チェンソーは、伐木、伐採、間伐、枝払い、剪定、薪づくりといった幅広い作業に対応します。ここではチェンソーにおすすめの作業用の手袋(グローブ)の種類や特徴の他選び方のポイントについて説明します。
チェンソー おすすめの作業用手袋(グローブ)
チェンソーメーカーが開発販売しているチェンソー作業用手袋は、必要な規格を満たしていて使い勝手もよいことが多いです。主なおすすめ品として、次のようなものがあります。
ハスクバーナ(Husqvarna)
大手チェンソーメーカーのハスクバーナ(Husqvarna)では、「プロテクティブグローブ テクニカル」、「グローブ テクニカル ライト」、「グローブ ファンクショナル」、「グローブ クラシック ライト」、「グローブ ファンクショナル 冬用」といった専用手袋が用意されています。「プロテクティブグローブ テクニカル」では親指部分にテリー織布を使うことで顔をぬぐえる仕様になっていたり、「グローブ ファンクショナル 冬用」では裏地にマイクロフリースが使われていたりと、チェンソー作業を想定した専門性の高い製品になっています。
共立(KIORITZ)
共立(KIORITZ)は、株式会社やまびこのもつ製品ブランドのひとつです。したがって、姉妹ブランドである新ダイワ(shindaiwa)でも同じ型を取り扱っています。共立および新ダイワの「切創防止グローブ」では、切創事故の多い左手甲をガードするためクラス1に準拠する防護材が内蔵されています。また、「振動低減手袋」は、防振機能とともにフィット感が高められています。
オレゴン(OREGON)
オレゴン(OREGON)は、世界首位級のソーチェンブランドです。ソーチェンとしては、スチール(STIHL)やハスクバーナ(Husqvarna)製品などもありますが、特に日本のチェンソーメーカーにおいてはオレゴン製品が圧倒的なシェアとなっています。
オレゴンの「アクティブ グローブ」は、丈夫な牛革を素材としているため防刃機能と防振機能を有し、長時間の作業やアウトドアの場面でも活躍します。「プロテクティブ グローブ」は、伸縮性のある繊維素材と高品質レザーを組み合わせることで、クラス0の防刃機能と防寒性をもたせています。革製で手首はマジックテープ留めの「ワーキング グローブ」は、グリップ力や通気性が高く、刈払機、草苅機、芝刈機、ヘッジトリマーなどでの利用が想定されます。
杣(SOMA)
杣(SOMA)は、和光商事(WAKO TRADE CO.LTD.)が展開する林業アイテムブランドです。日本人企画による日本人のための林業家製品を標榜し、あらゆる条件下においても最大限のパフォーマンスを発揮するための製品を開発することを目指しています。「杣 チェンソー防護用 グローブ」は、左手に10層の防護アラミド繊維を内蔵することで防刃機能、防振パットを採用することで防振機能をもたせています。軽量化と通気性にもこだわっています。
サムライレジェンド(SAMURAI LEGEND)
サムライレジェンド(SAMURAI LEGEND)は、ハリマ興産のオリジナルブランドです。「サムライレジェンド 減振デラックス」は、指と掌部に減振パットを配置しており、チェンソーや草刈り作業にも適しています(掌部素材は人工皮革、甲部素材はポリエステルです)。「サムライエルベックス チェンソー防護用手袋」は、プレミアムグレード牛皮革を使用することで高いグリップ力と耐久性を実現しています(左手甲には切削防護用の特殊繊維が埋め込まれており、防刃機能があります)。
マックス(MAX)
マックス(MAX)は、香川県を本社とする手袋メーカーです。林材業用品ブランドとしてマックグリーン(MUC GREEN)を展開しており、チェンソー作業用手袋の取り扱いも数多くあります。
チェンソー作業用防振手袋「森の定番」シリーズでは、防振機能はもちろん、防刃機能もあわせもつ製品が展開されています(左手親指と人差し指には、高強力繊維ザイロンが使用されています)。寒冷地仕様のほか、視認性を高めるためのオレンジ色、蜂対策カラーなど専門性の高い製品があります。振動軽減手袋「快振くん」シリーズでは、天然皮革のほか、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステルなど様々な製品があります。ナックル(指先)が出る珍しい型もあります。
マウント・スミ(Mt.SUMI)
マウント・スミ(Mt.SUMI)は、京都府のアウトドアメーカーです。薪ストーブなども取り扱っていますが、チェンソー用品としては、手袋のほか、防護ズボン、チャップス、ヘルメットも取り揃えています。「チェンソー作業用グローブ PUレザー」および「チェンソー作業用グローブ 本革レザー」は、左手甲にクラス1のソーチェン防護繊維が採用されていることによる防刃機能、強力滑り止めグリップ、高耐久性などが特長になっています。
その他
その他よく見かけるチェンソー作業用手袋として、丸五の「防振万年」、富士グローブの「ダンシング」、アトムの「しんげんくん」などがあります。
チェンソー作業用手袋(グローブ)の選び方
チェンソー作業用手袋に求められる重要な機能として、防刃機能や防振機能があります。したがって、一般的に「防刃手袋」や「防振手袋」と表現される製品が、チェンソー作業用手袋として利用されることがあります。
防刃手袋(グローブ)
一般的な防刃手袋では、高強度ポリエチレンやステンレスワイヤーを素材として用いることで刃物を通さない仕様になっています。他方、チェンソー作業用の防刃手袋では、手の甲側にアラミドなどの特殊繊維が用いられています。これにより、誤ってチェンソーの刃(ソーチェン)が手に接触した場合に表地を引き裂くことになり、中地として何層にも重ねられたアラミドなどの特殊繊維がチェンソーの刃(ソーチェン)やスプロケットに瞬時に絡みつく仕組みになっています。その結果、チェンソーの回転が停止し、切創災害が防がれます。この仕組みは、防護ズボンやチャップスでも使われています。防刃手袋の規格には、JIS規格(日本産業規格)、ISO規格(国際標準化規格)、EN規格(欧州規格)などがあります。
防振手袋(グローブ)
防振手袋は、振動軽減および衝撃吸収する機能、すなわち防振機能をもった手袋です。電動チェンソーよりもエンジンチェンソーで顕著ですが、チェンソーは使用時に絶えず振動しています。この振動は、体感以上に疲労や痺れ(しびれ)をもたらします。疲労や痺れ(しびれ)を軽減し、ひいては振動障害などの重篤な症状を防止することに防振手袋は役立ちます。なお、防振手袋は、チェンソー以外の振動を発する機械(刈払機、草苅機、芝刈機、ヘッジトリマー、ブロワーなど)や工具類(インパクトドリル、インパクトレンチ、グラインダーなど)の使用においても効果を発揮します。用途が広いので、メッシュタイプやカラビナ付きの製品もあります。防振手袋の規格には、JIS規格(日本産業規格)とISO規格(国際標準化規格)があります。
その他に注目したい性能
「防刃機能」や「防振機能」の他には、「フィット感」、「グリップ力」、「快適性」にも注目したいです。「防刃機能」や「防振機能」を高めるために厚みがでてしまいがちなチェンソー作業用手袋ですが、「フィット感」は思い通りのスムーズな作業をする上で欠かせない性能です(サイズがフリーとなっているものもありますが、適切なサイズを選ぶことが何より重要です)。滑り止めのゴム素材などが手の平に採用されている製品では、握る力である「グリップ力」が高められています。通気性、撥水性、保温性など快適に作業をするための性能である「快適性」も重要です。
- 防刃機能
- 防振機能
- フィット感
- グリップ力
- 快適性(通気性、撥水性、保温性など快適に作業をするための性能)
チェンソー作業用手袋を選ぶ際には、上記の5つの性能に注目するとよいでしょう。すべての性能が高い製品がもちろん望ましいですが、その分高価にはなります。現実には予算との兼ね合いで必要な性能を有する製品を選ぶことになりますので、用途や使用場面を出来るだけ明確にするとよいです。
素手や軍手では安全に作業することができませんので、きちんとチェンソー作業用手袋を着用するようにしましょう。特に、チェンソーメーカーが開発販売しているチェンソー作業用手袋は、必要な規格を満たしていて、使い勝手もよいことが多いです。初心者や何を選んだらよいか分からない人は、まずはこのあたりからチェックしてみるとよいでしょう。
まとめ
チェンソー作業用手袋は、チェンソーアクセサリーの中でもホームセンターなどで手軽に入手できる商品です。ただし、専門性の高い手袋は、ホームセンターなどで取り扱っていない場合がありますので、通販なども利用して入手しましょう。
なお、チェンソー作業用手袋は多くの場合、草刈り、刈払い、芝刈りなどの作業でもそのまま利用できます。安全のためにも、ぜひ積極的に利用を検討してみましょう。