレン |
耐久性 | ◎ | ○ | ○ | ○ |
(面積ごとにたくさんの種類があります)
防草シートのデメリットを解消する、防草シートの敷き方
雑草には様々な種類があります。一年で枯れる一年草から、土中に根や地下茎を張り巡らして、刈っても刈っても何度も生えてくる多年草まで、種類もイネ科雑草、広葉雑草など様々です。どんな雑草が生えているかで防草シートを敷く前の準備も変わってきます。
また、防草シートは、下から雑草が生えてくることを防ぎますが、防草シート同士の間に隙間ができると、もちろんその隙間から雑草は繁殖してしまいます。このため、隙間を作ることなく、強風や豪雨でシートが動かないよう、しっかり地面にシートを固定し、敷き詰める必要があります。このように、防草シートの敷く前の準備や敷き方で、どれくらいの期間効果を持続させる事ができるか、大きく変わってきます。それでは、防草シートの敷き方手順を見ていきましょう。
除草
防草シートを敷くときは、できるだけ雑草を取り除き、地面に雑草がない状態にする必要があります。既に雑草が繁茂している場合は、必ず草取りや草刈り、草むしりを行って、地面を雑草がない状態にしてください。
また、草刈りをしても、雑草が多年生雑草の場合は、根が残っているため、またすぐに生えてきます。このような場合、使用が可能であれば、草刈り後、グリホサート系(ラウンドアップマックスロードやサンフーロン)などの 除草剤 を散布し、土中の根や地下茎まで枯らしてしまうことが有効です。
雑草の根や地下茎が残ったままだとすぐに雑草が生えようとし、チガヤやハマスゲ、竹、笹、セイタカアワダチソウなどの突抜け性の強い多年生の雑草は尚更、 ドクダミ 、 スギナ 、ナズナなど非常に強い雑草が生えている場合は、 除草剤 を使用して、根や地下茎まで除草、駆除できるとベストです。雑草突き抜けの憂いを取り払いましょう。
また、冬から春にかけて防草シートを敷く場合は、草刈りする必要はないかと思いますが、夏場にスギナ、ドクダミ、チガヤ、ハマスゲ、セイタカアワダチソウ、ヤブガラシ、ススキが目立っていた場合は、土壌処理剤を撒いた後に防草シートを敷くことをおすすめします。
除草については、下記に全ての情報をまとめています。
踏み固め
もしその場所が、水平でもともと地盤が緩い場合は、踏み固めや重石を使って地面を固めて、できるだけ表面を固い平らに整地してならしてください。透水性が高い防草シートを使っても、豪雨で水たまり、ぬかるみが出来る可能性はあるので、それを避けるためにも大事な作業になります。また、プロの造園業者は整地の際に端に傾斜、勾配を付けて、雨水を透すようにデザインしたりします。
敷設 (施工)
いよいよ、防草シートを広げて敷いていきます。敷き方のポイントは2点です。
作業をするときは、ピン等を使い、土をならす作業があるので、軍手を身に付けるようにしましょう。縁石や花壇、壁際がある時は、シートにカッターやハサミで切込みを入れて、加工していきます。苗を植える際のマルチングに穴を開けるために切るのと同じ要領です。シートをはさみで短く切り分けるよりも、長めにとって、丁寧に設置していきましょう。
敷設後
敷設後は、定期的に、シートが捲れていないかどうか、破れたり破損したりしていないか確認し、固定ピンを増やしたり、補修する事が重要です。また、周りに耕作放棄地や空き地が多い場合は、雑草の種子が飛来し、防草シートの周辺に突き抜け力の強い多年草(例えば、チガヤ、ハマスゲ、メヒシバ)が生えてくる可能性があります。
防草シートの周辺に生えてきている場合は、根や地下茎が防草シートの下に張り巡る可能性があるため、早めに抜いたり、グリホサート系(ラウンドアップ 、サンフーロン)の除草剤で除草、駆除することをおすすめします。
防草シートの施工業者に頼むのもありです。造園業者も多く、剪定や伐採、落ち葉の回収、生垣、植木の処理も合わせて行ってもらうこともできます。詳しくは下記を参考にしてみてください。
防草シートの上に砂利を敷くと、よりおすすめです!
市販されている防草シートは、最大手のプランテックス(旧名称 ザバーン )はじめ、全ての防草シートは、むき出しで使用していると、紫外線で徐々に劣化していきます。そもそも安価な防草シートは、日光に露出(曝露)して数年も放置できるように作られていません。また、非常に性能が高いザバーンのような防草シートでも、むき出しで使用すると、最もグレードが高いザバーン350Gで、約10〜15年の耐用年数になります。後々後悔しないためにも、防草シートを下地にして、玉砂利や砕石、バークチップ、ウッドチップや人工芝を敷いて紫外線を防ぐことが重要になってきます。
しっかりと砂利や砕石、バークチップで紫外線を防ぐことが出来ると、高機能な防草シートだと、半永久的に雑草の繁茂を防ぐことができますし、庭などの景観も良くなりますので、是非下の記事を参照ください。
まとめ
防草シートはホームセンターの資材、ガーデニング(園芸)コーナーにたくさんの種類が置かれていますが、どんな防草シートを選ぶのか、また敷き方、貼り方で、デメリットを解消することができます。
折角購入した防草シートなのですから、シートの効果を発揮させるために、ピンを打ち、しっかりと固定させるようにしましょう。防草シートを貼ることで、雑草の繁殖を防ぎ、雑草の発芽、病害虫の発生、害を防ぎ、農作業を楽にすることができます。
また、防草シートの他に、防草砂という製品もあり、その中でも固まることで物理的に下から雑草を生えてこないようにする「固まる防草砂」という硬いものもあります。「固まる防草砂」はセメントが混ぜられたもので、コンクリートに近しく、主にアスファルトの代わりに駐車場、通路などで使われます。その土地を固めてしまっても大丈夫な場合は、こちらもご検討ください。
(おまけ)防草シートと一緒に使いたい、ピンとテープ
どうしてピンとテープが必要なの?
防草シートを敷設しても、強風などで次第にズレてきます。そして地面が露出して雑草が生えてきます。
一度設置したら長い間防草を保ちたいものです。このため、防草シートは、敷いた後に、しっかり専用の粘着テープを貼って固定し、さらに上から専用のピンをハンマーで打って刺し、防草シートをしっかりと固定する必要があるのです。
ピンの種類
防草シートピンの種類は主に鉄製の「L字型」「U字型」「角形」の3種類があります。長い間使用することを考えると、2本でしっかりと押え、固定させる「U字型」か「角型」がおすすめです。
また素材は鉄のもの以外に、プラスチック製のもの(プラピン)があります。配管など、地中のものを破壊しないようにしたい場所ではプラピンを使う必要がありますが、特に注意する必要がない場合は、耐久性も高いので、一般的な鉄製のものを利用するのが良いでしょう。
おすすめの防草シー ト ピンとテープ
Uピン杭 固定用黒丸付
防草シートを押さえるのに最もポピュラーな、20cmの長さのU字型のピンと、ピンを固定するワッシャー(黒丸)がセットになったものです。
いくらの数のピンが必要なのかは、下記の間隔を参考にしてみるといいですよ!
ピンの間隔は、防草シートをむき出しで使用する場合は、「50cmおき」の箇所に、シートを下敷きに砂利やバークチップ・ウッドチップを載せる場合は「1mおき」の箇所に打込むのがおすすめです。
地中を気にする必要がない、また地盤が緩いなど、より固定したい場合は、30cmの長さの防草シートピンとワッシャー(黒丸)のセットがおすすめです。
ザバーン防草シート用 接続テープ
最もメジャーな防草シート「ザバーン(xavan)」と同ブランドの粘着テープです。ザバーンと唄っていますが、もちろんどんな防草シートにも使うことができます。粘着力、耐久性ともにおすすめのテープです。
防草シート用 補修テープ JB-08-10-R (80mm×10m)
非常にリーズナブルで、耐久性、粘着力申し分ない、コストパフォーマンス抜群の防草シート用テープです。