チェンソーを使った業務に従事する際には、下肢の保護衣(チャップスや防護ズボン)はもちろんのこと、ヘルメッも着用するようにしましょう。ここではおすすめのチェンソー作業用ヘルメットの種類や特徴、選び方について説明します。
チェンソー作業用ヘルメットの選び方
チェンソー作業で着用するヘルメットには、一般に「作業用ヘルメット」や「安全ヘルメット」とよばれるものを選びます。自転車やバイク用ヘルメットでは、十分に安全を保つことができないので、代用や転用することは避けましょう。
「作業用ヘルメット」や「安全ヘルメット」は、法令の中では「保護帽」と表現されます。保護帽は、労働安全衛生規則や厚生労働省告示によって規格が定められており、用途としては次の3つに区分されています。
- 飛来・落下物用
- 墜落時保護用
- 電気用
これらの区分には、それぞれ性能試験の方法が定められています。それに合格した製品には、型式検定合格番号が付与されるとともに、型式検定合格標章(検定ラベル)が貼付されます。したがって、保護帽を選ぶ際には、型式検定合格番号および型式検定合格標章(検定ラベル)があることを確認しなくてはいけません。
チェンソー作業用ヘルメットには、「飛来・落下物用」に適合しているものを選ぶようにしましょう。中には、「飛来・落下物用」と同時に、「墜落時保護用」や「電気用」にも適合している製品もあります。チェンソー作業の現場においては、ガイドバーおよび刃が跳ね上げられることによって顔に傷を負うような切削事故であったり、枝払い中に高所から墜落し頭をうつ事故であったりとヘルメットの着用によって防止しうる事故が起きます。安全面だけを考えるのであれば、3つの区分すべてに適合した製品を選びたいところです(樹上で伐採や剪定をするアーボリストにとっては必須といえます)。
また、チェンソー作業用ヘルメットの中には、チェンソーの音から耳を守るためのイヤーマフ(イヤーマッフル)であったり、切屑から顔面を守るための保護網(フェイスガード、フェイスシールド、フェイスプロテクター、バイザー)付きの製品があります。こうしたアクセサリーは後から取り付けることも、逆に取り外すことも可能ですが、品番や在庫を確認する手間が生じます。使用場面が明確になっている場合は、最初からセットになっているものを注文した方が無難かもしれません。
おすすめのチェンソー作業用ヘルメット
チェンソーメーカーなどが開発販売しているヘルメットは、チェンソー作業に必要な規格を満たしていることがほとんどなので選定が簡単です。また、適切なイヤーマフ(イヤーマッフル)、保護網(フェイスガード、フェイスシールド、フェイスプロテクター、バイザー)、アゴヒモなど一式がセットになっている製品もあるので便利で、安心して使うことができます。
ハスクバーナ(Husqvarna)
大手チェンソーメーカーのハスクバーナ(Husqvarna)では、「フォレストヘルメット ファンクショナル」や「ヘルメットテクニカル」といった製品があります。「フォレストヘルメット ファンクショナル」は、価格も比較的手頃で、ひさし、バイザー、イヤーマフ、アゴヒモなどチェンソー作業時に必要な装備一式が完備されています。上位モデルの「ヘルメットテクニカル」は、片手で簡単にフィット感を調整できるダイヤル式の高機能軽量ヘルメットです。水が浸入してさびることを防止するため、頭部のベンチレーションにはさびにくい金属であるステンレスが採用されています。
共立(KIORITZ)
共立(KIORITZ)は、株式会社やまびこのもつ製品ブランドのひとつです。したがって、姉妹ブランドである新ダイワ(shindaiwa)でも同じ型を取り扱っています。共立および新ダイワの「マルチセーフティーヘルメット」は、アジャスターダイヤルで簡単にサイズ合わせできる仕様になっています。加えて、「飛来・落下物用」、「墜落時保護用」、「電気用」のいずれの区分にも合格している数少ない専用ヘルメットです。
オレゴン(OREGON)
オレゴン(OREGON)は、世界首位級のソーチェンブランドです。ソーチェンとしては、スチール(STIHL)やハスクバーナ(Husqvarna)製品などもありますが、特に日本のチェンソーメーカーにおいてはオレゴン製品が圧倒的なシェアとなっています。オレゴンの「高性能ヘルメット」には、衝撃や紫外線にも強いABS樹脂が採用されています。内側のスウェットバンドが汗を吸収するとともに、20か所の通気孔が熱気を逃がすため蒸れることなく快適を保ちます(スウェットバンドは取り外して丸洗いもできます)。さらに、開閉も簡単なステンレス製のメッシュバイザーが顔面を保護、クッション性の高いイヤーマフは27dBまで遮音します。
杣(SOMA)
杣(SOMA)は、和光商事(WAKO TRADE CO.LTD.)が展開する林業アイテムブランドです。日本人企画による日本人のための林業家製品を標榜し、あらゆる条件下においても最大限のパフォーマンスを発揮するための製品を開発することを目指しています。杣の「安全ヘルメット スタンダード」は、「飛来・落下物用」と「墜落時保護用」の両方の区分に合格しています。アジャスターダイヤルのヘッドバンドに、メッシュバイザーとイヤーマフも付いたコストパフォーマンスの高いヘルメットです。薄暗い山林の中で視認性を高めるために、蛍光オレンジ色などが採用されることが多い保護用品(チャップス、防護ズボン、防護手袋など)にあって、カーボンカラーが採用されています。
トーヨーセフティー(TOYO SAFETY)
トーヨーセフティー(TOYO SAFETY)は、ヘルメットをはじめとする防護具(防災面、帽子取付け用メガネなど)のメーカーです。製品の製造元である東洋物産工業から、販売部門が分社するかたちで創業し現在も主に販売を担当しています。トーヨーセフティーの「アンボプロテクター」は、ステンレス製メッシュシールド以外に、ナイロン製メッシュシールド、PET透明シールドなどを装着したタイプのバリエーションがあります(アンボプロテクター部品としてパーツ購入して交換することもできます)。もちろんイヤーマフ(イヤーマッフル)やネックガードを装着することもできます。チェンソー作業のほか、草刈り作業にも推奨されているヘルメットです。
ファナー(PFANNER)
ファナー(PFANNER)は、オーストリア発の世界的な安全防護服メーカーです。ヘルメットのほかに、チェンソー防護ズボン、アウトドア服なども展開しています。ファナーのヘルメットのうち、とりわけ有名なのが「プロトス」です。しっかりと頭を包み込むような構造になっており、まさに防具といった外観です。しかしながら、視界を邪魔することはなく、枝などの障害物に引っかかることもありません。ヘルメット本体だけでなく、イヤーマフやフェイスシールドなどへのこだわりもすさまじく、頭部としっかり密着するよう調節することが可能です。
カスク(KASK)
カスク(KASK)は、イタリアを拠点とするヘルメット専門のメーカーです。自転車、登山、クライミング、レスキュー、建設現場といった様々な分野で、品質とデザイン性を両立したヘルメットを開発しています。特に、チェンソーや草刈り作業用としては、「ゼニス」が有名です。
その他
その他よく見かけるチェンソー作業用ヘルメットとして、マウント・スミ(Mt.SUMI)の「フォレストヘルメット」、バトラー樹脂工業の「完全ガードヘルメット HR-1」などがあります。
まとめ
チェンソー作業用ヘルメットには、「飛来・落下物用」に適合しているものを選ぶようにしましょう。中には、「飛来・落下物用」と同時に、「墜落時保護用」や「電気用」にも適合している製品もあります。安全面だけを考えるのであれば、3つの区分すべてに適合した製品を選びたいところです(樹上で伐採や剪定をするアーボリストにとっては必須といえます)。
チェンソーメーカーなどが開発販売しているヘルメットは、チェンソー作業に必要な規格を満たしていることがほとんどなので選定が簡単です。また、適切なイヤーマフ(イヤーマッフル)、保護網(フェイスガード、フェイスシールド、フェイスプロテクター、バイザー)、アゴヒモなど一式がセットになっている製品もあるので便利で、安心して使うことができます。
万全を期すのであれば、防護服(ジャケット)、手袋(グローブ)、脚絆(レッグチャップス)、専用靴(チェンソーブーツ)、ヘルメット、イヤーマフなども着用すると、さらに安全性を高めることができます。
また、さらに安全性を高めるためにも、チェンソーの手入れ(目立て、チェンオイル、部品の確認)や道具の準備(ハーネス、ロガー、クサビ)なども欠かさず行うようにしましょう。
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