チェンソーの用途は、伐採や剪定、丸太を切るだけではありません。単に農機具としての枠にとどまらず、アート作品を作り上げるために欠かせない道具としても使われています。
この記事では、チェンソーアート(チェンソーカービング)について紹介します。
チェンソーアート(チェンソーカービング)とは?
「チェンソーアート」もしくは「チェンソーカービング」とは、チェンソーを駆使して原木や氷の塊から制作された彫刻作品のことです。制作過程の実演パフォーマンスまで含めて、芸術つまりアート(art)だと表現されることもあります。確かにダイナミックかつスピーディーに、龍、馬、熊、猛禽類などの彫刻作品を作り上げる様子は、芸術つまりアート(art)であることに疑いの余地がありません。なお、カービング(carving)は、カーブ(carve)のことであり、カービング愛好家のことをカーバーともよびます。
チェンソーアートは、1970年代のアメリカ合衆国やカナダが発祥といわれています。日本でチェンソーアートが盛んになり始めたのは、2000年代に入ってからとされています。チェンソーアート界の世界的レジェンドであるブライアン・ルース氏が、2000年に愛知県北設楽郡東栄町でのイベントに招かれたことがきっかけです。それ以前は、ログビルダーやログハウス職人など一部のプロの間でのみ知られていたようです。
その翌年の2001年には、「チェンソーアート競技大会in東栄」が開かれました。以降この大会は毎年開かれ、関係者の間では「カービングの甲子園」や「元祖」としても認知されています。スチール(STIHL)、オレゴン(OREGON)、ファナー(PFANNER)など世界的なチェンソー用品メーカーの協賛も受ける由緒ある大会です。
一方、日本人でチェンソーアートの第一人者として知られているのが、城所ケイジ氏です。城所ケイジ氏は、愛知県北設楽郡東栄町でのイベントにブライアン・ルース氏を招聘することを企画した中心人物でもあり、自らもチェンソーアート国際大会4年連続チャンピオンとなるなど数々の輝かしい成績をおさめています。現在でも、和歌山県田辺市龍神村のチェンソーアート・ジャパンで取締役を務めるほか、チェンソーアーティストとして個展を開催するなど精力的に活動し、日本のチェンソーアートをリードし続けています。
初心者がチェンソーアートに挑戦したいときは?
初心者がチェンソーアートに挑戦したいときには、まずは「講習会への参加」と「道具の用意」から検討してみるとよいでしょう。
講習会への参加
初めてチェンソーアートに取り組む際には、チェンソーアートの講習会やワークショップに参加して指導を受けることが望ましいです。プロやベテランカーバーの実演では、難なくチェンソーを扱っていますが、初心者にとってチェンソーは危険な道具です。安全な扱い方を学ぶためにも、講習会やワークショップに参加するようにしましょう。全日本チェンソーアート協会のホームページでは、全国各地の講習会やワークショップが紹介されています。
道具の用意
主な道具としては、「カービングチェンソー」に加え、「防護服と保護具」が必要になります。選定にあたっては、講習会やベテランカーバーを通じて助言が得られるよう努めましょう。
カービングチェンソー
プロレベルの繊細な作業には、専用のカービングチェンソーが使われます。新たに購入やレンタルするのであれば、ガイドバーに「カービングバー」が採用されている製品を選ぶようにしましょう。カービングバーは先端にかけて細くなっているため、繊細な作業に適しており、キックバックも起こりにくい特徴があります。カービングバーが装着された製品として、以下のようなものなどがあります。
- 共立「CS252T」
- 新ダイワ「E2125TS」
- マキタ「MUC204CDGR」
- リョービ「ES-3025V」
- スチール「MSE 170 C-B カービング」
- サムライレジェンド「カービングチェンソー SP275SR」
なお、ガイドバーは付け替えることができますので、これらに限らず所有するチェンソーがある場合は、カービングバーが装着できるか確認してみるとよいでしょう。
防護服と保護具
チェンソー以外に忘れてはいけないのが、防護服と保護具です。チェンソーアートの理念のひとつに、安全な使用や操作方法を普及するということがあります。したがって、適切な防護服と保護具を正しく着用することは極めて重要です。代表的な防護服と保護具には、防護ズボン、チャップス、手袋、ヘルメットなどがあります。
まとめ
「チェンソーアート」もしくは「チェンソーカービング」とは、チェンソーを駆使して原木や氷の塊から制作された彫刻作品のことです。制作過程の実演パフォーマンスまで含めて、芸術つまりアート(art)だと表現されることもあります。確かにダイナミックかつスピーディーに、龍、馬、熊、猛禽類などの彫刻作品を作り上げる様子は、芸術つまりアート(art)であることに疑いの余地がありません。なお、カービング(carving)は、カーブ(carve)のことであり、カービング愛好家のことをカーバーともよびます。
チェンソーアートの魅力として、楽しみ方が多様であることが挙げられます。競技大会に出場してチャンピオンを目指すもよし、憧れのチェンソーアーティストのイベントに参加するもよし、全国各地のカーバーと交流を深めるもよしと様々な楽しみ方があります。チェンソーアートはまだ黎明期にあり、その分大きな可能性を秘めています。あなたにぴったりの楽しみ方を見つけてみませんか。